概要
この言葉は英語の『chemical(=化学物質)』と『con trail(=飛行機雲)』を合成した語で、飛行機から撒かれる毒、を指す。また「使用されるものは化学薬品に限らず、生物兵器なども散布される」とも主張がされている。
最初にこの言葉が用いられたのは、ウイリアム・トーマス(William Thomas、反戦活動家、アメリカ出身で後にカナダに亡命、著名な仕事としては湾岸戦争の取材、携帯電話が発する電磁波の影響などの著作など)による提言である。
彼の主張は「一部の軍用機の排出する飛行機雲の中には、有害物質が混入している」であった(後に判明するがその主張の基である燃料、JP-8には彼が主張するような有害物質である『ニ臭化エチレン』は混入していなかった)。
ところが、アメリカ合衆国における政情不安と不確定な情報が結びつき、広く主張されるようなものになったとされる。
主張の概要
2004年、エイミー・ワージントン(Amy Worthington,アメリカの活動家)によって発表された文献では、ケムトレイルの空中散布で以下の内容で行っているとされた。
- 「如何なる物質をもってどのような効果が得られるか?」の実験をしている。
- この実験に基づき「人体や農作物にダメージを与えられるのかどうか」の調査をしている。
- 最終的には軍事的効果や人口調整に用いられる。
- また、人工的な降雨や暴風、地震の発生を行う研究としても行われている。
また、ケムトレイルにはいくつかの特徴があり、通常の飛行機雲との航跡と以下の違いがあると主張される。
- 通常の飛行機雲よりも航跡が長く残留し、拡がり、独特な雲に変化していく場合が多い。
- 結果、霞みがかったような空になり、太陽光が散乱し外接ハロ(太陽の周りに楕円形の暈ができる現象)や幻日(太陽と同じ高度の太陽から離れた位置に光が見える大気光学現象)が観測され易くなる。
- 大気中に残留化学物質などが確認され、周辺地域で健康被害が報告される場合がある
- 出現の直前に軍用機などが飛行している。散布後にヘリコプター飛来の報告がある。
- 皮膚の下を寄生虫のようなものが蠢く「モルジェロンズ病※」の発症。
※「皮膚寄生虫妄想」とも呼ばれる統合失調症や鬱、アルコール使用障害に見られる症状の1つである。
反論
飛行機雲のうち消えにくいものが存在するのは、上空の気象条件によるものと考えると大抵は説明がつく(上空に水蒸気が存在していると飛行機雲が核となり雲となる、幻日などが見えるのも気象条件によるものであると考えられる)。
また空は素人が考えるよりも広いものであり、実際に航空機にそのようなものを大規模に散布可能な装置を取り付けた場合、重さのバランスが変わり設計を変更する必要が出る。そのため民間の航空機にそのようなものの搭載にメリットは存在しないと考えられてる。
時折り「乗客室に大型の容器が搭載された旅客機の写真が『ケムトレイルが存在する証拠』である」と主張される場合がある。実際にはそれらの容器はバラストと呼ばれる、乗客や貨物の重量をシミュレートするために搭載される水で満たされた容器である。
ジオエンジニアリング(地球工学)
『ジオエンジニアリング(Geo-Engineering)』あるいは『クライメートエンジニアリング(Climate-Engineering)』と呼ばれるものの内、特に雨雲を人工的に発生させる目的で化学物質の空中散布がなされる場合がある。
ちなみに米露間のみならず他国においても、気象兵器を制限する環境改変兵器禁止条約により、この種の環境改変技術を用いた兵器の利用は禁止されている。
関連項目
魔人(女神転生):真・女神転生IVでは魔人として登場している。