概要
アメリカのゲーム制作会社「Rockstar Games」が販売しているアクションゲーム『Grand Theft Auto』の略称。
主な開発元はスコットランドのエディンバラにあるRockstar North。古くはDMA Designという完全に別の会社だったが、『GTA3』発売後ににRockstarの買収を受け現社名に変更。
オープンワールドゲームを爆発的に普及させたクライムアクションゲーム。
pixivとは客層がかけ離れているためか、手描きのファンアートはかなり少ない。
上記の画像は、左から『GTA5』の主人公であるトレバー・フィリップス、マイケル・デサンタ、フランクリン・クリントン。
2作目までは、見下ろし型視点の2Dアクションだったが、PlayStation 2で発売された『GTA3』では、3Dで構築された大都会を隅々まで自由に行動できるという凄まじい自由度の高さで大ヒットし、以後、世界で最も有名なエンターテイメントの1つとして、記録的なヒットを続けている。
『3』のヒット以後にフォロワーが大量発生してもなお、オープンワールドアクションの中で最も完成度の高い作品の1つとして名高い。
内容
クライムアクションというジャンルの指すとおり、内容は主に犯罪。
ギャングやマフィアの一員(あるいはチンピラ)となって、裏切りや謀略の渦巻く裏社会の中で、殺人や強盗などの、ボスから与えられるミッションを遂行して行く。
『グランドセフトオート』=『車泥棒』というタイトルの指すとおり、自由に車やバイクを盗んで、街中を走り回ることが出来る。
基本的に、画面に映るすべての場所には、何らかの形でたどり着くことが出来る。ヘリを盗めば高層ビルの屋上にもいけるし、ボートを盗めば海上も自由に移動できる。
この自由度の高さゆえに、ただのプレイだけでなくスタントアクションプレイも盛んで、バイクや車でトリックプレイを楽しむプレイヤーも多い。何も考えず風の吹くまま気の向くままドライブするのもまたアリである。
また、ストーリー本筋には直接関係無いミニゲームや収集要素が豊富に用意されている点も特徴で、タクシードライバーやピザの配達員などで地道に稼いだり、犯罪稼業から一時離れて救急車や消防車を使って人助けをしたり、マップ中に散らばる隠しアイテムを求めて大冒険を繰り広げたりといったことも出来るため、ストーリーそっちのけで副業に励む本末転倒なプレイももちろん可能である。
豊富に用意された武器を用いて車やバイク、そして人を破壊・殺害することも出来る。
だが犯罪行為をしている様子を町中を徘徊する警官に目撃されたり、あまりにも度が過ぎることをしていると指名手配され警察に追いかけられることになってしまう。
シリーズにもよるが、手配度が最高値(☆6)に達するとなんと州軍に追いかけられる破目になる(戦車、オペルトラック等)。ミッションにおいて犯罪行為をいかにスマートにこなすかがポイント。また、歩いている警察の中には悪徳警官も紛れており、モブの市民に暴行を働いてる事にもたまに遭遇する。それに義憤を感じて警官をフルボッコにしたとしても指名手配されるという理不尽さもある他、市民も基本的に性格は良いといえず、主人公が危害を加えていなくても近くにいただけで罵倒して来る挙句に主人公に暴力まで振るってくるが(特に男性はその傾向が強い)、こちらも邪魔だからと返り討ちにすれば同じく指名手配される。
スルースキルもこの街で生き抜く術なのだ。
シリーズを通して操作キャラクターが死亡した時は「WASTED」(無駄になる、荒廃するという意味だが、スラングで射殺される、殺される)と表現されている。自殺も同様。
また、公式でチートコマンドが存在し、入力すると体力が回復したり、市民の様子が変わったり、目の前に欲しい車が現れたりする。ただし、このチートコマンドを使う場合は「セーブするとゲームの進行に影響をきたす事があります」と警告される。理由はチートコマンドの中には一度使用すると効果が永続的に出てしまうものがある為。特に市民の暴動化は手に負えなくなってしまう。また、いかなるチートコマンドだろうと使ったら、ゲーム内の称号が不名誉なもの(例:虚栄のイチモツ、インチキな豚…etc)に強制的になってしまう。
とにかくやろうと思えば何でも出来るゲームと考えてよいだろう。
犯罪・ギャングの物語故か結末は4あたりからシリアスで、何かしら主人公の心に影を落とすケースが見られるようになっている。どんな形で成り上がりを果たしたとしても、犯罪に手を染めて裏社会に1歩でも踏み入れその道を歩んだ者には本当の幸せはやってこないという現れなのだろうか。
