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概要編集

TVゲームばかりやっていたために脳に変調を来したことを指すコトバ。

日本大学講師であった森昭雄が著書『ゲーム脳の恐怖』(NHK出版)によって提唱した造語であり、「テレビゲーム漬けになっている人はの回復が遅く、簡易脳波計において認知症患者と同じような波形を示す」と称した理論であり、提唱者の森はこれを「キレやすくなり犯罪に繋がる」とし、若者のマナーの乱れや露出度が高いファッションもこれにより脳に変調をきたして羞恥心理性が薄くなったせいであるとしている。

ゲームだけでなくカラオケに対しても「カラオケをやるとバカになる」と提唱して決めつける身勝手な教育者もかなり多い(そもそも不良の溜まり場のように認知している傾向がある)。


考察編集

この「脳波の測定装置」の測定結果が正しいとしてみると、書籍の内容を見る限りゲーム、あるいは電子機器の影響というよりも「何らかの行動がルーティンとなった」ため「脳が休息している」、すなわち電子機器自体が悪いとかそういう問題ではなく、「同じ行動の繰り返し」が悪い(そもそもゲームに限った事ではないが)のであり、それを「自らが理解できない」電子機器に責任を転嫁している、と読める。


問題点編集

この内容はさまざまな犯罪社会問題、また自分が気に食わない若者文化の流行の原因をTVゲームへ責任転嫁できる非常に『好都合』な概念であったため、教育学者・マスコミ、あるいはゲームばかりしている子供を持った親等には歓迎されていたものの、その論拠となる実験組み立てや検証結果などに関して脳神経学をはじめ各分野の専門家からは厳しい批判が巻き起こり、著書内におけるさまざまな矛盾論理飛躍などが見受けられ、今日では内容に関しては疑似科学として扱われているものの、現在でもなお一部の評論家自治体教育関係者の中にはこれを信奉している者もおり度々物議を醸している。

信奉者編集

中でも右派の教育者や政治家にこの説は人気があり、親学まず親が子育ての方法を学ぶという概念、の主催者である教育学者の高橋史朗は現在でもこの説を強く信奉しており、他に埼玉県知事上田清司、元神奈川県知事で元みんなの党次世代の党所属だった参議院議員松沢成文などがこの論を信奉している。特に松沢は知事時代にGTAの第3作の有害図書指定を行いカプコンから抗議を受けている。


ゲーム脳の批判に対する森の主張編集

前述の通り、森の提唱したゲーム脳は、様々な専門家等からも批判されているのだが、当の森本人はそれらの批判に対し、「批判をしているのはゲーム会社と関係のある人間だ」、脳波を知らない素人が勝手に批判しているだけだ」等といった、自分に都合の良い解釈による、ほぼ一貫して非寛容な反論しかしておらず、中には侮蔑的かつ傲慢な内容も少なくない。

  • 京都大学の名誉教授である久保田競( 東京大学卒、同大学院修了、京都大学霊長類研究所教授を経て名誉教授。大脳生理学の権威 )に週刊誌上でゲーム脳への批判をされた際は、当時任天堂の相談役であった山内溥社長から京大に70億の寄付金が送られているのを理由に、「名誉教授でも金やゲーム会社がらみになると言いたい事も言えない、私は科学者だから言いたい事を言う」という、傲慢な反論をしている。なお、この寄付金が送られた理由は「入院していた病院の修復代」であり、大学本体には直接いきわたらない。
  • 精神科医であり批評家の斎藤環( 筑波大学医学専門学群卒業、同大学院修了、病院勤務、その後批評活動を行うようになる )から、ゲーム脳を提唱した森の脳に関する謝った知識や脳波測定法の間違ったやり方を科学的根拠に基づいて批判された際は、雑誌上のインタビューで斉藤を「ゲームマニア」呼ばわりした上に、「脳波を知らず生理学知識のない可哀相な人」と、明らかに見下した発言を行っている上に、「私は彼よりも10倍は知識がある」と、自画自賛までしている。
  • 自身の行った講演にて、川端裕人( ノンフィクション作家、小説家。東京大学卒業後日本テレビにて記者となり、その後執筆活動を行う )に、家庭用ゲーム機の流行以前から少年犯罪は多発していたがその後増加はみられず発売後も低水準になっている事実を指摘され、仮にゲーム脳が実在しても少年犯罪にまで発展するほどの悪影響にはならないのではないかと質問されている。しかし、森はあくまでも「笑わなくなりキレ易くなった子供の増えた日本の為にやっている」と主張し、自らを正当化し続けてていたが、逆に川端からは「そういうのを問題にするあなたの方が日本人として恥ずかしい」と更に批判され、川端の疑問に一切回答をしなかった。

