「約束だろ?
───オレは君のために楽園に行く!」
プロフィール
概要
CV:下野紘
本作の主人公。
じっちゃんこと小型巨神獣(アルス)セイリュウの背を拠点とし、雲海の底に潜む財宝を探り当てるサルベージャーを生業として生活する活発な少年。
若いながらもサルベージャーとしての腕前は高く、サルベージの際に物資と一緒にモンスターを引き上げてしまうこともしばしばあるため、戦闘の腕もそれなりにある。戦闘の基礎基本もセイリュウから学んでおり、ヴァンダムの技を一度見ただけで会得するなどセンスも抜群。またメレフの戦闘中にカグツチの弱点を突くために貯水タンクまで誘い出し、それをハナと一緒にタンクのなかの水を放出させるなど頭の回転も早い。ただし軍需物資を取り扱うことは避けているので、腕前の割には素寒貧気味。
そうしてサルベージで手に入った物資をアヴァリティア商会で換金し、故郷に仕送りをしていた。
ある日、アヴァリティア商会会長バーンを通して、『秘密結社イーラ』から沈没した古代船の調査協力の依頼を受ける。
引き揚げられた古代船の中で眠りについていたブレイドの少女ホムラを発見し同調しかけたところをイーラの首魁シンによって殺害されるが、夢の中でホムラと語り合い彼女から命を分け与えられる形で蘇生する。
なんでもレックス自身が天の聖杯に関わりがあったらしく、シンやメツはその詳細を知っているような発言をしている。特にメツはレックスの金色の瞳を警戒していたが、その事についての詳しい事は今なお分かっていない。
そんな彼女から自分を楽園に連れていってほしいという頼みを聞き入れたレックスは、自分の命を救ってくれたホムラの願いを叶える為に、彼女のドライバーとなり幻と謳われる楽園を目指す冒険の旅に出る。
旅先で出逢う頼もしい仲間達と共にアルストを渡り歩き、感情豊かな良心の人々もいれば、行く手を阻みホムラを付け狙う敵もいる。それらとの戦いを繰り広げる事で、彼の強さはホムラと共に成長していく。
そんな彼らの旅で待つ衝撃の事実とは…。
過去
本編開始時はセイリュウの背中を家にしている彼だが、出身はリベラリタス島嶼群イヤサキ村である。
というのも、レックスの両親はリベラリタスに流れて来た放浪者であり、2歳だったレックスは母に連れられてイヤサキ村にやって来た。だが母は村人たちにレックスを託すと同時に息を引き取り、そこから少し離れた場所で父親の遺体も発見された。これらの境遇から村人たちはレックスを引き取り育てることを決意する。
そして両親の死を知ったレックスは、誰もが安心して暮らせる「楽園」を夢見るようになる。彼が世界樹に抱く想いの裏には、そんな過去が秘められていた。
ただし両親のことは殆ど記憶になく、そのことを引きずっているわけではない。今の彼にとってイヤサキ村の人たちが『親』であり守るべき存在となっている。
技能を身に着けたレックスはサルベージャーとして独立してイヤサキ村を離れたが、
村には定期的に仕送りをしており、村民からは村一番の出世頭と期待されている。
人が暮らせる巨神獣の数が減りつつある事を危惧し、人々が争わず安心して暮らして行ける場所として伝説にて語られる楽園の存在を強く夢みていた。
サルベージャーになろうと思い立ったのはそんな楽園への手がかりを見つけるためである。
性格
何事にもまっすぐで猪突猛進な熱血漢という、極めて王道な主人公タイプ。
一方ですでに自立した生活を送っている為か、(サルベージの腕前で商会でその地位を確立させ天の聖杯のドライバーになり、さらには傭兵団の団長も務めるなど)地に足のついた強かさや視野の広さも兼ね備えている。
幼い頃から巨神獣(アルス)であるセイリュウと共に居た為か種族の違いや相手の外見に対する偏見の類を一切持っておらず、誰とでも分け隔てなく接し交流している。
敵対する相手にもその人物なりの境遇や考えがあることを理解する姿勢を示し、誰に対しても一貫して不殺主義である。メレフ・カグツチには倒すチャンスを得ながらも手加減し、一度は自身を殺害したシンに対してもその行為を非難しつつも命までは奪おうとしていない。この点は前作主人公のシュルクと共通している。
過去の歴史を知り、それらを理解した上で「こんな現実でも、さらに前に進むしかない」
と割り切る精神性はある意味非常に無慈悲であり、ゼノブレイド2の世界においてかなり異端者である。
