経緯
2020年3月に香川県議会で可決され、翌月から施行された条例。インターネットの利用時間とコンピュータゲームのプレイ時間を規制する日本初の条例であり、日本国憲法13条の自己決定権を侵害するおそれがあるとして全国的に物議を醸した。
ネット・ゲーム依存症対策として、18歳未満の子供について、平日は60分、休日は90分までとする「目安」を保護者は順守させなければならないとしている。また、ネット・ゲーム事業者も県の依存症対策に協力することを定めている。ただし、罰則は設けられていない。
「ゲームは一日一時間」は高橋名人の名言としてよく知られている言葉であるが、彼は「マナーやルールとして言うべきであって、国や県が条例などの法律で縛るまでの事では無いかなと思っています」とコメントしている。
この条例は香川県議会の議長である大山一郎の発案によるもの。
大山は自民党所属の議員であるが、香川県議会の自民党は多数派の「自民党県政会」と少数派「自民党議員会」の2会派に分裂しており、県政会と公明党の賛成多数でこの条例は可決された。
反応
これに関しては「香川県は正気か?」「香川県は鎖国するのか」「香川県からネットワークインフラ撤退待ったなし」「香川はディストピアでも始めるのか」「香川県民は今すぐ隣県に亡命しろ」「翔んで香川」「香川県民にはそこらへんのうどんでも食わせておけ」といった呆れたような意見があった。
ついには「香川県からの接続は1時間まで」といった断り書きまで出てきた。(当然、一連の出来事に対する香川県への皮肉である)
真面目な意見としては、香川県では県民食のうどんによる糖尿病が社会問題となっているため、一部では「ゲームよりもうどんを規制すべきだ」という声もある。
その後
施工から4年半経過した2024年10月2日に香川県議会で条例の成果や「依存症」名称の使用の是非について議論が行われた。(KSB)
立憲・市民派ネットの所属である植田真紀議員はまず条例の効果を第三者によって検証するつもりがあるかを質問したが、子ども政策推進局の井手下局長は「現時点ではご提案の第三者による検証、結果の発信ということは考えてございません」と回答し、植田議員は条例の成果が議会の身内のみの成果報告にとどまっていることを指摘した。(県側は県内の「症例者」の実数の把握すらしていないにもかかわらず、「一定の効果があった」と局長が発言したことも問題である。)
また、植田議員は「"ゲーム依存症"なるものが本当に存在するのか」と質問したが、井手下局長は「疾病名とはとらえておりませんで、条例上で定義する状態像であるということでございます」と回答した。
『依存症』という語は誤解や偏見につながりやすいとの医師からの意見もあり、香川県教育委員会が児童向けに配布している「学習シート」は2024年度版の改訂から「ゲーム症(ゲーム依存症)」としていた説明が「ゲーム行動症(ゲーム症)」に文言が変更された。
植田議員の「定義があいまいだから誤解や偏見に子供たちを晒してしまう」という指摘について、井手下局長は「他の依存症も含めて、本人の意志の弱さであるとか性格の問題というふうに誤解がされがちだということで、偏見や差別の対象になるという問題があるというふうに私も認識をしております。」と回答した。
なお、WHO・世界保健機関の「国際疾病分類」の和訳について、ゲームのやり過ぎで日常生活が困難になる状態についてはこれまで通称で「ゲーム依存症」や「ゲーム障害」などが使われてきたが、厚生労働省は2024年9月19日から、「国際疾病分類」の最新版の和訳について、同状態については「ゲーム行動症」という訳が採用され、今後統一されることを決定している。
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