都市伝説
実在した日本の艦船を擬人化した全年齢対象のゲーム『艦隊これくしょん』。
しかし、よくよく考えると恐ろしい点がいくつかある。
- 今どきのオンラインゲームに珍しい「育てたキャラがロスト」するシステムそのもの(轟沈)。
- 艦娘を「解体」して、資材に変える。
- 艦娘と艦娘を合成する「近代化改修」。
- 同じ艦娘が何人も現れる(正確には何「隻」、か)
- 轟沈した艦娘たちの行方
- そもそも「燃料」「弾薬」「鋼材」「ボーキサイト」というほぼ無機物でできる艦娘
- 艦娘の「燃料」「弾薬」の補給方法
- 艦娘の愛らしさと史実の艦艇の運命とのギャップ
- 戦時国民動員諸法令の復活、統制経済、配給制、「国家総動員法」、国策会社、「三公社・五現業」の復活
etc…(他何かあったら追記願います)
と、よくよく考えるとどうなっているのかわからない部分を、実際に絵にすると非常に怖いものになる。
ただ、雑誌『Febri』.Vol19におけるプロデューサーインタビューでは、「提督それぞれのイメージを大事にしたいため、公式で艦娘がどのような存在かはガチっと定義したくない」といった旨の発言がなされている。
加えて、プロデューサーのイメージの中では「艦娘とは(誕生に特殊な事情があるが)中身は普通の女の子」と発言されている。
さらにそれ以前にも、有志が「解体と改修に使われた艦娘がどうなるのか」を問い合わせたところ、
「『解体とは装備してる武装を外して解体するだけで、中の女の子を解体する訳ではない』という回答をもらった」 |
というツイートや
「『但し、彼女たち自身は艦艇の大切な何かとして生まれてきた艦娘なので普通の女の子に戻るかは分かりません。提督の皆さんにいくつもの答えがあると思います』という回答をもらった」 |
というツイートがある。
そのため2、3に関しては提督各人の持つ『艦これ』の世界観次第で杞憂に終わる。
とはいえ、提督次第で世界観が決まるということはえげつない世界観が存在することもまた事実である。
この手のジャンルを好む提督もそれなりの数がおり、いい題材としてが同人などで根強く使われていたりする。
なお、轟沈に関しては「完全に死亡扱い」……と長らく考えられてきたのだが、同じく『Febri』.Vol19のインタビューにて、「敵艦隊を倒すと艦娘がドロップするシステム」に関して意味深なことが語られており、それを逆の立場から考えるとある仮説にたどり着く。
そして2020年の秋イベント「護衛せよ!船団輸送作戦」のE-3の輸送ゲージ2本目のボス艦隊の名称が【北方港湾部 反逆深海化部隊】という、上部のインタビューにそのまま当てはまる空恐ろしい名称がついており、この湾で一体何があったかの想像を掻き立てられずにはいられない。
人類に反旗を翻したか、脱走し戦火を逃れるうちに闇へ堕ちたか、それとも人道に反する計画の末に深海棲艦へと変貌させられたのか……。
真相を知るのは、運営と北極海の雪と波だけである――
……『艦これ』の暗黒設定はまだまだ闇が深そうである。
「暗黒設定」といえば、長らく公式が時代設定を明言せず、(和暦があるの西暦を使うのでなおさら)、二次創作界隈では、サービス開始日=昭和16(1941)年12月8日、真珠湾攻撃による「太平洋戦争」、「大東亜戦争」開戦。深海棲艦=アメリカ軍 という方程式でシリアス作品を描いている者もいる(「史実で艦これ」、「艦娘たちの戦後」ではなく)。
となれば、軍需優先の統制経済、配給制、「贅沢は敵だ」…と『一億人の昭和史』の回想式で、帝国陸海軍の復活、兵役法・徴兵制の復活ほど露骨ではないものの、艦娘が「人型戦闘兵器」実艦に相当し、国家総動員法とそれを典拠とする人的動員諸法令(国民徴用令、女子挺身隊令、学徒報国隊令。)、国策会社の復活(例:KDDIは国際電信電話会社という、戦時海外通信を担う存在。電力は、発電送電を行う日本発送電株式会社と、配電を行う北海道配電会社以下現在の「電力9社」の前身、配電会社の独占事業)、民営化された、「三公社・五現業」の運輸(JRグループと国鉄時代から縁がある日本通運グループ。元は国策会社の日本航空、全日空。本来は自動車専用国道で、国有財産の道路の建設維持管理を任せた道路公団を民営化させた各高速道路会社)、通信(日本郵政グループ、電電公社のNTTグループ、国際電電とKDDIグループ。ソフトバンクグループもJR各社の専用回線の余剰で作ったJR通信が前身。)などの各社の株を国が51パーセント以上買い、事実上の再国有化が起こっている…ような、重苦しい雰囲気で描いている作者もいる。(このほか、エネルギー供給や輸送、社会基盤の安全保障から、格安航空会社、格安携帯電話会社、ガス会社、石油元売り各社なども合併統廃合のうえ国が筆頭株主の事実上国有化は現実的にも有事の際起りかねない)
サービス開始から3年後(2016年)に、アメリカからの応援部隊、戦艦アイオワの到着によって「深海棲艦=アメリカ海軍=加害者」という公式が崩れたことや、ファミリーマート、ローソン、すきや、なか卯…といった21世紀に入ってから発展した小売店や飲食店、さらには「三越コラボ」、「CA二航戦」などで徐々に世界観が上記のようなぎくしゃくしたものではないことが判明すると、前述のような、国民は、男性は国民服で巻脚絆に戦闘帽、女性はもんぺ姿、銀座などの大通りは閑古鳥が鳴き、海軍、艦娘に優先的に物資が回されている。第二次大戦(太平洋戦争)の再来…という重苦しい世界観の作品は激減した。
公式が時期時代を明言しないと、「鎮守府は今日も平和です」という作品から「艦娘さんありがとう」艦娘最優先で国民は耐乏生活を強いられる「統制経済の復活、配給制の復活」と極端な解釈の作品まで解釈に差が発生しすぎる。
しかし、こういう都市伝説は『艦これ』に限らず、他の作品でもよくあること。気に入ったら自分の『艦これ』世界観に取り入れればいいし、そうでなければ軽いジョークとして流すといいだろう。
逆に言えば「本当は怖い艦これ」を他の人に強要してはならないし、このタグが気に入らない場合に自分の中の設定を押し付けるのもいけない(特に、上記の「艦娘を解体すると普通の女の子になる」は公式設定であると勘違いされることがとても多いので注意)。
細かいことは気にせず、楽しい提督ライフを。ただし轟沈だけは絶対にさせるなよ。提督との約束だ!!
