CV:中村悠一
概要
『ゼノブレイド2』の登場人物で、本作の悪役。
何処の国にも属さない謎の秘密結社「イーラ」の一員。ある事情から「世界の破滅」を願い、同志を募って各所で暗躍している。シンと共にイーラを立ち上げた言わば初期メンバーの一人で事実上の組織トップorナンバー2だが、作中では自ら前線に赴くことが多く、組織内では戦闘/工作員的な立ち位置にいる。
また物語開始から500年前の「聖杯大戦」を引き起こした張本人でもある。当時の出来事はDLC『黄金の国イーラ』で詳しく描写される。
種族はブレイドだがマスターブレイドと呼ばれる特異な個体で、ドライバー不在でも活動ができ、ブレイドでありながら同じブレイドを使役することができる。
ザンテツという名のブレイドを従えており、奇抜な形状の刃を逆手持ちするという独特のスタイルで戦う。あるタイミングでザンテツを失ってからは武器をモナドに持ち替え、単独で戦うスタイルに変えている。
物語開始時点では自分達の計画に不可欠な「ある兵器」を探しており、その所在を知る「天の聖杯」を発掘すべく、プロのサルベージャーであるレックスほかを雇って作業に当たらせていた。本来であれば作業完了と同時に口封じとして作業者全員を始末するつもりだったが、紆余曲折あって天の聖杯(ホムラ)が覚醒、レックス共々逃げられてしまう。以降、天の聖杯を巡ってレックス達と激しい戦いを繰り広げていく。
固有の戦闘BGMはないが、ボス戦BGMの「Incoming!」が最初に流れるのがメツとの闘いであり、ストーリー上でこのBGMが聞ける最後のボス戦もメツとなっている。後述の『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』でもメツのスピリットを入手する戦いでこれが流れる。
人物
屈強な体格や鋭い眼光、ぶっきらぼうな言動から表現される通り、粗暴な性格で破壊や暴力行為に一切の抵抗がない。むしろそれを愉しんでいる節さえあり、作中の要所要所で他者をいたぶって愉悦に浸るサディスティックな一面を見せる。
例えば計画のために雇ったレックスと出会った際には、余興として不意に斬りかかりレックスの反応をテストしていた。曰く頼りになるかどうかを確かめていたとのこと。元メンバーであるニアがレックスの側に寝返った際にも、特に惜しむ様子もなく普通に排除しにかかっている。ほか天の聖杯であるホムラ(ヒカリ)を捕らえた際には、情報を引き出すために躊躇なく拷問にかけた。
そもそも彼自身の願いが「世界の破滅」であり、この世界に何の希望も見出しておらず、ひいては世界を生み出した神、及びそこで暮らす人類も無価値なものと考えている。
このような性格になったのは、元々ブレイドは善悪を持たず、その性質がドライバーの精神に大きく左右されるため。メツも自分を目覚めさせたドライバーの影響で心が悪に傾倒し、世界や他者を弄ぶ邪悪な存在になってしまった。
基本的に悪党として振舞うが、作中ではシンやイーラの仲間達に思いやりを示したり、生みの親である「親父」に自分を創ってくれたことを感謝したり等、素直な感情も見せることもある。
またイーラの面々は複雑な境遇から世界や人類に絶望している者が大半であり、どうにもならない怒りや憎しみを内に抱えている。世界やレックス達にとっては「絶対悪」のメツも、イーラにとっては自分達に代わって世界に復讐してくれる「希望」なのかもしれない。
余談
メツを演じた中村悠一は『ゼノブレイドクロス』にも主人公アバターの仲間キャラクターの一人として出演していた。
作中では「もう一人の天の聖杯」としてレックスやヒカリ/ホムラ達の前に立ちはだかるが、巷ではメツとホムラの役割が入れ替わったメツブレイドなるネタも存在する。
