概要
イタリア・プレッシアに本拠を置く銃器メーカー、ルイギ・フランキ社がイタリア軍の主導した軍用散弾銃開発計画に沿って開発した軍用ショットガンである。
SPASはSpecial Purpose Automatic Shotgun(特殊用途向け自動式散弾銃)の略である。
同社が製造・販売する民間向けオートマチック・ショットガン、PG80をベースに開発された。
最大の特徴として、フォアグリップ先端部のボタンを押してフォアグリップを動かすことで自動式(セミオート)から手動式(ポンプ・アクション)に切り替えることが可能なコンバーティブル・ショットガンである点が挙げられる。
この独特のメカニズムを採用したため、全体として重くかさばり、取りまわしにくい銃になってしまった。
しかし一方で、その重量ゆえに12ゲージシェルの強烈な反動がマイルドになり、撃ちやすくなったというメリットもある。
軍用銃として、過酷な環境に置かれることを考慮し、耐久性を優先して設計された。レシーバー後端下面にバーチカル(独立)・ピストルグリップを装着し、スチール板をプレス加工した折りたたみ式のショルダー・ストックが装備された。
ストックに付いたU字型の金具を使うことで片手保持が容易になるデザインとなっていた。
また、銃身周りには、射撃後の過熱した銃身から手を保護するために、スチール板をプレス加工し、多数の冷却用通気孔を開けたハンドガードが装備されている。
欠点としては、弾を込める際にフレームのボタンを押しながら込めなければならないが操作に両手が必要(=構えながら弾を込めることが出来ない)なことや、2.75インチ弾しか使用できないために通常のショットガンにはある「口径が同じならばより強力な3インチ弾も使用できる」という利点がないことが挙げられる。
また、発射機構が複雑なため銃本体のサイズが大型化してしまいショットガンに必要な「狭い空間での取り回し」が困難になってしまった。
以上の結果、肝心の軍や警察にはまったく採用されなかった。
見た目がいかついためか、一応は軍用として開発されたためか、アメリカでは使い勝手の悪さの割にアサルトウェポン規制の対象となり、民間での販売が出来なくなってしまった。
すでに生産は終了しており、弾倉を箱型(マガジン)に変更した「スパス15」に切り替わっている。
基本データ
全長 | 1041mm |
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銃身長 | 505mm |
重量 | 4400g |
使用弾薬 | 12ゲージ |
装弾数 | 7/8発 |
フィクションにおいては
- 現実では前述のとおり実用性に難があり、採用数は少なかったが、その特徴的な外見からビジュアル的に映えるのか、映画やゲーム等に登場する機会が多い。
- 映画では、「ヒッチャー」、「ジュラシック・パーク」、「ターミネーター」、「マトリックス」など、ゲームでは「バイオハザード:コードベロニカ」、「アンチャーテッドシリーズ」、「バトルフィールドシリーズ」などに登場。
他にも様々な作品に登場し、人気の高い銃の一つである。