概要
大量破壊兵器(たいりょうはかいへいき、英語:Weapon of Mass Destruction、略称:WMD)は、人間を大量に殺傷する事又は人工的な構造物(建造物・船など)に対して多大な破壊をもたらせる兵器。主に核兵器・生物兵器・化学兵器の3つの事を指し、核兵器と共に核爆発を伴わないものも含む放射能兵器が入る事もある。大量破壊兵器という用語は1937年12月にカンタベリー大司教のコスモ・ゴードン・ラングによって、スペインのゲルニカ空爆に言及したものが最初である。
サーモバリック弾(所謂燃料気化爆弾)はその破壊力故に大量破壊兵器に近い扱いを受けており、特に生物兵器と化学兵器は技術が乏しい発展途上国やテロリストでも比較的容易に製造できる事から貧者の核兵器とも呼ばれ、いずれも国際条約などで厳格に禁止・規制されている。
各国の事例
大量破壊兵器は以下の2か国とイギリス・フランス・ロシア連邦も保有しているが、ここでは世界軍事費ランキングで世界第1位と第2位に君臨するアメリカ・中国の例を挙げる。
アメリカ合衆国
アメリカの大量破壊兵器はロシアに次ぐ備蓄量であると言われており、現在ではアメリカはロシアより多くの核兵器を保有しているとされているが、別に核兵器だけが大量破壊兵器という訳では無い。1942年8月にマンハッタン計画を始動し、1945年7月に核実験を成功させて世界初の核保有国になり、1949年8月にソ連が核実験を成功させるまでその地位を維持し続けてきた。
1945年8月に日本の広島と長崎に対して原子爆弾を投下した事から、核兵器を実戦で使用した世界で唯一の国である。2023年6月時点で5244発の核兵器を保有し、1991年12月にソ連の核戦力を継承したロシアと並ぶ2大核保有国である。2023年7月に化学兵器禁止条約に基いて全ての廃棄を完了したと発表し、かつて第1次世界大戦とベトナム戦争では化学兵器を使用していた。
中華人民共和国
中国は化学兵器と核兵器を含む大量破壊兵器を開発・保有しており、それを保有している数は公表していないので正確には分からないが、2023年6月時点で410発の核兵器を保有している。1964年10月に核実験を成功させてアジア初の核保有国になり、最初の水爆実験は1967年6月に確認された第六実験であった。1996年7月に最後の核実験を実施した後、同年9月に包括的核実験禁止条約に署名し、1984年11月に生物兵器禁止条約・1997年4月に化学兵器禁止条約を批准した。
呼称
大量破壊兵器には以下の略称がある。
- ABC兵器
Atomic・Biological・Chemical
- NBC兵器
Nuclear・Biological・Chemical
ピクシヴ
主にネタ的な意味で人を大量に殺害できる(萌死含む)ようなシチュエーションや物体を描いたイラストに使用されやすい。