みんなのトラウマ
史実の旧日本海軍艦艇の対潜攻撃力は全体的に低く、その多くが潜水艦の餌食になった。そのせいか大半の艦娘が潜水艦にトラウマを持っている。→潜水艦トラウマ組
このことは公式コミックでも強調され、本来は潜水艦に強い設定の駆逐艦たちですらビビりまくってしまい、教官役の伊勢を呆れさせている。
また、一部の艦娘の間では「衝突」や「油断」もトラウマワードになっている。
艦娘たちのトラウマは、実際の艦艇の遭遇した状況・沈んだ原因が元になっているものがほとんどで、セリフの端々にトラウマに関係することが出てきたりする(火遊びを注意したり、やたらと飛行甲板への被弾を気にするなど)
興味があるなら調べてみるのも一興ではあるのだが、史実では日本海軍は敗軍であり、そのため悲劇的な最期を遂げた艦艇=艦娘も少なくない。
結果的に自分自身のトラウマにならないよう、提督諸君はくれぐれも注意されたし。
アメリカ海軍が、昭和19(1944)年2月17日の「トラック島空襲」で何をやったか知ると、一瞬で「反米提督」となるトラウマと衝撃を受ける。それでもなおアイオワを許せる者が何人いることか…。
なお、『艦これ』には極端に難易度が高いステージがいくつか存在し、そういうゲーム的な意味のトラウマを持っている提督もしばしば。
特に敵の強さが跳ね上がる上にマップもそれまでとは比べ物にならない程広大になり、実力が足りていても運が無いと長期間足止めされることがある2-4「沖ノ島海域」にトラウマを持つ提督が多いようだ。
またそのトラウマの主な元凶であるflagship戦艦ル級は以後様々なステージで登場し、電探に支えられた高命中率・高火力の砲撃で中破撤退を余儀なくさせられること多々、難関ステージと言われる海域が難関たる所以は羅針盤を除けばだいたいこいつのせいであり、「フラ戦」は多くの提督たちのトラウマワードと化していると言えるだろう。
余談
前述のとおり潜水艦にトラウマを持つ艦娘が多いが、日本側の潜水艦はどうだったのか。
通説では「徒に艦隊攻撃に使用され被害ばかり出した」と書かれがちだが……
- 伊26、開戦当日、米陸軍の徴用船シンシア・オルソンを14サンチ砲でボコボコにして横転させる。
- 伊6、昭和17年明けてまもなくハワイの目と鼻の先で空母サラトガを雷撃。約4か月間のドック送り。
- 伊168、ミッドウェー海戦で南雲機動部隊を壊滅させた空母ヨークタウンを撃沈し一矢報いる。その巻き添えで駆逐艦ハンマンも爆沈する。
- 第7潜水隊、南太平洋の連合国領を手当たり次第に夜間砲撃。
- 伊25、米本土爆撃に成功。尚、アメリカ側の被害は日本側の予想に反してかなり小さいものではあったが、このとき任務にあたった伊25の偵察機が人類史上唯一米本土爆撃を成功させた軍用航空機である。また、追い詰められた政権がやることはどこの国も同じということを実証してもいたり(戦艦「ヒラヌマ」空母「タカサゴ」撃沈)。
- 呂61、水上機母艦キャスコを大破座礁。離礁させるだけで2週間。
- 伊19、空母ワスプを南太平洋で雷撃、ワスプは撃沈。そしてまたしても巻き添えが出る。駆逐艦オブライエンは即沈没しなかったもののその損傷が元で1日後に沈没、戦艦ノースカロライナは半年のドック送り。
- 伊58、昭和20年7月30日、原子爆弾の部品の輸送任務を終えた米海軍重巡洋艦インディアナポリスを撃沈。これが第2次世界大戦における敵の攻撃によって沈められた最後の米海軍大型水上艦艇である。
とまぁ、主だったものだけでも日本潜水艦にヒドい目に合わされたアメリカ艦船はこれだけある。
そのほか、戦争初期には西海岸で通商破壊作戦に従事し、商船に損害を与えている。
あと、米艦ではないが8月15日以降の引き揚げ輸送中に攻撃してきたソ連潜水艦と刺し違えた捕鯨船なんてのもあったりする。
ちなみに米潜水艦の中には、なんと自らが放った魚雷が半円を描き、それが自分に命中してしまい沈んでしまった潜水艦が存在している。
しかも2隻も。
「タリビー」と「タング」がそれである。
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