概要
上記のように可燃性の液体を入れて火をつけた瓶を投げることにより、落ちた場所で瓶が割れ可燃性の液体が周りに散らばり、それに栓に点けた火が引火することにより広い範囲を燃やすもの。
他には、混ぜることで発火する化学物質を瓶の内外に塗布、或いは試験管に詰めて布の代わりに蓋をし、瓶が割れることで化学反応を起こし発火するものもある。
こちらのほうが安全で、なおかつ火種の心配がない。しかし、誤って瓶を落としてしまうと大惨事になる。実際、暴動に参加した中核派の女が運んでいる途中落として焼死した事例もある。
暴動では機動隊や軍隊のいるところだけではなく抗議相手の車に投げつけられることもある。
武器としての原理はきわめて単純だが、原始的と侮るなかれ。過去には戦車や装甲車がエンジンに喰らって炎上し行動不能にさせられたり(この対策として、戦中から次第に戦車のエンジンからガソリンエンジンが淘汰されていった)、車両内部に投げ込まれて搭乗員ごと火だるまになるなど、安価で簡単に作成可能な対戦車兵器として重宝されたこともあった。
戦後の日本においては、主に学生運動で用いられ、極左暴力集団が暴動の際に必ずと言っていいほど使用していた。だが、『爆発物』として扱うことが出来ず、かと言って他の法律でも被害が起きてから『障害致死傷』や『器物損壊』で罰するのが関の山だった。
そこで、火炎瓶を名指しで規制する『火炎びんの使用等の処罰に関する法律』が制定され、製造・所持・保管・運搬・使用は法律で厳しく規制されている。(参考)
ちなみに、昭和40年代の三里塚闘争において、経緯は不明だが機動隊員が建設反対の過激派に火炎瓶を投げている映像がある。
また、無線でのやり取りにおいて『かえんびん』が『かいーんびん』と発音されたことで、報告内の火炎瓶が途中でカービン銃に変わってしまうということも起きたとか。
他国の暴動などでもよく用いられており、昔のテレビでは各地の衝撃映像を集めた特番などで、火炎瓶を投げられて炎上する治安機関の車両や、暴徒の投げた火炎瓶が前にいた別の暴徒に誤爆炎上してしまうシーンなども放映されていた。
この歴史的に使用された経緯があるため、興味本位で作成して持ち歩くなど、たとえ使用する意図が無くとも危険物所持の疑いで逮捕される可能性がある。
そもそも、可燃物を用いる以上、作成中や持ち歩いている段階で火事や火傷の原因になり非常に危険なので、簡単に作れるからといって絶対に真似しないように。
ただ、もし簡単に作ろうとする場合は手頃な瓶を使う所から、720ml程度のお酒の瓶を素材に使うことが推測されるが、最近の瓶は割れにくくできており、それを使ったところで効果は限定的である。だからやめましょう。
なお、瓶の中に入れる燃料はガソリンやエーテルなどの揮発性のある燃料や灯油などのボロ布に浸せば火がつく程度の着火性がよい(引火点が低い)燃料を使わなければならない。
逆に、サラダ油、行燈等に使う菜種油などの植物油は引火点が高い(火が点き辛い)ので、火炎瓶には適さない… が、一度火がつくと消え辛いので油を撒いてから火矢で… というシチュには使用できる。
つまり、ファンタジーTRPG等の、例えば現実の中世ヨーロッパ程度の文明を舞台とする世界で、火薬や魔法的手段抜きの火炎瓶(火炎壺?)を作る場合は精製に手間がかかる高純度のアルコール(酒精、蒸留酒)やテレピン油などを使うといった工夫が必要。
なお、ナーロッパ等と揶揄される中世風ファンタジー世界の場合は作者の匙加減となる。
関連タグ
ナパーム弾:燃料に着火性と消え辛い性質を両立させた焼夷弾。作り方の中にナパーム弾と同様の効果を狙った方法がある。例:ガソリンと灯油の混合など
使用された国
フィンランド:冬戦争で使用され、別名のモロトフカクテルの由来になっている。
ウクライナ:2022年のロシアのウクライナ侵攻の際に抵抗の手段として作り方や攻撃法が現地のテレビ番組やSNSで拡散している。
TRPGでの例