自身のブレイドであるホムラ・ヒカリ、そして仲間のニアともフラグを建築しているが本人はあまり自覚的な恋愛感情を意識しておらず、「(男仲間も含めて)みんなのことが好き、守りたい」というスタンスである。
しかしながら客観的には明らかにホムラ/ヒカリとのルートに入っており、セイリュウやコルレルにはそのことを茶化されたりジークにも彼女のことを「(レックスが)惚れた女」と表現されている。こういうところもシュルクと同じである。
サルベージャーの合言葉
ドライバーとなったのちもサルベージャーであるというアイデンティティは捨てていないようで、劇中では頻繁に「サルベージャーの合言葉」なる格言を口にする。
劇中で登場したのは以下の通り。
その1 船には酔うな 酔うなら酒だ (第一話)
その2 助けられたら助け返せ(第二話)
その3 女を泣かせる奴はサイテーの男だ 女を笑わせる奴はサイコーの男だ (第四話)
その4 宝の箱は開けてみなければ分からない でも開けなければただの箱(第六話)
その5 男は… (ヒカリに「それはもういいから」と遮られたため続きは不明)(第八話)
その6 殴りあった後は飲んで忘れろ 忘れた後は肩を組め(第十話)
習得アーツ
武器種 | アーツ名:効果 | |||
---|---|---|---|---|
聖杯の剣(ホムラ/ヒカリ専用) | アンカーショット:回復ポット、ダウン効果 | ソードバッシュ:背面特効 | ダブルスピンエッジ:側面特効 | ローリングスマッシュ:ヘイト減少 |
ツインサイス(スザク専用) | サイクロンスマッシュ:低HP特効 | ワイルドサイス:HP減少、回避 | スマッシュウィング:スマッシュ効果 | ヴォルテックスエッジ:フライヤー系に特効 |
シミター(ニア(ブレイド)専用) | セイバースラッシュ:回復ポット | リデンプション:回復技 | ハイドロブラスト:ノックバック効果 | ウォーターフラワー:防御力無視 |
アックス(汎用) | ストロングスマッシュ:ダウン特効 | スクリューアックス:アクアティック系に特効 | パワースライド:ライジング効果 | ブレイタックル:会心リキャスト |
ランス(汎用) | ストロングホーン:高HP特効 | パワースパイク:側面特効、ブレイク効果 | ヘビーブレイク:ヘイト減少 | ワイルドスピン:インセクト系に特効 |
刀(汎用) | ソードアッパー:ブレイク効果 | ワイルドエッジ:ヘイト増加 | ブレイクダウン:被ターゲット時特効 | デュアルスラッシュ:回避 |
ハンマー(汎用) | アイアンウォール:防御技、発動中HP回復 | ダイブスイング:ヘイト増加 | ストロングハンマー:正面特効 | マイティビート:ダウン特効 |
エーテルキャノン(汎用) | ブレイブトリガー:高HP特効 | アーマーブレイカー:防御力無視 | グレネードショット:ブロー効果 | ワイルドバレット:キャンセル発動時特効 |
ボール(汎用) | タッチダウン:回復ポット | ブレイブスロウ:ダウン特効 | ストロングシュート:攻撃全体回復 | マイティボール:ライジング特効 |
ナックルクロー(汎用) | ワイルドアッパー:ブロー効果 | グランドスマッシュ:回復ポット | バレットパンチ:特殊効果なし | マッハストレート:背面特効 |
ツインリング(汎用) | ワイドスラッシュ:側面特効 | ストロングソーサー:回復ポット | エイトエッジ:ビースト系に特効 | ブレイブスピン:特殊効果なし |
イベントを経てスザクと同調して真価を発揮する、ドライバーコンボの鬼。
仲間の誰かがブレイクを入れれば、アンカーショットでダウン→斧属性ブレイドでライジング→スザクでスマッシュ、でドライバーコンボを一人で完結できる。以降、最後までドライバーコンボの中軸になる。
ヒカリとエンゲージしてからは、因果律予測スキルを奮ってドライバーアーツを連打してのゲージ溜めも強力。
いずれにしても敵のヘイトを買って攻撃対象にされやすく、集中攻撃を受ければすぐにも倒れる。ヘイト管理は欠かせない。
第7話終盤にて天の聖杯の真のドライバー=マスタードライバーとして覚醒したのちは、
他の仲間に同調しているものも含め全ブレイドを使用できるようになる(ただしハナシリーズは除く)。
