概要
『グランド・セフト・オート(以下GTA)』シリーズ第5作目。
架空の州・サンアンドレアスを舞台にギャングたちの抗争を描いたクライムアクションゲーム。
2004年10月に発売されたPS2版を皮切りに、PS3、XBOX、Xbox360、Windows、iOS、Android、WindowsPhone、Kindle、AmazonFireTV…と、現在まで様々なプラットホームで対応ソフトが発売されている。
ゲームシステム自体は『GTA3』をベースにしており、『GTAバイスシティ』に続く「GTA3の第3作目」とも称されているが、自転車、水泳、その他様々な機種の運転要素の追加や、プレイヤーの能力値や衣装変更による外見のカスタマイズ要素など自由度が大幅に増強されており、シリーズ屈指の出来と称される。反面、PS2のスペックを限界まで使い切ったために風景のロードが追い付かなかったりして障害物にぶつかってしまうなどといった不具合もあった。
シリーズ最大の問題となる「Hot Coffee(いわゆる性行為の描写)」問題を抱え、日本語版の発売の遅れや、やり過ぎの自主規制など散々な結果になってしまった。後に仕様変更により2007年にようやく日本語版発売となったが、それを嫌って北米輸入版(規制の最もゆるいPC版が推奨とまで言われた)を購入し、日本語MODを入れて遊ぶゲーマーが続出。それを教訓に日本で販売をしていたカプコンは次作GTA4をノーカットで発売した。
ストーリー
舞台は1992年のサンアンドレアス州。
主人公のカール・ジョンソンは、5年前に起こったとある事件をきっかけに故郷を離れ、東海岸のリバティーシティで暮らしていたが、兄のスウィートから母の訃報を聞き、再び生家のあるロスサントスへ戻る。
空港を出て間もなく、因縁ある汚職警官フランク・テンペニーとその部下達に捕まり、彼らの同僚ラルフ・ペンデルベリー殺しの罪をなすりつけられてしまう。また、かつてカールが所属していたカラーギャング「グローブストリート・ファミリーズ」は、敵対する他勢力のギャング団によるドラッグの拡散と度重なる抗争により弱体化しており、母やかつての仲間の多くもこうした抗争に巻き込まれ他界した事実を知る。
グローブのリーダーでもあるスウィートは5年前にファミリーを抜けたカールを冷遇するも、現状を知ったカールはファミリーを再燃させるために奮起する。
主な登場人物
Carl “CJ” Johnson/カール・ジョンソン
CV:Young Maylay
本作の主人公。通称“CJ(シージェイ)”。
本編の5年前、弟であるブライアンの死を受けて、全ての重圧から逃れるためにロスサントスから離れ、リバティーシティのジョーイ・レオーネの下で犯罪をしながら生計を立てていた。
物語冒頭に、兄のスウィートから母ビバリーの死を伝えられ、5年ぶりに故郷に戻る。
目的のためならば、殺しや襲撃といった行為も冷徹に遂行する一方で、家族や仲間のことは大事に思っており、帰郷早々に母だけでなくかつての仲間たちの死を知って落胆する姿をみせている他、本編にて裏切り者であるかつての友を殺害した際には悔やみ切れない気持ちを顕にしている。その他、女好きでもあり、任務の最中にナンパをしようとしたこともある。
モデルはドクター・ドレ。
Sean “Sweet” Johnson/ショーン・ジョンソン
CV:Faizon Love
ジョンソン家の長男で、CJ、ブライアン、ケンドルの兄。通称“Sweet(スウィート)”。
カラーギャング「グローブストリート・ファミリーズ」のリーダー。グローブへの思い入れは人一倍強く、それ故に頑固で気難しいところがある。
当初は5年間ロスサントスから逃げていたCJに対して辛く当たっていたが、彼の活躍によりグローブがが再び勢力を取り戻してきたことで信頼するようになる。
モデルはアイス・キューブ。
Kendl Johnson/ケンドル・ジョンソン
CV:Yo-Yo
CJ、スウィートの妹。
ギャングファミリーに生まれ、兄たちもギャングとして生きている中で、こうした危険な世界から足を洗って真っ当に生きてほしいと願っている。ヒスパニック系ギャング「バリオス・ロス・アステカ」のリーダーであるシーザーと付き合っているが、スウィートからは敵対勢力かつ異人種と恋仲であることを快く思われておらず、顔を合わせるたびに喧嘩をしている。
Melvin “Big Smoke” Harris/メルヴィン・ハリス
CV:Clifton Powell
グローブの古参幹部。通称“Big Smoke(ビッグ・スモーク)”。
黒いハットと黒縁メガネが特徴の肥満体の男。組織内では理論的な考え方の持ち主であり、敵対ギャング「バラス」が行っている麻薬ビジネスについては推進派としてスウィートと意見を対立させている。帰郷したCJには親身に接しており、彼にはよく聖書や哲学書から引用した人生訓を語る場面もある。見た目に違わず大食漢であり、とある任務で仲間と食事をしにドライブスルーへ立ち寄った際にはとんでもない量の注文をし、CJたちを唖然とさせた。