見え隠れするものにはアメリカが孕んでいる社会問題が見られる事も多い。
2Dユニバース
本編2作と外伝1作。本編は2作ともPC英語版が既にフリーウェアになっており、ロックスター自ら配信している。
GTA『グランドセフトオート』
1997年(日本では1998年)にPlayStationとPC向けに発売された1作目。見下ろし型のアクション。
「車を盗む」というテーマに特化しており、歩くことも可能だが基本的には車に乗ってアクションをする。
歩いている状態でさえ、アクセルボタンで前進、十字キーでステアリングという操作だから相当である。
リバティーシティー、バイスシティ、サンアンドレアスという、後の作品に登場する都市の原点となった同名の街が全て登場しており、これらを舞台にして物語が展開する。
日本ではPSソフトとして上陸したが、この当時はまだマイナーな洋ゲーとしての印象しかなかった。
外伝としてGTA Londonがある。現在で言うところのDLCにあたる「追加パッケージ」として販売された。
GTA2『グランドセフトオート2』
1999年(日本では2000年)に発売された2作目。1作目と基本的には同じシステム。
プラットフォームはPlayStation、PC、ドリームキャスト。
敵対する3つの組織から自由に任務を受けられる。いずれか一つに肩入れしすぎると、他の2つの一方から恨みを買うという、「組織の信頼度」のシステムを導入して注目を浴びる。
3Dユニバース
本編3作と外伝3作。このうち外伝の『GTA:Advance』だけ日本未発売。
本編は3作まとめてリマスターされた『GTAトリロジー:決定版』が発売されている。プラットフォームはPC、PlayStation 4、PlayStation 5、XBOXseries、Nintendo Switch。
グラフィックや演出面等を一新した他、『5』と同じ操作スタイルを採用している。
GTA3『グランドセフトオート3』
2001年(日本では2003年)に発売された3作目。
プラットフォームはPlayStation 2。後にPCにも移植された。
ニューヨークをモデルとした大都市・リバティーシティーを舞台に、裏社会の仕事人として活躍する。
フル3Dで構築された大都会の中を自由に行動するというスタイルが今作で確立され、瞬く間に大ヒット。公式には、全世界で800万本を売り上げたとされる。
オープンワールドアクションの新しい時代を切り開くと同時に、世界中のPTAから血の気を思いっきり引かせた快作。
システムはだいたい完成されているとはいえ、次回作以降と比べれば流石に自由度は低い。特に物件を購入して「裏社会の頂点へ登り詰める」という要素は皆無。
ちなみに本作の主人公はよく「クロード・スピード」という名前で呼ばれるがよくある勘違いで実際のところはGTA2の主人公。
ただし、名前は本編中一切出てこずせいぜいファイル名くらい。判明するのはGTA:SAである。しかしわかったのは「クロード」という名前だけであるが。
GTAVC『グランドセフトオート:バイスシティ』
2002年(日本では2004年)に前作『3』のヒットを受けて発売された。プラットフォームはPlayStation 2、PC。
舞台は1980年代のマイアミを彷彿とさせる「悪徳の街」=バイスシティ。
主人公はトミー・ヴェルセッティ。
乗り物や武器の大幅な増加はもちろん、建物の中にある程度入れるようになった。プレイヤーの衣装を変えたり、店を買って経営してシマを広げたりと、より自由度は高まった。
前作の記録をさらに塗り替える全世界1300万本の大ヒットを記録した。
GTASA『グランドセフトオート:サンアンドレアス』
2004年(日本では2007年)発売。
プラットフォームはPlayStation 2、Windows、Xbox。
PlayStation 2向け最後の作品でもある(移植を含めるとGTAVCSが最終作になる)。
アメリカ西海岸一帯をモデルとした「サンアンドレアス州」が舞台。アフロ・アメリカン(黒人)文化がテーマであり、あのロサンゼルス暴動もモデルにしている。
主人公はカール・ジョンソン(CJ)。
フィールドの広さはシリーズで群を抜いており、サンアンドレアス州の広さはバイスシティの約5倍である。
