by ドズル・ザビ
概要
兵員の量によって敵を圧倒し消耗させ撃破する戦術である。この戦術は実は基本戦術の一つであり、古来より相手の倍の兵力を用意することは用兵における正道であり正攻法である。技術や装備的に劣っており一対一では到底勝てない場合でも、一対複数ならば勝てる可能性がでてくる。
逆に少数により多数を打ち破ることは通常困難であり、多少の条件的優位があっても多数の損害が予測されるため、何らかの理由で圧倒的に有利な状態で戦闘できる場合を除いては、決して行ってはならない行為(邪道)とされる。
特に陸戦では、精強だが少数の兵士が装備や練度の劣る多数の兵士に当たり、包囲殲滅されるという実例が多くある。例えばイタリア王国時代のイタリア軍は1894年から96年に1万人の戦力でエチオピアに侵攻した(第一次エチオピア戦争)が、10万人以上を動員したエチオピア軍の人海戦術に惨敗し植民地化に失敗したため、この経験を踏まえてファシストイタリアは第二次エチオピア戦争(1935年)で50万人を投入、エチオピアの占領に成功している。
物量作戦でもそうだが、人海戦術では兵站が特に重要である。いかに多数の兵員を揃えても、彼等の消費する膨大な物資を常時供給し、また整備や医療を提供できなければ、何の意味もない。実際、人海戦術が兵站から破綻した例も多い。
兵員が多いだけに兵站の破綻による人的被害は膨大なものとなり、以降の軍隊や国家を維持することに支障をきたし歴史のターニングポイントとなることもしばしばである。
ゲームなどの実例
ゲームでもこの手の事態は割と起きやすく、戦闘能力に圧倒的な差があれば下記のように無双が可能となる。しかし、格下だが差はそんなに大きくはない場合や圧倒的な数で攻められた場合は少数で多数に当たればいずれやられてしまう。
以下はその例である。
- ファミコンウォーズのバズーカ兵:生産コストが安く、先制攻撃できれば軽戦車並の攻撃力を持つバズーカ兵を、ドミノやヤマモトなどの歩兵系ユニットの扱いに長けたショーグンで圧倒する戦術。ただしこれは一種の禁じ手であり、対人戦でやると相手に不快感を与え(実際、公式攻略本にも本当にやらないよう注意喚起がなされている)、対CPU戦でもたとえこれでクリアしてもクリアタイムなどの評価が著しく低くなる(ほぼ100%低評価)。
- ニコニコ歴史戦略ゲー動画【101匹阿斗ちゃん】:元のゲームでもネタにされるほど低ステータスの阿斗こと劉禅をエディット武将登録で101匹(人ではない)追加してみたというネタ動画。ただし、他勢力の地盤が固まる前に迅速に侵攻しないと自分が詰んでしまう。
- BETA、インベーダー、宇宙怪獣など:圧倒的な物量で襲い掛かってくる人類の脅威。
ただし、上記以外の(特に創作)世界などでは、人海戦術および物量作戦は少数精鋭の無双によって打ち破られるもの(英語圏ではこれを「ストーム・トルーパー効果(Stormtrooper effect)」と言う)と相場が決まっている。
例:仮面ライダー・スーパー戦隊などの特撮ヒーロー、スーパーロボット大戦・ファイアーエムブレムなどのSRPGで高レベル・高性能ユニットでの無双など.
もっとも、無双はしても撃退できない、というパターンも無いではないが。
関連イラスト
関連タグ
米帝プレイ/捨て艦:ゲーム「艦隊これくしょん」における物量・人海作戦を連想させるタグ。各記事参照。