日本では、スウィートが彼と遊んでいるときに彼を「porkchop」と呼んで煽る台詞が「トンカツ野郎」と翻訳されたことから「とんかつ」と渾名されることも。
元ネタは東海岸のラッパー、ノトーリアスB・I・G。
Lance “Ryder” Wilson/ランス・ウィルソン
CV:MC Eiht
グローブの古参幹部。通称“Ryder(ライダー)”。
黒いキャップとサングラスが特徴の小柄な男。粗暴な性格かつマリファナ中毒者で、普段から口汚い言葉を用いたり、時偶支離滅裂な発言をすることもあるが、どこか憎めない性格。よく任務にCJを連れ出すこともあるが、彼に関わる任務は大概強盗や襲撃といった苛烈なものが多い。
モデルはイージー・E。
Jeffrey "OG Loc" Cross/ジェフリー・クロス
CV:Jonathan Anderson
通称"OG Loc(オージー・ロック)"。グローブストリート・ファミリーズの一員を名乗り「ギャングスタ」を自称するがスウィート達からは認められておらず、専らからかわれている三枚目。
ゲーム開始時には服役していたがCJの帰郷と同時期に出所。保護観察処分を受けてバーガー店の清掃員に就職する。
本人はラッパーとして大成することを目論んでおり、CJはその為に奔走する事となる。
Mark "B-Dup" Wayne/マーク・ウェイン
CV:The Game
通称"B-Dup(Bダップ)"。グローブの古参メンバー。後述のビッグ・ベアとコンビを組んでおり、強力コンビとして名を馳せていたが‥
Barry "Big Bear" Thorne/バリー・ソーン
CV:Big Boy
通称"Big Bear(ビッグ・ベア)"。グローブの古参メンバー。その名の通りの巨漢。Bダップとコンビを組んでいた。
Emmet/エメット
CV:Eugene Jeter J
Seville Boulevard Families(セビル・ファミリー)というグローブの構成グループ所属の武器商人を務める老人。セビル・ファミリー自体も弱体化しており目下グローブとは決裂状態にあるが、昔馴染みのCJ達には協力してくれ、武器を提供してくれる。ただし大分ボケが進行している模様。
Cesar Vialpando/シーザー・ビアルパンド
CV:Clifton Collins
ヒスパニック系ギャング「バリオス・ロス・アステカ」のリーダー。ケンドルと付き合っており彼女の事を心から愛しているが、肌の色の違いを理由にスウィートからは快く思われていない。しかし、シーザーの誠実さを知ったCJとは信頼関係を築き、良き友人としてCJに力を貸すようになる(CJがシーザーに力を貸す事も)。
ローライダー愛好家で非合法のストリートレースにもしばしば参加しており、CJがサンフィエロに移住してからは自動車に関する知識や技術を活かしてガレージ経営や盗難車転売ビジネスに協力するようになる。
Wu Zi Mu/ウージー・ムー
CV:James Yaegashi
チャイニーズマフィア「トライアド(三合会)」を構成する「マウンテン・クラウド・ボーイズ」のボス。通称“Woozie(ウージー)”。漢字表記では「武梓穆」。
常にサングラスをかけた盲目の青年。だが視覚以外の感覚がズバ抜けている上に類稀な幸運の持ち主で、自動車運転や銃撃を人並み以上にこなせる。聡明で組織のボスとしても有能である事から、「幸運の土竜」という通称を持ち部下から慕われている。
サンフィエロの中華街に拠点を置き、賭博場の経営による収入を得ている。CJとはレッドカウンティでのストリートレースで知り合い、サンフィエロに移住してきたCJにいくつかの仕事を任せて良好なビジネス関係を築き、後に自身がラスベンチュラスに進出してカジノ経営を始めた際はCJを共同経営者の地位に据えている。
The Truth/トゥルース
CV:Peter Fonda
フリントカウンティの農場で麻薬の栽培や生産、販売をしているヒッピーの老人。国家の陰謀論や宇宙人など意味不明な話をする事がある。
テンペニーに麻薬の横流しをしており、彼を介してCJと出会う。テンペニーが麻薬の代金支払いをCJに押し付けた為、CJに仕事を与え代金を回収しようとしていたが、麻薬捜査官に農場が見つかってしまい農場を焼き払ってCJと共にサンフィエロに向かう。その後は用がある時のみCJの前に現れるようになる。
Mike Toreno/マイク・トレノ
CV:James Woods
麻薬密売組織「ロコ・シンジケート」の謎多きボス。CJに組織と幹部をまとめて潰され、自身もヘリで逃亡を図るも撃墜される。しかし実際にはヘリに乗っておらず生存しており、後にCJの前に姿を現し自らの正体と真の目的を明かす。
自身の目的の為、スウィートを人質に取りCJを恫喝してまで危険な任務に就かせようとするが…?