さらに水泳も可能になり、州を通る河や、湖や海でも行動可能になった。前作までは、生身で水に入ると大体即死だった。顔が浸からなくても体力が削れていくので半身浴状態でも死ぬので、船に乗るのはかなり慎重を要した。
それに伴い、一部のCPUも泳げるようになっている。
乗り物や武器の数も前作からさらに増量され、ジェット機や、州を通る列車にさえも乗ることが出来るなど、行動範囲の広さと自由度は最新作にも引けを取らない。
累計2000万本を売り上げ、シリーズの集大成となった大作である。
後にPlayStation 3/Xbox360でリマスター版も発売された。
GTALCS『グランドセフトオート:リバティーシティストーリーズ』
2005年(日本では2007年)に発売された作品。
グランドセフトオートシリーズ初となるPlayStation Portableをプラットフォームとする。後にPlayStation 2へ移植された。
舞台はGTA3と同じリバティーシティだが、時代設定が1998年になっており、事実上GTA3のエピソード0に位置づけられる。
主人公はGTA3にも登場していたアントニオ・(トニー)・シプリアーニ。
GTAVCS『グランドセフトオート:バイスシティストーリーズ』
2006年(日本では2007年)発売。
プラットフォームは前作『LCS』と同じPlayStation Portable。こちらも後にPlayStation 2へ移植されている。
前作『LCS』が『GTA3』のエピソード0ならば、こちらは『VC』のエピソード0である。
子持ちの娼婦や実在の歌手フィル・コリンズが登場するなど、なかなかの異色作。
主人公はヴィクター・(ヴィック)・ヴァンス。
この作品を最後にS.W.A.T.とFBIが登場しなくなる。
そして永らく続いた3Dユニバースも終了し、次回作『4』からは世界観が一新されることになる。
HDユニバース
GTA4『グランドセフトオート4』
2008年発売。
プラットフォームを次世代機PlayStation 3/Xbox360に移し、世界観を一新した作品。後にPC版も発売。
リバティーシティーを舞台としているが、『3』のそれとは違った、より現実の大都会に近いものに再構成されている。
外伝として、DLCの『ザ・ロスト・アンド・ダムド』『ザ・バラッド・オブ・ゲイ・トニー』がある。ひとまとめにしたコンプリートエディションも発売された。
主人公は以下の3人。
本編:ニコ・ベリック
TLaD:ジョナサン・(ジョニー)・クレヴィッツ
TBoGT:ルイス・フェルナンド・ロペス
ゲームエンジンを一新して作られており、従来の作品とは比べ物にならないほどグラフィックは書き込まれている。
特に、人物の顔の動きまできちんと再現されており、プレイ中に運転席をカメラで写すと、ちゃんとプレイヤーの口が動いていたりする。
乗り物の種類などは減ったものの、特に車の挙動はよりリアルになり、物理演算も取り入れられた。
PC版で、テクスチャを追加するMODを使用すると、凄まじくリアルな世界に出来る。
GTACTW『グランドセフトオート:チャイナタウンウォーズ』
2009年(日本では2010年)に発売された。
プラットフォームはグランドセフトオートシリーズ初のニンテンドーDS。後にPSPへ移植。
舞台はGTA4のリバティーシティ。ただしスペックの都合で一部地区・地形は削除されている。
同じくスペックの関係上、デモムービーではなく漫画のようなカット絵でストーリーは進んでいく。
視点も初代を彷彿とさせる見下ろし視点だと聞くと大きな欠点に感じるかもしれないが、触感が売りのニンテンドーDSならではの操作法が取り入れられており、こちらもなかなかの異色作。そのためかPlayStation Portable版を買えば後悔するとの意見も一定数ある。
主人公はホァン・リー。
GTA5『グランドセフトオート5』
現状の最新作。
2013年に第七世代機のPlayStation 3、Xbox360、2014年に第八世代機のPlayStation 4、XboxOne、2015年にPC版がリリースされた。
GTAの完全オンライン化に先立ち、ゲーム機の性能をフル活用した現実に最も近い仮想現実「オープンワールド」と、それを多様なコンテンツで活用させるゲームデザインを併せ持つ高度な一作。
GTA4の10倍以上の膨大なマップと、1つのゲームで強盗というGTAらしいミッションから、ゴルフ・映画・レーシングなど娯楽がシミュレーションできる。