この頃にはドライバーコンボの達人としての役割は確立しているので、
他の仲間にどの役割を振り分けるかが重要になる。
サーベル(カグツチ専用) | ヒートラッシュ:ダウン特効 | ストームスピン:低HP特効 | ブレイジングウィップ:ヘイト増加 | ファントムフレイム:回避 |
---|---|---|---|---|
大剣(サイカ専用) | アッパーエッジ:ライジング効果 | ビッグインパクト:ブロー効果 | エレキバスター:ダウン特効 | スラッシュボルト:機械系に特効 |
外部出演
ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド
レックス本人が登場するわけではないが、ゼノブレイド2とのコラボ衣装として、レックスが着ている潜水服をモチーフにした「サルベージャーメット」・「サルベージャーボディ」・「サルベージャーレッグ」の3つの防具が登場している。→該当ツイート
それぞれに「泳ぎスピードアップ」の効果が付いており、3種揃えるとセットボーナスで「加速がんばり泳ぎ長持ち」の効果が得られる。(ゾーラシリーズの防具と同じ)
他の防具のように大妖精による強化ができない他、ゾーラシリーズの防具と違ってスピンアタックや滝登りができないなど、防具としては他に劣るのであくまで観賞用の装備である。
大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL
こちらでもMiiファイター向けにレックスのコスチュームが登場。
「ゼノブレイド2」がSwitchにおける任天堂大型タイトルのひとつだったこともあり参戦を望む声も多かったものの、「スマブラSP」の企画時期がゼノブレイド2発表よりも早期だったためファイターとしての参戦は叶っていない(発表前のキャラを参戦させてしまうと、致命的なネタバレに繋がりかねないとの事)。
また、スピリットとしても登場しており、階級はエース級でスロットは最大値の3。サポータースピリットのホムラ(アシストキラー)がスロット1、かつヒカリ(クリティカルヒットDX)がスロット2なので、丁度良い感じに装備させることができる。
そして…
ホムラ/ヒカリのDLC参戦により、登場演出・アピール・最後の切りふだで登場。彼は「オレが参戦するんじゃないの!?」と、ホムラの参戦に大いに驚いていた。ただしその後素直にホムラの活躍を称賛するなどレックス本人は納得してる様子を見せている。
3月4日にYou Tubeで公開された「ホムラ/ヒカリのつかいかた」によると、当初はレックスとの共闘も考えられていたが、同時に2キャラを動かすのは難しく断念したとの事。
なお複数人が共闘するファイターに関してはアイスクライマー等の前例が存在するが、それらのキャラは全員が相当シンプルなデザインであり、逆にホムラとヒカリは全キャラでもトップクラスに複雑なデザインなので、比較にならない。
と言うより、そのアイスクライマーですら限界まで容量軽減策が取られており、それでも前作では「3DS版で動かせないから」と不参戦になった経緯がある。
また今作でも「ジョーカーは本来アピールでモルガナが登場するが、5人以上の対戦だと負荷軽減のため登場しなくなる」「ポケモントレーナーも5人以上だと表示されなくなる」と言う仕様になっており、複数人登場には大きなハードルがある事が窺える。
そして人格を交代しながら戦うホムラ/ヒカリの方が個性を出しやすいということで彼女(達)がファイターに選ばれることになったのである。
参戦こそ出来なかったが、既出であるスピリットは性能が変更されて、マスタードライバー仕様に超化出来るようになった。クラスはレジェンドに上がり、「ピンチでいろいろ強化」を得る。アピールや切り札での登場も含め、不参戦キャラながら原作の主役として十分に配慮されていると言えるだろう。
ちなみに、スピリットのレックス(マスタードライバー)には「ホムラ/ヒカリのつかいかた」ではネタバレ防止のためモザイクをかけられていることから、ファイター化しなかったのは、こういった面も配慮されたのかもしれない。
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以下はゼノブレイド2のネタバレを含みます!