『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』ではスピリッツで登場。ボディはリヒター。LEGEND級であり攻撃力が全スピリッツ中3位と言う凄まじい数字(スロットありではトップ)だが、防御力がかなり低い。
関連項目
ORヴェルトール:『ゼノギアス』に登場する機体。オマージュ元。500年前の戦いでは機動兵器端末群ディアボロスを率いて世界を滅ぼそうとしたが、大本である自身が撃破されたことで機能停止した。
アルベド・ピアソラ:ゼノサーガシリーズの悪役。「少年を嘲って苦しめる」「サブヒロインを拉致して記憶に干渉する」「第三者の影響により精神が歪んでしまう」「巨大ロボットの繰り手」など共通点がある。
ダークセルジュ:『クロノ・クロス』の悪役。「第三者の感情の影響を受け精神が歪んでしまう」「決戦の前口上が似ている(該当項目を参照)」など類似点がある。
ゲームにおいて ※ネタバレ
正体
その正体は旧世界時代に設立された第一軌道タワー・ラダマンティス(後の世界樹)の低軌道上に接続されているオービタルリングに配備された「第一低軌道ステーション・ラダマンティス」に搭載されていた三基のコンピュータ(生体素子が採用された合議制人工知性群)「トリニティ・プロセッサー」の一つ「ロゴス」である。
他の二基は後にヒカリ/ホムラとなる「プネウマ」、そして相転移の際に異世界へと消失した「ウーシア」である。このウーシアと同等の性能を持つと考えれば、メツがモナドを振るったのも頷ける話と言える。
元々はゲートの管理を目的として、オービタルリング上に配備された学術機関「アオイドス」(ゲートを最初に発見した大学のその後の組織)によって作られプネウマやウーシアとはそれぞれ異なる仮想空間で育成されていたが、クラウスの相転移実験の後は残ったプネウマと共に、クラウスの世界再生の一環で作り上げた「アルスト」の「命の記憶の循環」システムを管理する「マスターブレイド」の役割が与えられた。
ロゴス(メツ)を起動させたのは法王庁のマルベーニである。500年前の聖杯大戦よりもっと前、当時冒険家だったマルベーニは自力で世界樹を踏破し、その最奥で眠っていたロゴスを目覚めさせた。
当初メツは素直にマルベーニに従っていたものの、彼の内に眠る本性を見抜いたのか、ある日マルベーニの目の前で離反を宣言する。彼の制御を離れ、以降欲望のままに世界を荒らす存在となった。これを危惧したマルベーニは世界樹に眠っていたもうひとつのトリニティ・プロセッサー「プネウマ」に目を付け、それを起動できる者を探し、メツの野望阻止を依頼した(聖杯大戦)
聖杯大戦によって野望を阻止され力の大部分を失うもメツは生き永らえており、しばらく経ったある時、ドライバー(ラウラ)を喪い失意の底にあったシンと再会する。世界に対する行き場のない怒りや憎しみ、そして「誰のために何のために存在しているのか(己の存在意義が見出せない)」が分からない者同士であることを察したのか手を差し伸べ、共に「秘密結社イーラ」を設立、再び世界の破壊者となった。
ゲーム本編での活躍
第1話~
天の聖杯ことホムラの所在を突き止め、それが眠る古代船を発掘すべくプロのサルベージャーであるレックスを雇う。発掘は成功し口封じとしてレックスを始末するが、レックスが倒れる寸前にホムラが覚醒、ドライバー契約を結んだことで両者ともに復活する。追撃するも、セイリュウの加勢によって逃げられてしまう。
第3話~
レックス達を追って、インヴィディア烈王国の首都フォンス・マイムに配下のヨシツネを連れて登場。住民の少女を人質にホムラを首都近郊の遺跡へと呼び出し、二人で襲い掛かった。遅れて駆けつけたレックス一行も軽くあしらい、逃げるための囮役を買って出たヴァンダムも無残に殺害する。
