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捨て艦

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すてかん

ブラウザゲーム『艦隊これくしょん』にて行われている戦法及びそれに使用される艦娘の総称。

概要

2013年8月26日(夏季イベント後)のアップデートにより、旗艦大破した状態での出撃・進撃は不可能となり、強制的に母港へと帰還するように変更された。

更に同時に行われた「かばう」システムの実装、敵対キャラである深海棲艦の装備の性能向上、連撃の仕様変更、相変わらずの羅針盤の気まぐれにより起こった戦術・運用でもある。

早い話が、弱い艦・低レベルの艦を身代わりにする戦法。後述の通り、太平洋戦争において敗色が濃厚となった時期の日本海軍も囮戦術を多用した事実がある為、米帝プレイにかけて日帝プレイと呼ばれることもある。

駆逐艦軽巡洋艦が優先的に潜水艦を攻撃する仕様を逆手に取って潜水艦を囮にする戦法、所謂『潜水艦デコイ』も存在するが、あちらと決定的に違うのは轟沈を前提としている事であり、捨て艦役がHP1で死にかけている状態でも構わず進軍させる点が潜水艦デコイとは大きく異なる。

大破状態で進軍し、次の戦闘攻撃に晒されるような事があれば当然轟沈するし、仮に運よく生き延びたとしても捨て艦として選ばれるのは大抵不要な艦なので、解体されるか近代化改修に使われて消滅する(設定上では艤装を外して人間に戻っているだけだが)事が殆どである。

その為、解体や近代化改修によって艦娘としての役割を終えようとも運よく生還できた艦娘はまだいいのだが、それさえ叶わず轟沈した艦娘は絶対に助からない

もうちょっと詳しく

艦これ』における戦闘はボス戦とそれ以外の雑魚戦(道中戦)に大別される。

クエスト(任務)が絡んでいない場合、プレイヤーは基本的にボス艦隊の撃沈を目指して艦隊を進めていく事になるが、当然の事ながら後半マップにおいては雑魚戦の敵がどんどん強力になる傾向にある。

『艦これ』では、道中で艦娘が大破した場合、無理に進軍すると轟沈の危険性が高まる為、進軍を諦め帰還するのが普通である。

轟沈を回避する事のできる応急修理要員や応急修理女神などの装備もあるが、その種の装備はゲーム内のリワードで入手できる絶対数に限りがあり、多用しようとすれば課金による購入が必要になる。(そもそも装備スロットを一つ専有してしまう為、多少ではあるが戦闘能力が下がり、物によっては連撃やカットインの装備と両立できず総合性能が大きく下がってしまう。ただし、「補強増設」を使用する事でダメコンや戦闘糧食専用のスロットを新たに設ける事が可能)

そうすると、道中の大破率が非常に高い、つまり進軍が難しいマップでは必然的にボス戦までの到達率が低下する事になる。

耐久力の低い駆逐艦のみで戦艦ル級を含んだ敵のガチ編成部隊との戦闘を掻い潜らなければいけない3-2を始め、イベント海域夜戦マス(夜戦では攻撃力計算の関係上ダメージインフレ化し、大破艦が敵味方双方非常に出やすい)のような特殊仕様マスが道中に配置されたマップなど、ボス戦到達率が非常に低くなるよう趣向が凝らされたマップは少なからずある。

『艦これ』では出撃の度合いにかかわらず燃料弾薬ボーキサイトなどの資源を消費し、帰還後には艦娘に対してこれらの資源を補給する必要が出てくる。戦闘で艦娘が傷ついた場合はドック入り(入渠)させ、燃料・鋼材を消費して修復を行わなければならない。

ボス戦到達率が低いという事はそれだけ出撃回数がかさむという事を意味し、最終的には資源の大量消費に結びつく。

その結果生まれたのが、上記の合成や解体に使われる必要のないLv1の艦娘を艦隊に組み入れ、被害担当艦として進軍させるという用兵法である。

身を挺して旗艦への攻撃を防ぐ「かばう」が発動しやすい輪形陣で進軍し、高レベル旗艦の周りを拾ったばかりの艦や上記の使用予定がない「捨て艦」を囮として攻撃させる事で旗艦を保護し、B判定(戦術的勝利)を狙うというもの。旗艦は絶対に轟沈せず、大破すると強制的に帰還するというシステムを逆手に取った戦法である。