ネタバレ
旅路
天の聖杯のドライバーとなったレックスだが、その道程は過酷なものであった。
第三話ではメツとの戦いで先輩ドライバーであるヴァンダムの命を奪われ、ヴァンダムの遺言に従って傭兵団のリーダーとなる。その後、第五話ではシンとの戦いでファン・レ・ノルンの命まで奪われてしまった。レックスの冒険は、喪失と引き換えに新たなものを得る道程であった。
そして第六話では、シンとの再戦が待ち受けていた。真の姿を現したシンの実力はまさに圧倒的であり、ヒカリの力を以ってしても抗えないほどだった。シンの能力は「素粒子の操作」。その力を用いれば光の速度で動き、あらゆるエネルギーに干渉して散らすことも可能であった。ヒカリの力では光速を超えることはできず、聖杯の剣を破壊されたレックスはなす術もなく打ちのめされる。だが命を奪われる寸前、ホムラが投降をしたことで仲間たち共々見逃された。
レックス「あんなすごい奴に勝てっこない。オレなんかじゃとても叶わない。それがよくわかったんだ。元々無理だったんだ――楽園も――ドライバーも――」
シンによって恐怖と敗北感を植え付けられ、剣と共に心まで折られたレックスはすべてを投げ出してアヴァリティアへ帰ることを口にする。ニア、カグツチ、ハナと女性陣の言葉を以ってもレックスを再起させることはできなかった。想いだけではどうにもならないという現実を知ってしまった故に。
しかし、ジークの父・ゼーリッヒ王から「天の聖杯がブレイドに負けるとは思えない。レックスでは完全に力を使いこなせなかったのではないか」と告げられ、そして英雄アデルも使うのを恐れた第三の聖杯の剣が存在することを聞き、闘志を復活させる。その行方はセイリュウことじっちゃんが知っており、イヤサキ村の近くにある「お守り様」の地下……「エルピス霊洞」に秘匿されていた。
実はじっちゃんは、アデルから第三の剣の守護を命じられていた。しかもイヤサキ村とは、アデルが開拓した村でもあった(アデルの仕掛けにより村の住民でなければ霊洞の入り口の封印は解除できない。これは物語序盤に訪れた古代船も同様で、だからこそシンたちはレックスを雇ったのだった)。
これらの真実を聞かされながらレックスは地下空洞を進み、ついに第三の剣まで辿り着く。だがそこへ最後の試練としてアデルの分身たちが立ちはだかる。スザクの武器を手に奮闘するレックスだが戦力差は覆せない。だが仲間たちの危機を前にニアは真の力と姿を解放し、レックスのブレイドとなって形勢を押し返す。
その時、レックスは謎の声を聞き、ホムラと出会った「夢の中の楽園」にて英雄アデル(の精神の断片)と対面する。彼はレックスに名を聞いた後、何のために力を求めるのか問う。
アデル「レックス、君の望むものは? 富か? 力か? 権勢か?」
レックス「うーん、そういうのってよくわからないなぁ。でも――力は欲しい。守れる力を」
アデル「何を守りたい?」
レックス「いっぱいあるなぁ。じっちゃんや、ニアや、トラや、イヤサキ村の皆――そして、ホムラとヒカリも――」
アデル「全てを守る必要なんてない。一人の人間にできることは限られている。だが、君にしかできないこともある」
レックス「オレにしかできないこと?」
アデル「彼女は恐れているんだ――自らの力を――運命を。そして私も恐れた――天の聖杯の真の力を――」
アデル「君が本当に守りたいと思うもの。そのために君は戦え。彼女が抱く恐れの全てを君が受け入れた時、君は真のドライバーとなれるはずだ」
アデルとの会話を終え、元の場所へと戻って来たレックス。だが、第三の剣は長い年月によって朽ち果て力を失っていた。しかしレックスの表情には落胆の色はなく、既にアデルとの会話で本当に必要なのは剣などではなかったと気づいていた。完全に立ち直ったレックスは、大切な人たちを助けるべく決戦の地「モルスの断崖」へと向かう。
レックスたちがホムラの元にやって来た時、既に彼女は力と記憶をメツに奪われた後だった。だがそれでもレックスはニアと共にシンに立ち向かい、圧倒的な実力差を想いと気迫で埋めていく。けれどシンとの差を埋めるには程遠く、次第に劣勢となっていく。