勝ちを確信するも、ヒカリが目覚めたことで戦局が変化、彼女が呼び出したセイレーンによりザンテツ、及びヨシツネのブレイド・カムイを消滅させられる。仇敵の登場に興奮を覚えつつも、不利を感じて退却する。以降、ザンテツを失った為武器が消滅する。
なおここでメツ自身がヒカリ(ホムラ)と対をなすもう一人の天の聖杯であることが判明する。序盤にホムラを手に入れようとしていたのは、過去のヒカリとの戦いで欠損したコアクリスタルを補完し、聖杯としての力を取り戻す為であった。
またメツ誕生の経緯もこのタイミングで明かされる。曰くマルベーニがコアクリスタルに触れたことで生まれたという。彼が抱いていた負の感情が反映されたことで今の性格となった。ある意味では彼女らの兄と言える。なおコアクリスタルの形状はホムラと同じだが、向こうの翠玉色に対しメツは紫色である。
第6話~
シンが拉致してきたホムラの前に現れ、その力と記憶を奪い取り、完全なる天の聖杯として復活を遂げる。以後、胸元のデザインが「金色の枠に紫のコアクリスタルが輝く」といった形に変化する。
このタイミングで惑星破壊兵器アイオーン・デバイスの所在も聞き出しており、以降、アイオーンが眠る世界樹攻略を目的に動くようになる。
第7話~
世界樹の守護者であるサーペント・デバイスを制御しようとするが、本能で襲い掛かるように設定されていたため失敗、力尽くでプログラムを改ざんすべく激闘を繰り広げていた。
その後、ホムラ/ヒカリを助けるために追ってきたレックス陣営とモルスの断崖にて相対、新しく手にした剣を武器に迎え撃つ。なおこの時の武器は前々作で主人公シュルクが振るったモナドに酷似している(ムービーではモナドイーターを表す「喰」の字が浮かぶ)。
この剣がモナドかどうかは明言されないが、戦闘時のアーツ名がそのまんま「モナドイーター(喰)」「モナドサイクロン(轟)」「モナドアーマー(鎧)」そして「モナドバスター(斬)」であるため、同じと見てほぼ間違いないだろう。なお前々作にはない新規のモナドアーツとしてパーティ全体に対するブレイド封鎖効果を持つ「モナドジェイル(封)」も使用する。
戦闘ではレックスを圧倒するが、ニアの能力によって崖から突き落とされる...が、ただのフリでありすぐに復帰、更にシンも加勢に入る。シンとの連携でレックス陣営を追い詰め、彼らの「無駄な努力」を嘲笑うが、ホムラ/ヒカリがレックスと再同調して真の力と姿を取り戻したことで形勢逆転される。
不利を感じたメツは事前に制御下に置いていたサーペント・デバイスをけしかけるが、ホムラ/ヒカリもまたセイレーン・デバイスを呼び寄せたことで激しい衝突が起き、足場が崩壊、シンと共に落下する。しかし紆余曲折あって両者ともヨシツネ達に救助され、レックス陣営は放置してそのまま世界樹の最上層を目指すことに。
このタイミングで、ドライバーが法王庁のマルベーニであることが明かされる。メツが世界を滅ぼそうとする理由は、元を辿ればドライバーであるマルベーニの精神の影響を受けたゆえだった。なおメツ本人にもその自覚があるが、特に否定せず思うがままに世界を破滅させることを選んだ模様。
世界樹ではシン及びヨシツネ達に殿を任せ、ひとり頂上へと向かう。そこで生みの親である「神」と対峙、はじめは問答無用で斬りかかるが無効化される。問答のすえ「神」が間もなく力尽きることを察すると、彼を放置してアイオーンのもとへと向かって行った。
ラストバトル
来いよ、小僧! 来いよ、相棒! 全身全霊で、全てでもって示して見せろ!
お前たちの意志を! この世界に立っている意味を!!