この戦法は、ボスの艦隊が非常に強力で捨て艦編成の艦隊ではまず勝てないような場合には通用しないが、敵の編成上非常に有効な海域も存在する。

具体的に言えば、

ボス艦隊自体はさほど強くはないものの、その道中に遭遇する敵が強すぎるゆえに何度も撤退を強いられてクリアできない…

という場合である。このような海域では、前哨戦さえ突破できれば後はさほどきつくはない場合が殆どで、捨て艦戦法が攻略の上での選択肢に入る事になる。

確かに犠牲をいとわずに強行突破ができる為にボスまでたどり着く確率は単純計算であれば飛躍的に高まるが、このゲームで轟沈するという事は即ち艦娘が死ぬ事を意味しており、このプレイスタイルだと「捨て艦」の名の通り、艦娘を完全に捨て駒扱いしている事になる為、不快感や嫌悪感を示す提督も少なくない。

不特定多数のプレイヤーが集まるようなコミュニティや動画サイト等で迂闊に捨て艦の話題や動画を投稿すると争いの種となる可能性もあるので、要注意。

無論、相手を煽る為に話題を出すのはもっての外である。

なお、この戦法を使ったクリア報告も次々上がっているが、轟沈で判定勝ちが取れるのはゲームシステム上二隻までが限界。三隻以上沈めると後の敵を壊滅させても戦術的敗北(C)判定になり、轟沈艦が四隻以上に達するとたとえ敵艦を全滅に追い込んでも強制的に敗北(D or E)判定となってしまう。

ただし、イベント海域などの戦力ゲージの存在するマップでは、敗北確定でもゲージを削れる可能性はあるにはある。

尤も、最終的にゲージを破壊するにはターゲット(基本的に旗艦)を撃沈する必要がある為、轟沈艦多数の死に体同然に近い艦隊でターゲットを仕留めるのは決して容易ではないのだが。

それに、(運に左右される面もあるが)ゲージ削りの効率も全体的に悪化する為、実際の出撃回数は多少の差はあれど普通に行く場合と同じか、運が悪いとそれを上回る回数が必要になる事さえある。

ゲージの絡まない単純クリアならば、削りの効率が多少悪かろうがB判定(戦術的勝利)さえ取れればそれでいいのだが、イベント海域や通常海域の後半などで見られる「ゲージの破壊」が条件の海域の場合、ゲージを破壊するには最終的にターゲットとなる旗艦そのものを沈めなければならない為、捨て艦を混ぜるにしてもある程度本気の編成でなければ、イベントの序盤海域ならばともかくそれ以降では簡単には倒す事はできない。

更に主力艦が道中で中・大破したり、羅針盤に弾かれる事まで考慮すると、最終的な資源消費や所要時間は一概に断定はできないがどちらも大差なし、場合によっては捨て艦戦法の方が効率の悪さからかえって高くつく事になる場合もありうる。

少なくとも、通常海域は素早くクリアする必要はなく、イベントクリア報酬も今現在は何か月か待てば(出にくくはあるが)建造ないしはドロップで普通に入手可能になるパターンばかりだった為、報酬目当てに無理にクリアに漕ぎ着ける必要性は今のところは低い。

一方、艦船を美少女に擬人化したゲームである艦これには、当然戦略シミュレーションとしてだけでなくキャラゲーとしての側面もある。

艦これ人気に火が付いたきっかけは奇しくも同じく轟沈周りの話題であった、いわゆるヒラコーショックであったこともあり、こうしたキャラクターをないがしろにする戦法は当然物議を醸し、激しい賛否が繰り広げられた。

当時艦これがいわゆる覇権コンテンツだったこともあり、艦これ関連の掲示板やまとめ記事は「キャラ物でやる戦法ではない」「趣旨としては理解できるが、駆逐艦を嫁とする提督もいる中でわざわざ公言するのはあまりにも無神経」と言った批判の声と同時に、「たかがデータに何を言ってるんだ」といった発言や「じゃあ解体したりや改修餌にしたりするのはいいのか」といった誰しも耳の痛い意見が交わされ、両陣営から人格攻撃も含んだ激しい煽りと極論が飛び交う阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。

下記のように運営も「できることならやらないで欲しい」と発言していることから、可能であれば他の戦法を取るか、練度を高めて盤石の布陣で挑んでほしい。

捨て艦として消えていく艦娘達も、電脳の海の存在とはいえ作中では命ある存在として描かれているのだから。

一方で、轟沈検証を巡る流れの中でも重要な位置を占める問題でもあった。

実はこのイベントの時期は丁度中破轟沈が検証レベルで否定され、大破進撃のみが轟沈につながると結論が出た時期でもある。

しかし、捨て艦問題により提督たちが『轟沈』という言葉や艦娘の扱いに対して大変ナーバスになり、各動画サイトやイラストサイトで中破撤退が励行された結果、この成果が広まる機会は完全に失われてしまった

