概要
信仰を前提とした上で、伝統宗教における神仏を始めとした概念を理論的に考察する哲学であり、全ての学問の中でも最も古いものの一つで、それらの起源とも言われている。
神道や仏教では『教学(きょうがく)』や『宗学(しゅうがく)』『護教学(ごきょうがく)』と呼ばれることもある。
詳細
近代科学が成立する以前の学問は一つだけであり、そこには文系や理系といった区別が無
く、その一つの学問の中でも重要な位置を占めていたのが神学であった。
神学とは簡単に言えば「神や仏、聖書や仏典などの経典、聖職者に口伝えで受け継がれる伝承にある教えが、突き詰めていくとたどり着く正しい答えである」とする学問である。
当時、神学は民衆にまで浸透していたため、庶民は深く考える必要が無く、例えば西洋ではキリスト教のトップであるローマ法王が世俗の王でもあり、そうして生活の全てが宗教の制約下におかれる時代が1000年近く続いた(中世ヨーロッパ)。
その反動から起こったのが、14世紀から16世紀に起こったルネサンス(人間復興運動)である。
だがルネサンスが終焉すると、更にその反動から教会は異端を排するための魔女狩りや宗教裁判を何度も起こすようになり、ガリレオ・ガリレイやジョルダーノ・ブルーノは、そうした裁判にかけられたことで有名である。
そうした出来事を経て、宗教界と科学者はお互いに干渉しないところに漂着し、一つだった学問は哲学・数学などを扱う神学と、自然科学・社会科学を扱う近代科学とに分離し、その後も細分化が進んでいき、特に自然科学は同じ研究の領域にいる学者が世界に1人か2人しかいなくなるほど専門化が進んでいる。
だが現在でも神学を学ぶ意味は大いにある。歴史、宗教を踏まえた上で、過去の人間が信じ敬ってきたものを研究、吟味することで我々の生活は改善される。
事実、経済学を形成してきたピーター・ドラッカーなどはユダヤ人であった。科学の世界も宗教と無縁ではなく、科学による聖書の事象の説明も試みられている。繰り返すが、神学を学ぶ意味は大いにあると思う。