執筆者に関して編集

  • 提唱者の森は日本大学出身であるが、厳密にいえば理系出身ではなく( 学士においては文理学部体育学科、修士においては教育学専攻 )であり、医学博士論文は脳科学ではなく筋肉神経に関するものである。
  • また、Wikipediaの項目を見る限りうさん臭い業績しかなく、研究者としての実績に疑問符がつく。
  • 森は先天性の障害であるはずの自閉症など発達障害が増えているのもゲーム脳のせいとする、言い掛かりに等しい言動を行った為、障害者団体からも抗議を受けている。
  • 一時はマスコミにも登場したが、何にでもこの影響に結び付けることや、虚偽等を含む発言により徐々に信頼をなくしていったと思われる。
  • 『ゲーム脳の恐怖』の後に続く著書が『ITに殺される子どもたち 蔓延するゲーム脳』や『「脳力」低下社会 ITとゲームは子どもに何をもたらすのか』である事や2012年に発売された著書『ネトゲ脳 緊急事態 急増する「ネット&ゲーム依存」の正体』でビデオゲーム、ネットサーフィンやメールを一緒くたにしている事から、森自身がコンピューターによる技術そのものに否定的であることが考えられる。


よくある誤解編集

ところでこうした話を読むと「ゲームがプレイヤーに悪影響をもたらすという話は全てでたらめである」「ゲーム脳の話が誤りであるならばゲームをいくら長時間プレイしても問題ないという事になる」と考えたり、逆に「ゲームのやり過ぎが元で身体を壊したり問題行動を起こす人間は実際にいるのだからゲーム脳も完全に間違いではないのでは」と考える者もいるが、これまた大きな誤解であるという点には注意が必要である。

ゲームの悪影響編集

ゲームに過度にはまり過ぎる事はプレイ時間の増大によって心身や金銭に大きな負担がかかったり、他の事を行う時間が減ったり疎かになったりするというリスクを抱えているという事は( ゲームに限った事ではないが )まぎれもない事実であり、2018年1月には世界保健機関がネットゲーム依存を国際疾病分類に盛り込む動きがある事が明かされ、翌2019年5月には「ゲーム障害」を国際疾病分類に盛り込むことで合意したと発表されている。しかし、これらの事実は決してゲーム脳の存在を肯定しているわけではない。また、韓国などでネトゲを長時間プレイして死亡した例が複数あるがこれはゲームそのものというより長時間同じ姿勢を取り続けたことによる血栓が飛んだことによるもので、いわゆる「エコノミークラス症候群」であるためゲームでなくても座った姿勢のまま長時間動かなけれな同じ事故は発生しうる。ゲームのプレイのし過ぎで起きた問題全ての責任をゲームそのものに被せる考え方ははむしろ、こうした他の部分による問題を見逃すことにもなりかねないのである。これらはゲーム脳の話が誤りであることを認識した上でそれとは分けて論じられるべき問題なのであり、今後仮に「ゲームをプレイした者の脳波が認知症患者と同じような波形を示す」という事が他の研究者による厳密な実験や論証によって証明されたとしても「ゲーム脳の恐怖」の内容や著者の言動が緩和されるわけではないギャンブルタバコ飲酒と同じようにやりすぎが良くないのであり、例えを出すと「脂っこい料理ばかりを食べると病気になる」のは当然の事である。

真に批判されるべきは編集

要するに批判されるべきは「ゲームへの依存による問題を防ぐための議論や努力、指導」あるいは「そのための自制を子供達に説くこと」そのものではなく、「いい加減な論証偏見による誹謗中傷」も含め、「結果的に子供がゲームをプレイしない( できない )ようになればなんでもいいというような極論」や「そのためならどのような手段を取っても許されると言わんばかりの態度」なのである。


ところでかの有名な高橋名人の発言に「ゲームは1日1時間」というものがあるが、これは当時のハドソンの標語となり、次のような続きが作られたという。「ゲームは1日1時間。外で遊ぼう元気良く。僕らの仕事はもちろん勉強。成績上がればゲームも楽しい。僕らは未来の社会人」つまり、必要なのは「ゲームの存在を無闇に全否定する事」でなければ、反対に「ゲームの問題点から目をそらし際限なくプレイする事」でもなく、ゲームを楽しむならばゲーム以外の事を疎かにしたりしないように気を配り、きちんと節度を守った上で楽しむという事であると言えよう。

アメリカの研究では、ビデオゲームが認知スキルのトレーニングにつながったとした研究結果を出している。ただし、日本人や研究対象以外の世代に当てはまるかどうかが書かれていないため、過信は禁物。


転じた用法編集

これをもじって「××脳」という言葉で特定層をバッシングないし自虐ユーモアとして用いる場合もあり、例えば「この壁は身を隠すにはちょうど良いな」など、プレイしたゲーム内の思考で日常生活を送ってしまうことを指す

例:放射脳フロム脳うどん脳


関連タグ編集

森昭雄 疑似科学 香川県ネット・ゲーム依存症対策条例 トンデモ キチガイ プロパガンダ ガセ


日本大学:アメフト部事件といい、問題のある者が何故か続出した。


参考編集

wikipedia:同項目ゲーム脳の恐怖森昭雄

ニコニコ大百科:同項目

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