「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせておけ!」
概要にはそこらへんの草でも食わせておけ!
1982年〜1983年に「花とゆめ」の別冊に3話掲載された短期連載作品。
東京都民に埼玉県民が迫害されるパラレルワールドの日本を舞台に、レジスタンスの戦いを描いている。
作者の魔夜峰央が当時埼玉県に転居したところ、近所に担当編集者らが住んでいたのでストレスが半端ないものとなり、その憂さ晴らしから描いた作品。
- インタビューによると、上京に際し居住地(所沢市)を勧めたのは当の担当であったが、それが監視のためと見抜けず、編集長・編集部長という版元のお偉方が数分で駆けつけられる場所に住んでしまったとのこと。
当時は自らが埼玉県民であったため、自虐ネタとして描いていた(ここ重要)。しかしその後東京に脱出成功し、埼玉県民でなくなってしまったため「続けると単に悪意ある作品になってしまい、洒落にならない」ということで3話で自ら打ち切っている。後述の実写化で言うと埼玉デュークの暗躍を知ったところで終わっている。
ところがその後数十年たってから、埼玉のdisられっぷりがネットで話題となり、深夜番組などで紹介されたことでさらに注目を浴びる。ついには所沢市をはじめとする、他ならぬ埼玉県の各市市長から苦笑まじりの応援コメントをいただいてしまった。
ちなみに、この頃の魔夜は自ら「冬の時代」と称するほどの苦境にあり、宝石類を手放したのみならず、自宅を売り払う瀬戸際まで来ていたが、本作が唐突にブレイクし、数十万部再出版されたことにより借金を完済できたという。
また、本作は執筆当時はあまりウケなかったらしく絶版になっていたとの事。その後ネットでのローカルネタ(グンマー等)が追い風となり隠れた迷作っぷりが評価された事で、すなわち時代が追いついた。
登場人物ならそれで治る!
学院長の孫で、各方面に優秀な美少年。隙が無さ過ぎる上に本人も完璧であろうと気を張り続けていたため周囲と打ち解けられず、孤独感にさいなまれていた。麗との出会いで心境が変化していく。
作中では特に女装などはしないが、魔夜峰央作品に登場する美少年の例にもれず、男の娘要素がある。また、女優の二階堂ふみをあえて初の男役として選んだ事にもその部分への本気度が窺える。
(映画化では二階堂ふみがキャスティングされた時点で女性に設定変更する予定であったらしいが、当の本人が「そのまま男性として演じたほうが面白い」とのたまったため、性別の変更はなくなっている)
また、実写版では名前が「白鵬堂百美」から「壇ノ浦百美」になっている。実写版では都知事の息子。
美形の転校生。表向きは東京の名家の息子で、アメリカからの帰国子女。実際は埼玉の地主出身で、将来は埼玉県民解放運動を推し進める政治家となるべく、密かに教育を受けていた。
当初は外国で育ったため埼玉県民の苦しみを理解できずにいたが、やがて迫害の実態を知り、レジスタンス運動に身を投じることになる。キャラの元ネタは、作者の友人で元タカラジェンヌの麻実れい。
実写版では原作よりも海外経験が長い(原作では2年、実写版では10年以上)にもかかわらず、最初から埼玉への郷土愛が強かった。GACKT氏は出演にあたり、高校生役のオファーに困惑したものの、以前から魔夜峰央氏のファンだったということもあり、「無理のある設定の漫画なので、無理がもう一つぐらい増えても問題ないか」とオファーを受けたという。
麗の実父は所沢の名士で本人としてはそれなりに風流を嗜んでいるつもり…なのだが俳句のはずが川柳になっていたりと、disられっぷりの背景を描写している。実写版では実父は別の人間になっている。
埼玉県民でありながら、身分証明書を持たずに出歩いても東京都民と疑われることがないという、気品とカリスマ性を兼ね備えた伝説の埼玉県人。その正体は不明ながら、レジスタンスのリーダーとして密かに活動を続けている。
側近に、東郷修(演:鈴木勝大)と岩村智志(演:福山翔大)がいる。
詳細・外見が描写される前に原作が打ち切られたため、実写化に際し外見・キャラクター像が新造された。なお作者は連載当時デューク東郷を想定していたという。
千葉解放戦線リーダー。映画オリジナルキャラクターであり、原作には登場しない。そもそも、原作には千葉の事は一行も登場しない(ただし、魔夜の他作品には千葉ネタが存在する)。
百美の夢オチという形で麗と濃厚なキスシーンを披露したが、これは麻実麗役のGACKT氏の提案で追加されたシーンだという。
貴様、実写映画だな…?