その時、精神のみとなったホムラとヒカリがレックスに語り掛ける。
ホムラ「もういい、やめてレックス! 私達に関わらないで!」
ヒカリ「私達の力は、レックス達を苦しめるだけ……それなら、そんな力なくなった方がいい……」
ホムラ「私達の本当の望みは楽園に行って、父様に私達の存在を消してもらうこと――」
ヒカリ「それがこの世界のため。だから、放っておいてくれればそれでいい!」
レックス「放って置けるかよ――傷を一つ受ける度に君の痛みが伝わってくる! 痛みが一つ増える度に君の心が泣いてるのがわかるんだ!」
レックス「目の前で女の子が泣いてるってのにそんなの放って置けるわけないじゃないか!」
レックス「オレは君のために楽園に行く! 君一人だけのために楽園に行ってみせる!」
レックス「だから行こう! そして確かめよう! 君が何のために生まれてきたのかを! オレ達と君の未来が、どこに向かおうとしているのかを!」
レックス「オレを信じて欲しい! オレは君のために二度と世界なんて灼かせない!」
レックス「だから――君の全てをオレに、このオレにくれーっ!!!!」
シンの凶刃が迫った直後、レックスの精神はホムラ、ヒカリと接触する。大好きな皆が生きるこの世界を守りたい――その想いは三人とも同じであった。
そしてその想いは奇跡を呼び起こし、失われていた第三の聖杯の剣を再生させ、ホムラとヒカリもまた合一することで本来の力を行使できるようになった。アデルの言葉通り、彼女たちを受け入れたレックスは本当の意味で天の聖杯のドライバー……マスタードライバーとして覚醒。全てのブレイドと同調することが可能となった(衣装もホムラ・ヒカリによって専用のものに変化させられた)。
シンとの戦いでは真の天の聖杯の能力である「望んだことが望んだままにできるようになる」という能力によって、シンと同じ「素粒子の加速」という能力を用いて互角以上に渡り合う。同格以上の相手を前にして動揺するシンと、ただ前に進むことを決めたレックス。既に勝負は見えていた。
膝を突くシンだが、メツが従えた僕(デバイス)サーペントが立ちはだかる。ホムラとヒカリもまた僕セイレーンを降臨させるが、激しい戦いの余波によって足場が崩壊。双方共に雲海の底へと落下していった。
目覚めた時、レックスとヒカリはモルスの地と呼ばれる廃墟にいた。そこで異形に襲われるシンの姿を目の当たりにする。シンは先の戦いで弱っており、敵とはいえ見捨てるのは違うとしてレックスは助けに入る。ヒカリは一時休戦を提案し、シンも今の状態でやり合うつもりはないとして共に探索することとなった。ヒカリはシンが変貌した理由を聞こうとしたが、今更話したところで意味はないとして口を閉ざされてしまう。だが合流したハナやカグツチとの触れ合いがシンの重い口を開かせる。
彼が語ったのは、聖杯大戦が終わった直後の出来事だった。イーラは人とブレイドの共存を目指す国だったが、そこから新たな信仰が生まれ地位を脅かすことを恐れたマルベーニ率いる大軍によって焼き尽くされたのだった。メツとヒカリの戦いで世界は灼かれたと言われているが、イーラに関しては手を下したのはマルベーニだったのだ。シンはこの大虐殺でドライバーであるラウラの命を奪われ、彼女の心臓を喰らうことでマンイーターとなって生きながらえていた。その後、メツと出会ったシンはこんな悲劇を生み出す世界を創った『神』を殺すために、そして自分たちをこんな境遇に追いやった世界を滅ぼすために行動するようになったのだった。
廃墟を抜けて世界樹の下層へと足を踏み入れるレックスたち。内部は『樹』というイメージから掛け離れた近未来的な施設であった。
やがてイーラ側の迎えが現れシンは離脱。入れ替わるようにマルベーニ率いるアーケディア(巨神獣)と大軍が世界樹の近くまで姿を現す。イーラとアーケディアの激突が繰り広げられる中、マルベーニの使者が現れレックスに加勢を命じる。レックスはイーラを止めるつもりだが倒すために来たわけではないと拒否。すると使者たちは天の聖杯を奪うべく襲い掛かって来た。
