ローマ法王とは、カトリック教会の最高指導者ローマ教皇の、かつての別表記である。
なお、法王とは元は仏教用語で、現在でもダライ・ラマなどの高僧を指して用いられている。
実際、法王と呼んでいるのは日本だけで、これは日本とバチカン(ローマ法王庁、つまりローマ教皇庁)が外交関係を樹立した当時の定訳は「法王」だったため、ローマ教皇庁がその名称で日本政府に申請してしまった事が原因。
1981年のヨハネ・パウロ2世の来日時に、それまで混用されてきた「教皇」と「法王」の呼称を統一するため、世俗の君主のイメージの強い「王」という字を含む「法王」でなく「教皇」への統一を定めた。このとき、東京にある「ローマ法王庁大使館」においてもこれにあわせて「法王庁」から「教皇庁」への名称変更を行おうとした。しかし日本政府は「日本における各国公館の名称変更はクーデターなどによる国名変更時など、特別な場合以外は認められない」として却下し、「ローマ法王庁大使館」の名称のまま、現在に至る。
以後、日本のカトリック教会自身は「教える」という字を含む「教皇」の方がふさわしいとしていた。ところが2010年代後半にかけて状況が徐々に変化し、ついに2019年のフランシスコの来日に際し、日本政府は「教皇」呼称への統一を定めた。大手マスコミもこれに合わせて順次呼称の変更を実施した。以後、ローマ教皇を「法王」と表記する者は、次に述べる大使館の表記以外は、事実上変更を拒絶している一部の学者や媒体に限られるようになった。
なお、大使館名については2020年春時点でも変更申請が行われていない(大使館側もあまりこだわってないらしい)ため、今もなお「ローマ法王庁大使館」の呼称のままである。とはいえ、せめて「駐日バチカン大使館」と呼んであげるのが望ましいだろう。
(wikipediaより、一部引用・抜粋)