概要
1992年に雑誌『ジャックポット』(リイド社刊)に連載された。『覚悟のススメ』の原型的作品とされている。
単行本は1995年にSPコミックスで全一巻が出された他、2005年の新装版、2013年の『サイバー桃太郎』『真サイバー桃太郎』『変化御用 はらら』の三作を一冊にまとめた『山口貴由初期作品集 サイバー桃太郎×平成武装正義団』がある。
タイトルと内容に食い違いがあり、作者が単行本あとがきで「平成武装正義団とゆうタイトルを見ても分かるように、神風 零を中心に有志が集まり、武装グループを結成してサドラーたちと対決する戦隊ヒーローものにするつもりでした。でも、結局、神風 零が一人で決着をつけちゃいました。」と述べている。
あらすじ
東京都私立明鏡高等学校に、白ランに赤いプロテクターを身に着けた謎の青年、神風零(かみかぜ ぜろ)が大阪から転校してくる。かつて自分を嬲り者にした不良集団「邪の目七人番長」、その打倒を決意し東京に戻ってきたのだ。
物々しい姿や言動のせいで学校ではすっかり浮いた存在となってしまうが、それを意に介さず傷つきながらも邪の目を倒していく零。しかし自分がいたために明鏡が戦いの場になり周囲に被害が及んだことには自責の念をいだき、まだ敵を三人残した状況ながらプロテクターを捨て学校も退学しての戦いを考えるようになる。
その直後、入院中の病室を二人の邪の目に襲われた零は場所を変えることを提案。海辺に移っての戦いでプロテクター無しの純粋な格闘技だけで二人を倒し、海から姿を現した最後の一人、魔天郎をもその勢いで一気に下す。
頭を砕かれた魔天郎は逃げるように背を向け海中に消え、零は満面の笑みで「いつでもこい!」と言い放つのだった。
登場人物
神風零
本作の主人公。『覚悟のススメ』の主人公葉隠覚悟とキャラクターデザインが類似している。
中学生時代は大人しい生徒で邪の目七人番長から激しい虐めを受けていた。その後大阪の高校に進学し彼らに苦しめられることは無くなったが、邪の目を倒すためにあえて東京に戻る。自分の手で邪の目を倒すことが望みなため、他人の協力は求めておらずむしろ拒む。
ポリ・カーボネイト&ファイン・セラミック製のプロテクターと鉄キン入りのレガースで、首から上と太腿部分を除いたほぼ全身を覆っている。
剣崎スミレ
本作のヒロイン。こちらも『覚悟のススメ』のヒロイン堀江罪子に似たデザイン。
明鏡高等学校の2年D組。頭脳、運動神経、ともに優秀、そして父親がPTA会長であることもあって教師陣からは特別視されている。
同じクラスになった零の武装ぶりを「男のくせにビクビクして超みっともない。」と痛烈な言葉で嘲り一度はかなり険悪な雰囲気になったが、徐々にお互い表には出さないが意識しあうという仲になっていく。
剣道有段者で(第1話では実戦合気剣道五段、第2話では剣道三段とされている)竹刀が得意武器。
右手
学校に日本刀を持ち込んでいる不良学生。舎弟の犬山と石川からは右手番長と呼ばれる。
クラスは剣崎と同じ2年D組。オープンなホモで、初めての登場シーンでは学校内でゲイ向け雑誌片手に自慰の真っ最中だった。
舎弟の二人から白ランの変な奴(零)に負けたことを聞き、「俺が叩っ斬る!」と意気込んで呼び出しをかけたが、当人を目にすると「う……タイプや。」と心がグラつく。気を取り直して勝負に持ち込みはしたが結局完全に惚れてしまい、その後は零の一番の味方と言ってもいいポジションにおさまる。
邪の目七人番長
サドラー、ジャッカル、サメ島、アタマ田、キカイ田、カメレ男、魔天郎の七人。
以前の零を「背中一面に刃物で『バカ』と刻み込む」「強姦する」「腕を切り落とす」などの通常虐めと呼ばれる粋を大きく越えるほどの目にあわせた。
現在、何人かは学生服姿だがどこの学校の生徒でもないらしく住所も不定。行動はより凶悪化し遊びで人を殺すほどになっているが、警察に捕まることは恐れている。
- カメレ男:人間一人程度ならば容易く溶かしてしまうゲロビームが武器。殺人の後の証拠隠滅にも用いる。キックで股間を破壊されて零に敗北、捕まってしまいこれまでの殺人を自供し、「少年A(17歳、無職)」として新聞に載る。
- ジャッカル:カメレ男が倒された事でサドラー、キカイ田と共に明鏡に乗り込んできた。ステロイドで腕力を強化する。零のキックに敗北。
- キカイ田:腕にマシンガンやロケットパンチが仕込まれている。ジャッカルが倒された後、同じく零のキックに敗北、ボディを破壊され目玉と脳だけの姿で逃げ去った。
- サドラー:おそらくは男だが(零の記憶にある姿では学ランを着用)顔も体形も女性的で、服装はビザール風なスーツにヒールの高いブーツ。股間には口から液体の弾を吐き出す鮫が生えている。零と剣崎を失神に追いやるが、続けて戦った右手に刀で頭部を唐竹割りに両断されて敗北。ムショ送りとなった。
- サメ島:半分人間、半分鮫のような見た目の男。本人いわく「生まれた時からキックボクサー」で零のキックに対し「完璧にディフェンスしちゃうぜ!」と豪語したが、そこまで全く使わず温存していたパンチに対処できず敗北。
- アタマ田:念力、テレポート、変身などの能力を持つ超能力者。アタマ田を倒した事で零は「超能力より、格闘技のほうが強い!」と確信、自分の完全な目覚めを実感した。
- 魔天郎:常人の数倍の体躯の巨人。頭部を膝蹴りからの左右のエルボーで破壊されて零に敗北。
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