これを返り討ちにしたレックス達だが、今度はマルベーニがマスタードライバーとしての能力を用いてヒカリを操り、セイレーンを使ってイーラの戦艦マルサネスに攻撃を加えさせる。更にマルベーニは各国の巨神獣まで操り無理やり戦列に加えさせる。見過ごせなかったレックスは同様の能力を用いてマルベーニの支配を相殺しヒカリを助ける。更にマルベーニの能力を増幅させていた柱を破壊することで巨神獣も解放した。激昂したマルベーニの砲撃がレックス達を襲うが、サタヒコ駆るマルサネスが盾となったことで窮地を脱する。
その後、サタヒコの決死の特攻によってアーケディアの巨神獣が轟沈。マルサネスもまた爆発四散した。
世界樹の中層ではシンがただ一人で一行を待ち受けていた。シンはメツとの約束を果たすべく、そしてレックスはホムラとの約束を果たすべく、両者は今一度剣を交える。
シン「神が与えたもうたその力、なぜ人間のために振るう!?」
レックス「楽園に行くためだ!」
シン「行ってどうする? 人に開放するのか? 分け与えるのか!?」
レックス「当たり前のことを聞くな!!」
シン「与えてどうする!? 結果は見えているんだぞ!? 人は楽園をモルスのように、500年前のイーラの様にするだけだ!」
レックス「オレがそんなことはさせない!」
シン「お前が死んだ後はどうする? 誰がそれを止める!」
レックス「そのために――そのためにあんた達がいるんじゃないか!!」
シン「っ!」
レックス「そして、それを一緒にやり遂げるのはオレじゃない! 誰かだぁ!!」
シンが怯んだその時、レックスの渾身の一撃が彼の刃を弾き飛ばした。
ヨシツネとベンケイが救援に駆け付けるが、敗北を認めたシンにもう戦う気はなく引き下がるように告げる。
直後、異形と化した神鎧マルベーニが現れヨシツネとベンケイのコアを喰らってしまう。マルベーニはコアの洗礼を行う一方で、有用なコアを選んでは自身に取り込んでいた。その力を解放することで醜悪な化け物と化し、レックスたちを追って来たのだった。
マルベーニ「アルストの世界を旅してきたのだろう? モルスの地を見てきたのだろう? 幾万の時を経ても人は何一つ変わっていない」
レックス「変わっていないのはあんただ。だから、変わろうとした人達が邪魔だった!」
マルベーニ「変わる必要などあるものか。変われば、全てが消える。私が消えてしまう! それに耐えられる者などいはしない!」
人の愚かさを語り、だからこそマルベーニは『神』に会うことで人とブレイドを含めた全てを滅ぼそうとしていた。メツが世界を滅ぼすことにこだわるのは、同調の際にマルベーニの影響を受けてしまったからだった。死闘の末、レックスたちに追いつめられたマルベーニは世界樹との同化を図り、なりふり構わず攻撃を仕掛けて来た。シンを庇ったレックスとホムラ(ヒカリ)は倒れ、トドメを刺されそうになる。だがシンが絶対零度を用いてマルベーニの動きを止め、相討ちに持ち込むことで共に消滅した。
多くの犠牲を乗り越え、ついにレックスたちは『神』との対面を果たす。
『神』の正体は、太古の昔に存在したクラウスという一人の科学者であった。彼は扉(ゲート)と呼ばれる物質の力に魅せられ、クーデターが起こったのを機に独断で使っていた。
その結果、多元世界の扉を開き、全ての人間たちが飲み込まれこの世界から消えてしまった。モルスの地の都市群や世界樹とは、彼らが暮らしていた居住区(コロニー)だったのだ。
クラウスもまた左半身を扉に飲み込まれ、右半身のみで生きる存在となっていた。その左半身は別の場所にて間もなく滅ぶ運命にあり、その時にクラウス自身も消え去るという。
扉に飲み込まれた当時のクラウスは消滅を望んだがそれはできず、これを『罰』と受け取り償いのために世界の再生を始めた。そしてブレイドは巨神獣になり、巨神獣から人間が生まれ、人間がコアクリスタルとの接触でブレイドが生まれるという『命の循環』を創ったのだった。つまりアルストの住人は巨神獣も含め、元々この世界に住んでいたのではなくクラウスによって後天的に誕生した種族だったのである。
だが人間たちの情報を得て行く内に「人間は自分たちの頃から何一つ変わっていない」と確信に至り、再び自らの消滅を願い始める。しかしレックスとホムラを通して新たな希望を見出す。
