概要
「ディープ・ステート(英:Deep State、DS)」とは、政府の中に潜んでいる別の国家、あるいは国家と同規模の力を持った権力者や、権力を持った組織・勢力があるとする陰謀論。
これによって政治が政府の思惑とは異なる方向に動いてゆき国が乱れる、あるいは経済がDSによって牛耳られて民が困窮するといった主張が基本的な内容である。
ドナルド・トランプは政府内のオバマ前政権の残存勢力を示唆する言葉として使用し、この陰謀論をもってQアノンを扇動し、混乱を招いた。
ただし、この概念はトランプやQアノンのオリジナルではない。
第一次世界大戦期には既に、こうした勢力によってアメリカ合衆国は参戦「させられた」とする世界観が確認されている。
ユダヤ人や各種秘密結社を想定するものであれば更に遡れ、他国にも同様の主張が見られる。
単語としての「ディープステート」の起源になったのは90年代のトルコだという説がある。出典90年代以降のトルコでは"Derin Devlet"なる反体制派の秘密結社が国内政治を不安定にさせているという陰謀論が広く信じられており、そしてDerin Devletの英訳こそがDeep Stateであった。DSという単語が欧米圏に浸透したとき、トルコで使用されていた「反体制派の組織」という意味合いは消滅し、「軍産複合体」を批判する文脈で使用されるようになった。そして2017年以降にはこの単語がQアノン界隈でやみくもに定義し直され続けた結果、単にトランプ陣営に敵対する人々をディープステート呼ばわりするようになったのである。
Deep Stateにはもはやまともな定義など存在せず、陰謀論者たちによって自分とは異なる意見を持つ人間をひとくくりにして批判するための便利な言葉として受け入れられたのである。
日本でも「在日」を想定する説などが断続的に語られてきた。
近年では暇空茜が同様の主張を行い、厚生労働省・東京都・伊藤忠商事・共産党・フェミニスト・NPO法人などが結託して税金を横流ししているとした。
彼はこれを「公金チューチュースキーム」と表現し、一時はネットのトレンドになっていた。