ついに世界を破滅させる兵器であるアイオーン・デバイスの起動に成功する。先んじて搭乗し、一足遅れてきたレックス陣営を迎え撃つ。星の命運を賭けた最終決戦、最後は勝機を掴んだレックスとプネウマの同時攻撃によってアイオーンを大破させられ敗北する。
楽しかったぜ――小僧。もっと早くお前に出会ってたなら――
いろんな世界が見えたんだろうな――だが、それでも――
オレが――あんたのドライバーだったら――そうすれば――
気色悪ぃことを言うな――俺のドライバーは奴だ。
それは、それで――悪か――ねぇ――
メツはマルベーニの狂気に触れ悪に染まっていたが、その根底にはイーラの仲間たちを思いやる心もあった。だからこそシンを絶望させた世界(神)に対する怒りを燃やし続けていた。
最期はレックス達に看取られながら消滅、こうして500年も続いた狂気の宿命から解放されたのだった。レックスが言っていたように、マルベーニの終末思想に染められさえしなければ、人々や世界にとっての心強い味方に成り得たのかもしれない。
こう思うと憑依ファイターがリヒターと言う堕ちた英雄と言うのも納得と同時に笑えない話でもある…………。
黄金の国イーラ
本編より500年前、聖杯大戦を描いたDLCシナリオ黄金の国イーラにももちろん登場する。
この時点でマルベーニの元から離れ単独で行動しており、デバイスを使役して様々な場所を襲撃しアルストを混乱に陥れていた。
イーラを襲撃した際にアデル、ヒカリ、ラウラ、そして後に味方となるシン達を含むパーティと対峙する。なおここでアデルと剣を交えた際に彼の目が金色(=レックスと同じ)であることに言及しており、本編序盤でレックスに言うセリフとの繋がりが示唆されているがそれ以上詳細な真意が明かされることは無かった。
本編以上に「自分自身の役目が世界を滅ぼすことだと考え、個人的な深い意図や目的なく世界を滅ぼそうとしている」ことが強調されており、「ただセイレーンを使って沈めるのはつまらないので飽きた」「退屈しのぎだよ、ただの」などゲーム感覚で世界の命運を弄ぶかのような発言が目立つ。本編での振る舞いは、彼なりに自分を顧みる様になった結果だったのだろう。
使用するアーツは本編でのモナドを持った状態の時と基本的に同じだが、最終決戦では敵(メツ)・味方(ヒカリ)ともにデバイス攻撃を使えるという特殊なシステムが追加されている。
戦闘BGMは本編で使われた汎用ボス戦曲「Incoming!」とは異なるオリジナルのものに変更されているが、これは本編の神鎧マルベーニ戦BGMのアレンジである。最終決戦後半ではアイオーン・デバイス戦と同じものが流れる。
ゼノブレイド3
メビウス・エヌが持つ「終の剣」に、『メツ』が宿っていることが設定資料集「アイオニオン・モーメント」にて総監督により述べられた。
ロゴスではなく『メツ』と何度も強調して述べられているため、マルベーニの絶望からこの世に降臨し存在意義の見出せない者同士でシンと共に世界を滅ぼそうとし最後に己の存在意義を見つけることができた『メツ』が、『ゼノブレイド2』のED後~交わりの日までの間に復活していたことになる。
メビウスになる前のノアのブレイドとして存在し続け、彼がゼットの手によりメビウスに落ちてもなお、ミオと永遠に在り続けることを願う彼に力を貸し続けた。
『新たなる未来』では、マシューのブレイド「終の拳」に宿っていた「ホムラ・ヒカリ」(総監督は、プネウマというよりはホムラ・ヒカリと述べている)と協力し、原初のウロボロスを誕生させ、同じトリニティ・プロセッサーのアルファ(ウーシア)を撃ち破った。
メツの復活の経緯などは全く触れられていないが、現状のトリニティ・プロセッサー「ホムラ・ヒカリ」「エイ」とは異なりプレイアブルキャラクターになった経緯がないこと、彼らと違いトリニティ・プロセッサー特有の演算能力「ビジョン(因果律予測)」を披露したことがないなどから、「次作以降のキーキャラクターとして登場するのでは?」と予想されることがちらほら。
マルベーニ、シン、エヌらといった者達に力を貸していたことから、プレイヤーの間では「アオイドスの仮想空間で『ダメンズ好き』として育成・形成されたのでは」と言われている。