その証左としてクラウスは、自分が持つ世界樹の権限のすべてをホムラ(ヒカリ)に委譲した。
レックスが使っている聖杯の力とは、エーテルとは異なる「扉から流れ込むエネルギー」が元になっていた。間もなく扉は閉ざされ、その役目を終えようとしている。そうなる前にメツを止めるように告げられ、レックスたちは最後の戦いの場へと向かおうとする。
その最中、レックスは足を止めてクラウスに振り返る。
レックス「クラウスさん! この世界のこと、まだ諦めてる?」
クラウス「今は――お前達に出会えて良かったと思っているよ」
レックス「そっか。なら、オレの答えとおんなじだね。ありがとう! オレ達を生んでくれて!」
既にメツは各デバイスを操り、アルストの各国に攻撃を仕掛けていた。メツもまた星を破壊するために作られた巨大兵器アイオーン・デバイスに乗り込もうとする。
そこへ駆け付けたレックスたちは、アイオーン・デバイスを操るメツと対峙する。
メツ「こいよ、小僧! こいよ、相棒! 全身全霊で、全てでもって示して見せろ! お前たちの意志を! この世界に立っている意味を!!」
アイオーン・デバイスの力はまさに圧倒的だったが、レックスたちは絆の力で食い下がり続ける。
レックス「これでもまだ見えないか!」
レックス「僕(デバイス)を止めろ、メツ!」
メツ「見えねぇなぁ……そんな程度で……世界が変わるかよぉ!!」
レックス「変えてみせる。変わるんだ! そのためにここまで来たんだ、オレ達は!」
互いに一歩も引かぬ激突を繰り広げるレックスとメツ。
レックスはアイオーン・デバイスの猛攻を避け、防ぎ、幾度となく光弾を撃ち込み続ける。
メツ「なぜそこまでする!! 誰のために、何のために!!」
レックス「誰の―― ためでもない!」
レックス「そうすることで皆が笑えるなら、命が繋がっていくなら」
レックス「それがオレの役目だからだ!!」
レックス「シンに言われたよ。あんたを頼む―― って」
レックス「シンは消えたかったんじゃない――あんたに、命を繋げたかったんだ……!」
レックス「自分に道を示してくれた、あんたに!」
メツ「それで何人が死んだと思ってる!! 許せるのか? お前は!!」
レックス「許せるわけないだろ! でもそれがオレ達のいるこの世界だ……!」
レックス「ならその中で、前に進むしかないんだ!」
レックス「あんただって――そうやって進んできたんだろうに!!」
その想いに呼応するようにレックスは巨大な光弾を叩き込み、ついにメツを怯ませる。
最大の勝機を掴んだレックスはホムラ(ヒカリ)と共に聖杯の剣を掲げ、セイレーンから受けたエネルギーによって極大の光刃を形成する。
レックス「これで終わらせる! そして、進むんだ!」
プネウマ「未来に!」
振り下ろされたインフィニットブレイドに対し、アイオーン・デバイスもまた巨腕を構えて迎え撃つ。
しかしいくら強大な力と言えども独りで戦うメツと、仲間たちの想いを背負ったレックスたち……どちらが勝つかなど明白であった。
インフィニットブレイドによってアイオーン・デバイスの腕は機体諸共斬断され、イーラとの長き戦いは終焉を迎えたのだった。そしてメツにも最期の時が訪れようとしていた。
メツ「楽しかったぜ――小僧。もっと早くお前に出会ってたなら――いろんな世界が見えたんだろうな――だが、それでも――」
レックス「オレが――あんたのドライバーだったら――そうすれば――」
メツ「気色悪ぃことを言うな――俺のドライバーは奴だ。それは、それで――悪か―ねぇ――」
メツは消え去り、アルストを襲っていた兵器群も機能停止した。その時、扉が消えた影響で世界樹が崩壊を始める。このままでは大部分がアルストに落下にしてしまう。
そこでホムラ(ヒカリ)は、レックスたちを脱出艇まで逃がし、自身はアイオーン・デバイスを自爆させて世界樹を消し去ろうとする。
当初は自分も残ると口にしたレックスだが、彼女たちのコアクリスタルが移植され完全な形となってレックスから離れる(レックスの衣装も元に戻り、ホムラたちと出会う前に戻った)。
もう天の聖杯のドライバーでなくなったレックスは、彼女たちの想いを汲むことを決意する。