その結果いらぬ撤退を繰り返して捨て艦に舵を切る提督が更に出てしまった反面、ある種大規模な轟沈検証となり『どんなに艦娘を雑に扱っても大破で進撃しない限り決して轟沈することはない』と一般のプレイヤーに実感を持って広まるきっかけともなったのは大いなる皮肉であろう。

ただし……

結局の所、どのような戦法を取ろうとプレイヤーの自由である。厳しい言い方をすれば、結局艦これはゲームにすぎず、艦娘もあくまでデータに過ぎない以上、感情論にすぎない。

ぶっちゃけた話、捨て艦戦法を忌避していながら、ルドン送りGルートなど、ゲームでわざとキャラを殺した事のある提督も少なくないはずである。ソーシャルゲームのデータはコンシューマゲームより取り返しが付きにくいと言うだけで、やっている事は本質的には変わらない。

自分が捨て艦などするものか」と艦娘たちに思い入れを抱くのは自由だが、「他人に捨て艦戦法をするな」と強要するのは、他人のゲームスタイルに自分本意で干渉し、押し付ける迷惑行為にすぎず、厳に慎むべきである。

もちろん、その逆に、この戦法に不快感を抱くプレイヤーがいるにもかかわらずおおっぴらに捨て艦戦法の話題を持ち出すのは、不特定多数が不快になる話題を無理やり聞かせようとする迷惑行為であり、同様に慎むべきであろう。

否定派にせよ肯定派にせよ、艦娘に対するどうこうを語る前に、モニターの向こうにいる別の提督への心遣いが大事である。

捨て艦の隆盛と現状

かねてより艦娘をあくまで「ゲームの駒」として割り切って考えていた提督の間で使われていた戦法であったが、2013年秋季イベント『決戦!鉄底海峡を抜けて!』を機に、決してそうではない提督の間でも多用される事となった。

(「捨て艦」をインターネット検索にかけると、2013年11月付の記事がトップに多数出るのはその為)

その理由としては、次のようなケースが考えられている。

  • 攻略報酬が全艦中でも飛び抜けた高性能を持つ「武蔵」であったこと
  • かつ、イベント報酬以外では武蔵が今後手に入らない可能性があったこと(当時は同型艦の大和も正規実装の予定がわからず、また初期ランキング報酬でありながら未だに実装されない震電改などの先例もあった)
  • 夜戦マス中心のマップで、Lv1の捨て艦でもそれなりに活躍が見込めたこと(レベルに関係無く敵のカットイン攻撃が当たれば即大破するので)
  • 旗艦にダメージを与えるだけで戦力ゲージを削れる仕様だったこと(撃沈や勝利が必須ではなく、ボスに到達するだけでも十分だった)
  • イベント期間が短く(後に延長された)、手段を選ぶ余裕がなかったこと

これらの事情が重なった結果、「この機を逃せばもう二度と武蔵は手に入らない(かもしれない)ならば、やむなし」と焦った提督が捨て艦戦法を採用し、それに対して反感を示す提督も多く現れ、物議を醸す事となった。

ちなみに、この時捨て艦戦法に踏み切った提督達の中には後に「勝ったはずなのに違う涙が出てきた」、「海域クリアした日の夜に夢で轟沈した艦娘達の怨嗟の声を聞いた」という凄まじい報告をしてきた者もいたらしい。もちろん、何も感じなかった提督も多いだろうが。

なお、その直後のイベントである2013年12月のミニイベント『迎撃!霧の艦隊』以降は、ゲージの時間回復の廃止に加えて司令部レベルに応じて難易度が変化する形を経て、最終的にはユーザー側が難易度をある程度任意で選択(丙→甲等前の海域から2段階以上の難度上昇は不可能だが、下げる分には制限がない)できる形になった。そしてレベル上げやレアアイテムでしか補強できない『索敵値』によるルート制御を実装し、かつ装備による加山地の比重を大きくするなど、捨て艦でのプレイをけん制するような仕様を大幅に増やしている。

また、潜水艦への先制攻撃に強力な対空砲火を放てる艦娘の実装、特定艦娘に海域限定で強力な補正がかかる特効、輸送ゲージや対地攻撃など、これまでルートを制御できる代償としての足かせ感が強かった駆逐艦にも明確な役割が与えられたことで戦術的な価値が増し、切り捨てていくのがデメリットにもなりうる状況になった。

更に、条件付きながら大破艦を1隻ずつ撤退させることができる護衛退避や単艦退避の実装により、わざわざ貴重な装備や高練度の艦娘を秤にかけることなく、安全に進撃することができる。