Frank Tenpenny/フランク・テンペニー
CV:サミュエル・L・ジャクソン
ロスサントス市警C.R.A.S.H.(Community Resources Against Street Hoodlums、組織犯罪対策課)所属の警官。CJとは彼が一介のチンピラだった頃からの腐れ縁。
典型的な悪徳警官で、ロスサントスの各ギャングから金品を巻き上げたり、恫喝して汚れ仕事をやらせたりしており、その一方でギャングの動向を敵対ギャングに伝えたり、汚れ仕事に必要な武器を提供したりもしている。また警官でありながら麻薬の常習者であり、北米版では麻薬を吸引するシーンがしっかり描かれている。
このように擁護のしようがない悪党だが、今わの際にかつては使命感と正義感に燃えた警官であったことをうかがわせるような言葉を遺している。
Edward Pulaski/エディ・プラスキー
CV:Chris Penn
ロスサントス市警C.R.A.S.H.(Community Resources Against Street Hoodlums、組織犯罪対策課)所属の警官であり、テンペニーの部下。白人。
粗暴な性格の人種差別主義者だが、権力には逆らえずテンペニーの腰巾着に収まっている。
Jimmy Hernandez/ジミー・ヘルナンデス
CV:Armando Riesco
ロスサントス市警C.R.A.S.H.(Community Resources Against Street Hoodlums、組織犯罪対策課)に最近配属された新人警官。ヒスパニック系。
真面目で実直な模範的警官であったが、C.R.A.S.Hに配属されてしまった事でテンペニーの悪事に加担せざるを得なくなってしまっている。
その他
舞台となるサンアンドレアスは、実は『GTA(シリーズ第1作目)』で初登場している。
ただし、この頃は州ではなく都市という扱いだった。名称の由来はアメリカの実在の都市であるロサンゼルス、サンフランシスコ、ラスベガスから。
『GTASA』では、上述の3都市を持つカリフォルニア州・ネバダ州をベースに3エリアからなる広大なマップにリメイクされており、それぞれ、ロサンゼルスがモデルのロスサントス、サンフランシスコがモデルのサンフィエロ、ラスベガスがモデルのラスベンチュラスで構成されている。
後の『GTA5』もサンアンドレアスを舞台としているが、『SA』とは別世界設定かつ構成が異なり、大都市ロスサントスを抱える「ロスサントス郡」とその北に位置する自然豊かな「ブレイン郡」の2つのエリアに分類される。舞台も1990年代から2010年代へ変化していることもあり大幅に近代化が進んでいる他、『SA』での主要舞台であったグローブストリートは見る影もなくなってしまった。
本作の何人かの登場人物は実在のラッパー、特にゲームの舞台の元ネタになったカリフォルニア州コンプトンで結成されたグループ「N.W.A」のメンバーがモデルになっている。
武器
リンク先はモデルとなった武器。
殴打武器
近接武器
拳銃
散弾銃
短機関銃
突撃銃
狙撃銃
ライフル(マーリン M336)
重火器
熱追尾式ロケットランチャー(9K32 ストレラ-2)
投擲武器
催涙ガス
その他
関連タグ
黒人差別……本作の舞台年は記事内にあるロス暴動が発生した年、1992年である。