概説
古代ギリシア語の基本概念で、論理・理性・言葉などの意味に近いが、ぴったりあった概念や用語はなく、通常、「ロゴス」の形で使われる。
ロゴス(λόγος)は、ラテン文字表記では、logos と書き、古代ギリシア語の動詞 legein (レゲイン, λέγω ロゴー)から派生した名詞である。
レゲインは、
- 1)「拾い上げる・数える・集める」という意味と
- 2)「話す・語る」という二つの意味・用法がある
ここから「ロゴス」は様々な意味を持つが、哲学的には主として「語ること・話すこと」と「説明・論拠・集成・規範・理論・論理・理性」などの大別二種類の意味が出てくる(大別であって、色々な意味を持っている)。これを更に簡単にまとめると、「話・言葉」と「集成・説明・論理・理性」の二つの意味になる(哲学的には、このように把握する)。
- 1)の用法からは、ロゴスは「集成」や「理性」になる。
- 2)の用法からは、ロゴスは「言葉」になる。
この二つの用法は、myth(神話)と logos(ロゴス)を組み合わせたとき、mythologos という言葉ができるが、これを抽象名詞形にすると、mythologia となるが、この言葉は、「神話の集成」という意味と「神話についての説明・理論・論理」という二つの意味になる。
英語でこれに対応する言葉は、mythology であるが、mythology は、「組織的な集成神話」の意味と、「神話学(神話の理論)」という二つの意味を持つ。(ギリシア神話は、体系的な集成神話であるので、Greek mythology と呼ぶ。他方、ヘルマプロディートスの神話は、Myth of Hermaphroditos と言い、myth を使う。後者は特定の個別主題についての神話であるので、-logy を付けない、myth を使うのである)。
- -logia, -logy, -logie という風に接尾辞で使うときは、前に来る対象についての「学問・理論」などの意味になるが、これは 1)の用法である。例としては、psychology とは、「心についての学問・理論」で、「心理学」になる。sociology は「社会についての学問・理論」で、「社会学」になる。「天文学は、astrology というが、これは「星についての理論・学問」で、天文学が占星術から来たことと関係している。
キリスト教のロゴス
ギリシャ語を扱う新約聖書では、「ロゴス」という言葉が繰り返し登場する。
例えば
- ヨハネの福音書 1:1初めにことばがあった。ことばは神とともにあった。ことばは神であった。聖書 新改訳2017©2017新日本聖書刊行会 許諾番号4–2–3号聴くドラマ聖書より引用
上記の御言葉から、ロゴスはイエス・キリストの別称とされた。
キリスト(救い主)としての神の本性が、ロゴス。すなわち論理と解されたことによって、西ヨーロッパにおける哲学のひとつの流れである、論理と思弁を重んじる風潮、さらには論理と言語によって神を把握しようとする積極神学の道が拓かれた。
このような背景もあり、今日哲学の分野で「ロゴス」といわれるときには、程度の差はあれ、単なる構造としての論理ではなく、“語られる力ある言”という意味で使われる。
曖昧さ回避
- ギリシア哲学の基本概念(上記に説明したもの)。
- 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する組織(軍産複合体)。→ロゴス(ガンダムSEED)
- アクエリオンシリーズのTVアニメ第3作目 → アクエリオンロゴス
- アクティヴレイドシリーズ → 犯罪ネットワーク・ロゴス
- ゼノブレイド2の登場人物。メツのトリニティ・プロセッサーとしての名前。