クリア報酬に関しても戦力に大きく影響しない駆逐艦、あるいは単純に自己満足の証明である勲章などが大幅に増え、メイン報酬である高性能艦は最終海域のひとつ前か、最終海域であっても難易度をプレイヤー側で調整することで入手自体は格段に易化させられるなど、捨て艦を使わなければならないほどの状況は作られなくなっている。

ちなみに、運営鎮守府としてはプレイスタイルに制約を加える事はないが、心情的にはやって欲しくはない、という立場であるらしい(『Febri』20号31Pより)。

とはいえ、駆逐艦のみの編成を要求される3-2や夜戦主体の5-3をはじめとして今なお捨て艦戦法が有用な海域が存在する事は確かである。

また、キラ付け目的で同伴させた新入りを見捨てる解体するより資材を多く手に入れるなどのケースが残っており、囮とは別の意味で捨て艦を行う提督がいることも事実。

二次創作における捨て艦

後述するようにかつての史実における惨状をなぞるような捨て艦戦法が「乱用」された2013年秋季イベント『決戦!鉄底海峡を抜けて!』は、二次創作においても(特にシリアス方面で)大きな影響をもたらした。「捨て艦」でのpixiv検索結果において2013年11月-12月に投稿が集中しているのはその為。

また、こうした二次創作においては金剛型が重要な役どころで登場することが多いが、これは当該海域には高速艦しか出撃できず、かつ航空母艦が役に立たない夜戦マップであり、もっぱら金剛型が捨て艦によって守られる本命の火力担当を担っていた為(金剛型2隻・捨て艦4隻という編成が多用された)。

更に言えば、二次創作では捨て艦役としてといった第六駆逐隊の面々が登場することも多い(第六駆逐隊(暁型)は人気の割に入手しやすいということもある。ちなみに史実では前述のイベントのモチーフとなった第三次ソロモン海戦で、比叡霧島の護衛として第六駆逐隊(修理中のを除く)も参加し、第一夜戦で轟沈し、雷が大破している)。

史実の捨て艦について

捨て艦戦法は『艦これ』のみならず、史実の日本海軍もこの戦法を使用していた。そう、かの有名なレイテ沖海戦である。(最終形態の千歳千代田瑞鶴瑞鳳迷彩衣装は同海戦における各艦のカラーリングを再現したもの)

敗北に次ぐ敗北で既に艦載機もそれを運用するパイロットも満足に残っていなかった彼女達は敵の艦隊を釣り上げる為の囮としてレイテに赴いた。

結果、釣り上げそのものには成功したものの、生還など到底望むべくもない状況の前に壊滅状態に陥った。しかも不運な事に、連絡不備などが重なって予定されていた本隊の攻撃が出来ず、結果として囮艦隊による捨て身の攻撃は水泡に帰してしまった。

そして忘れてはならないのが、国家総動員法によって日本軍に物資輸送船として徴用された民間の船(徴用船)の多くが護衛する艦も無く、自衛の為の装備すら与えられず丸腰のまま戦地に送り出されアメリカ軍の猛攻の前に為す術も無く沈められていったという事実も。(当時の生存者曰く「人も輸送の為の船も消耗品扱いだった」)

余談

捨て艦戦法が猛威を振るった2013年秋季イベントは、日本が泥沼の戦い真っ最中であったガダルカナル島を巡る戦いをモチーフにしている。

その為、一説には「人間が窮地に追い込まれて判断力を失い、本来なら嫌悪されるべき行為すら躊躇わなくなってしまう」状況まで忠実に再現されている、とすら言われた。事実兵站の枯渇と戦果を急くあまり足元の犠牲を顧みなくなった、という点では皮肉なほどの再現である。

一説では、あえて当時の状況を疑似的に再現し、その切迫した状況下でなお人として冷静さを保ち、出さなくてもいい死者を大量に出してしまった歴史を超えられるかどうかを試されていたのではないのかとも言われているが、流石に考え過ぎであろう。

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艦隊これくしょん

ブラック鎮守府 ブラック企業

月月火水木金金  本当は怖い艦これ 特攻

どうせみんないなくなる

対義タグ

今日も鎮守府は平和です ホワイト鎮守府

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コメント

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  • 救いの無い話

    File:04 遠すぎた島

    かなり久々の投稿でごめんなさい。質が変わっていなければ良いのですが……。 アンケートもお願いします。 前回 瑞鶴編https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9391478 次回 秋月編 誰かのこういう話が読みたいとかあればコメントもしくはメッセージまでお願いします。

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