舞台はサンアンドレアス州であるものの、メインのモデルをカリフォルニア州とし、
GTASAに登場したロスサントスを中心に周囲の世界観を変更。
ロスサントスの都会をカリフォルニアの雄大な山野のようなブレイン郡が飲み込む島が舞台に。
主人公はマイケル・デサンタ、トレバー・フィリップス、フランクリン・クリントン。
GTAシリーズ初の3人の主人公により巨大な世界で複雑にからむ人間関係を体験可能。
オープンワールドの効率がより高くなり、現実世界の自然現象(雲の影が地面に映る)や
ありふれた風景(プレイヤーがフェンスを閉じた際、犬がフェンスに対して飛び上がるようなアクション)
をはじめ、携帯端末によるインターネットの接続、株の購入やメールのやり取りなど
できる限り現実世界を再現。ゲーム内での選択要素が高まり、ミッションや趣味に合わせて
1000種以上のパーツを選んで自動車をカスタマイズすることも可能。
パロディ
何かと物議を醸すこのGTAであるが、なんとあのコカ・コーラがGTAをパロディにしたCMを流した事がある。
一見いつものGTAのような市街地を車でかっ飛ばしているゲーム画面から始まり、食料品店の前でその車から降りたサングラスの男が店に入るやいなや店主は強盗かと思い恐怖するが、なんと男はただコカ・コーラを買いに来ただけの客であり、代金を払う姿にキョトンとなる。
コカ・コーラを片手に街を歩いて行く男はひったくりからカバンを取り返したり、街中で燃えているドラム缶の火を消したり、道行く人々にフレンドリーに接し、最終的には街中が歓喜に踊るという本家とは180度異なるピースフルな内容のCMとなっている。
また、コナミの『メタルギアソリッド3』の第一弾PVでのスネークとソ連兵のやりとりに「また車泥棒か」「ここはジャングルだ…都会じゃないんだからよ」は実はGTAを揶揄したネタである(PVのみであり、ゲーム本編には存在しない会話である)。
その他
このような過激な内容から、GTA3以降のシリーズはコンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)によるレーティングにより「Z(18才以上のみ対象)」に区分されている。
特にGTA3に関しては、ある元アイドル歌手がこれを有害図書に指定し、抗議ののろしを上げた事件が有名である。
GTAシリーズのお膝元であるアメリカではどうかと言えば、もっと風当たりは強く、特にGTASAでセックスシーンを露骨に描写した(後述しているが、その部分は未使用)ことに対して、ヒラリー・クリントンを初めとする議員達による抗議行動が巻き起こった。
ニンテンドーDSで発売された「チャイナタウンウォーズ」は日本国内販売のDSソフトでは「CERO区分Z」に指定された唯一のタイトルである。今のところはこれ以降Zに指定されたソフトは出ていない。
なお、「チャイナタウンウォーズ」は日本では初めて任天堂のゲーム機で発売されたGTAであり当時は唯一のソフトだった(海外ではGTAアドバンスがGBAでリリースされていた)。
後に「GTA3」「GTA:VC」「GTA:SA」の三作をリマスターかつ一つに収録した「トリロジー」がNintendo SwitchでもDLソフトとして配信されている。
PC版ではMODの開発が盛んに行われており、主人公をアニメのキャラクターに変えたり、実車のモデルを導入する人も多い。
グランド・セフト・オートを訳する場合、「偉大なる車泥棒」は誤訳。「車泥棒」は意訳的であるがどちらかと言うと「車両強盗」といった意味合いが強い。
日本ではローカライズ版販売をカプコンがⅢからIVまで担当していたが、現在はTake-Two Interactiveの日本支社が担当している。
流石にまずいということでカットされた、露骨なセックスシーンを描いたミニゲームのデータを、削除することなく収録(未使用)しており、ファンの解析によってそれが発掘されてしまい、またしても大批難を浴びた。これがいわゆるHotCoffee問題として大きく取り上げられ、この件で当時アメリカ合衆国上院議員であったヒラリー・クリントンが「Family Entertainment Protection Act(FEPA:家庭向けエンターテイメント作品製造法)」が提出するまでに至っている(大まかな内容はレーティングをESRBではなく連邦政府が行い、成年向けゲームを未成年者に売った場合の罰則規定なども盛り込まれていた。だが、法案自体は違憲判決が下され結局廃案となった)。