2019年2月22日にはなんと実写映画として公開された。
製作はフジテレビ・テレビ埼玉・東映で、配給は東映。
監督は「テルマエ・ロマエ」を手がけた武内英樹、脚本は徳永友一。
無駄に豪華なキャストと人員を起用(だが、肝心の主演二人は沖縄出身である)し、ローカル誇張ネタの小ネタをびっしり埋め込んだ悪ノリの限りを尽くした内容となっている。ちなみに冒頭には原作者である魔夜峰央とその一家(妻・娘・息子)総出演という謎の豪華さ(余談参照)が。
舞台は現代の日本となっており、原作の物語は「埼玉県に伝わる伝説」という形で展開していくが、要所要所で舞台が現代へ移り、現代でのローカルネタが差し込まれるという構成である。原作での埼玉デュークの暗躍を知った後は実写化オリジナルの展開。
新たに埼玉と千葉のライバル関係や、原作では名前が登場するに留まった伝説の埼玉県人・埼玉デュークの登場などの要素を盛り込み、埼玉・千葉・茨城・群馬を股にかけて展開する。
また、映画内では埼玉へのdisりっぷりが前面に押し出されているが、実のところ、一番酷くdisられているのは群馬県だったりする。全方面への喧嘩の売りっぷりが半端じゃない作品だ…。
実は埼玉をネタにしておきながら埼玉県ではロケは行われなかった。
しかし「クレームに備えてQ&Aを用意していた」という武内監督の心配を裏切って映画は絶好調。
ローカル誇張ネタという人を選びなおかつ関東民でないとわからないネタも多い中、その作り込みから埼玉では歴代観客動員数を塗り替える大ヒットとなった。
しかもクレームが一件もないばかりか、公開初日から観客数で一位を取り全国でロングラン上映され、4月20日時点で33億円を稼ぎ出すに至る。そればかりか、イタリアの第21回ウディネ・ファーイースト映画祭では観客賞を受賞※、さらに第43回日本アカデミー賞においては作品賞、主演男優賞、主演女優賞を含む最多12部門で優秀賞を受賞するという快挙を成し遂げてしまった。世の中何が起こるかわからないものだ。というか、どうなってるんだ日本
なお、実写版の主題歌「埼玉県のうた」を歌っているのは16年前に「佐賀県」をヒットさせた佐賀県民のはなわであるが、実は出生地は埼玉県春日部市。
そのため生まれの縁で10年以上前からすでに「埼玉県」という楽曲は持ち歌に存在し、今作はそれをリメイクしたものとなっている。
まさかの続編…!
さらには2021年8月11日になんと続編製作が発表。
ホントどうしちゃったんだろ日本
これには作者直々に「改めて言うが、正気かおまえら」と喜びと感謝のコメントが寄せられた。
その後、covid-19の流行や主演俳優であるGACKTの健康問題などによるプロジェクトの延期もあったものの、2022年10月1日、2023年公開であることが改めて発表される。
続編タイトルは「翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~」で、11月23日上映。
- タイトルから分かるように、今度は関西圏も巻き込む内容となり、どうやら埼玉県人の悲願である「海有り県」とするべく越谷市に和歌山県の砂を運ぶ計画が始動するらしい…。
なんと公開2週間目にして興行収入は10億円を突破しており、早くも第3弾制作企画が立ち上がっているとのお噂まで浮上している。しかも決定した暁にはこの方が出演をご希望だとか……。
正気か日本?!
迷言
・埼玉だなんて言ってるだけで口が埼玉になるわ
・埼玉県民が人間並みのことをぬかすな!つばでもつけとけ!
・埼玉狩りだー!
・気の弱い女性はその地名を聞いただけで卒倒してしまうというあの茨城です。
余談
- 魔夜によると、冒頭の場面で登場する10人のダンサーのうち、センターが息子の山田眞央。なお、残りの9人は彼の所属するバレエ団のトップダンサーたち(!)で、眞央は恐縮しながらの撮影になったという。その後に登場するのが魔夜で、その両脇にいるのが妻の芳実と娘のマリエである。なお、芳実は茨城県出身であり、作中での茨城県の扱いについて、茨城県のご親戚から苦情を申し立てられたとか。
- 千葉出身の竹内監督は、埼玉を気にするあまり千葉に対する気遣いをすっかり忘れており、撮影後に「千葉に帰るのが怖い」と怯えていたとか。なお、埼玉県人からは「もっといじめてほしかった」と暖かい言葉をいただいたらしい。
- 武内監督は、「テルマエ・ロマエ」「テルマエ・ロマエII」でも、ウディネ・ファーイースト映画祭で観客賞を受賞している。
関連イラスト狩りだー!
関連タグなんて言ってるだけで口が関連タグになるわ!
花とゆめ 魔夜峰央 実写映画 実写化 / 実写版 映画化 / 劇場版
お前はまだグンマを知らない:ローカル誇張ネタ、また同性愛要素作品繋がり。
埼玉県 所沢市 自虐 ださいたま 埼玉ポーズ サイタマラリヤ
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魔夜峰央作品50users入り → 魔夜峰央作品100users入り → 魔夜峰央作品500users入り → 魔夜峰央作品1000users入り