脱出と同時に自爆の衝撃によって艇が壊れてしまったが、こうなることを見越していたホムラ(ヒカリ)はじっちゃんに力を与え、いつでも巨神獣の姿に戻れるようにしていた。空中に投げ出されたレックスたちは、かつての姿を取り戻したじっちゃんの背に乗ってアルストへと戻るのであった。
世界樹は破壊され、ホムラとヒカリの犠牲によりアルストは救われた。クラウスもまた消え去ったが、彼は最後に置き土産を遺していた。
レックスたちがアルストに戻ったその時、雲海が掃われ各国の巨神獣たちが一つに集って大地を――『楽園』を形成し始めたのだ。
長い旅の末に、多くの犠牲の果てに、レックスはついに探し求めていた楽園を見つけた。
こうしてじっちゃんの背中から始まった冒険は、じっちゃんの背中で終わりを迎えたのだった――。
そして奇跡はもう一つ起こった。レックスが手にしていた天の聖杯のコアクリスタルが光り輝き、ホムラとヒカリを別々の存在として再生させたのだ。
こうして少年と少女の出会いから始まった物語は、少年と少女たちが再び出会うところで幕を下ろすのだった。
ゼノブレイド3
レックス本人は登場しないがEDにてニアが持っていた写真に成長したレックスと冒険した仲間達、そしてホムラ、ヒカリ、ニアとそれぞれの子供たちが写っている。
また、ゼノブレイド2にてレックスがシンに突きつけた「今後現れるであろう『誰か』であるブレイドと人間が一緒に世界を守っていく」という答えはシティーの人間や主人公6人組、そして彼らに開放されたコロニーの仲間たちへしっかりと受け継がれており、ニア自身も「はじめの一歩を踏み出すのは怖いだろうが、かつて世界を前に進めてきた若者たちは、未来に『あんた達』がいると信じて戦ってきた」と発言している。
メツに対して突きつけた「自分たちのいるこの世界で失うものがあったとしても、前に進んでいくしかない」という答えについても、前述のニアの言葉通りしっかりと受け継がれており、異なる世界のケヴェス女王・メリアにさえ「我々の世界はまだ若い。傷つけ合ったりすれ違うこともあるだろうが、それでも前へ進んでいくしかない」と言わしめている。
ホムラとヒカリの全てを受け入れて迷いを断ち切っただけでなく、500年間の呪縛からシンやメツを救い、永遠の罪を自覚していたクラウスをも「お前たちに出会えてよかったと思っている」とさせたレックスの答えは、ゼノブレイド3でもしっかりと受け継がれていた。
ネタバレ注意
「いい意気込みだぜ…小僧
「このレックスが引き継いだ!」
楽園に辿り着き、幾年が過ぎ去った時代。かつてのマルベーニの言っていた言葉。変われば全てが消える。それに耐えられるものは存在しないその悲痛な叫びが現実となり、世界が掌握されてしまった時代でも彼は尚も戦い続けていた。
その容姿はかつての幼い少年の面影は消え、筋骨隆々の屈強な身体にかつてのサルベージスーツを彷彿とさせる青いアンダーウェアに重厚感のあるロングコートを羽織っている。
性格は気さくで豪快な男性といった感じであり、その様はかつての仲間と共に教えを解き、戦の本質を教えたとある傭兵団の団長のように、そして声質や背丈の小さい者に対して豪快に小僧と言う姿はかつて死闘を演じ、世界の命運をかけた戦いを繰り広げた黒き聖杯を彷彿とさせた。
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もう一つの関連タグ
ランディ:聖剣伝説2の主人公。伝説の武器を扱える血筋だがそのことを知らずに孤児として村で育った。この他、容姿が似ている点、性格的に熱血漢ながら所々弱気なシーンが多い点が類似。関連作品であるクロノトリガー、ゼノギアス、クロノクロスと後述の通り間接的な意味でも影響を受けている。
ウォン・フェイフォン(フェイ):ゼノギアスの主人公。オマージュ元。
セルジュ:フェイのオマージュキャラ。本来なら死ぬはずだったが多重人格のヒロインに助けられ冒険に出る。声優もレックスと同じ。
ルベド:ゼノサーガシリーズの登場人物であり男主人公的存在。面倒見はよく人望はあるが精神的に脆い部分もあるパーティのショタ枠で、ニアと似た境遇の少女と仲良くなる。また宿敵はメツと類似点がある。