エースコンバットシリーズのネタバレを含みます
解説
『エースコンバット』シリーズのうち、ストレンジリアルを舞台とする『5』以降の作品に登場するオーシア連邦の軍需企業。作中では「グランダー社」とも呼ばれる。
英語表記は「North Osea Gründer Industries」。Gründerはドイツ語で「創設者」を意味する。
元は「南ベルカ国営兵器産業廠(South Belka Munitions Factory)」というベルカ公国の国営軍需企業で、ベルカ戦争の結果オーシアに信託統治領「ノースオーシア州」として併合された旧ベルカ連邦南ベルカを代表する工業都市「スーデントール」に本社を構える。
国営企業時代より非常に高い技術力を誇ることで知られており、後述する各種高性能兵器の開発を行っていた。その技術力は『5』では登場人物の一人であるオーシア空軍のピーター・N・ビーグル特務少尉に「強度と性能を維持しつつ部品と工程数を減らすことで、従来の3分の2の予算で戦闘機を製造できる(=2機分の予算で3機が製造可能)」と言われていた。
一方で俗に言う腹黒企業で、戦争によって利益を得るため優秀な技術力と経済力を用いて暗躍、ストレンジリアルの世界を度々戦乱に陥れた、まさに全ての元凶である。
もっとも、利益を得るために戦争を起こすというのはこの手の軍需企業としては(その是非はさておき)よくあることではあるのだが、それでもこの企業が凄まじいのは戦争の交戦国双方の軍と契約を結んだ上で武器を供給し、さらにはその供給量をコントロールすることで戦争の流れを操り、さらにテロ行為まで支援するという暴挙を繰り返したため。
また、元々ベルカの企業であったこと、ベルカ系の人間が多く在籍していること、戦争支援を度々行ったことから、「ベルカ人は陰謀の源」とするベルカ人差別の原因ともなっている。
(こうした所業のほとんどは社内に潜むベルカ公国の強硬派一派「灰色の男たち」の仕業であり、大半のベルカ人はおそらく無関係である。ベルカ戦争の終盤で極右政党の後ろ盾を失った彼らはもはやただのテロ組織に過ぎずベルカ人全体を差別するのは不適当といえる。また『7』の描写を見るに、グランダーI.G.社の社員も大半がその野望に直接は関与していないことが窺える。もっとも、彼らの技術的探究心が戦争拡大の原因の一つになったことも否めないが)。
劇中の主な動向
エースコンバット04
作中未登場のため、大陸戦争との関連性は不明。
ただ、ストーンヘンジの建造にベルカ人技術者が関わっていることが後のシリーズで明らかとなっている。
エースコンバット5
初登場作。上述した通りオーシアの企業でありながら敵国であるユークトバニアにも兵器を供給している。
会社の上層部は「灰色の男たち」のメンバーであり、兵器の供給を通じて戦争をコントロールしつつ、ハーリング大統領の拉致、主人公らウォードック隊にかけられた多数の嫌疑(もちろん冤罪)、アークバードの兵器転用、SOLGの大気圏突入など、灰色の男たちの事実上の工作機関としてオーシア・ユークトバニア間で勃発した「環太平洋戦争」諸問題の原因を作り出す要因となっている。まさに全ての元凶。
これらの事象は、後に戦争そのものも含めベルカ事変とも呼ばれることとなった。
戦後、灰色の男たちのメンバーであった社長のソラーレ・オストベルグは逮捕され、2011年に獄中で謎の死を遂げたが、企業そのものは解体されず、これが『7』における灯台戦争の戦線拡大に繋がったという見方もある。
また、この一件でベルカ人に対する差別感情が悪化。
オーシア、ユークトバニア両政府は特定の人種や民族に対する差別には厳しい措置をとったものの、それでもベルカ人に対する差別感情の完全な払拭には至らず、後の灯台戦争においてエルジア軍によるベルカ系民間人の虐殺が発生する一因となった。
ちなみに『5』のブリーフィング画面に登場するデータベース「GASA」はグランダー社製で、起動画面や作戦地図の左上にロゴマークが描かれている。
エースコンバットZERO
『5』の前日譚であり、前身の南ベルカ国営兵器産業廠が登場。
作中に登場するベルカの超兵器の数々やV1、レディオアクティブ・デトネイター、V2などの核兵器の開発を手掛けたとされる。
エースコンバット6
直接は登場しないため、詳しい関連性については不明。
ただし、作中で敵対することとなるエストバキア連邦はベルカ戦争後に亡命ベルカ人技術者を多数受け入れたとされており、実際にアイガイオンにはフレスベルグを開発した技術者が関わっており、更にエースコンバットZEROに登場した、ゴルト隊の生き残りであるロレンズ・リーデル(ゴルト7)がアイガイオンから出撃する等、『04』と同様様々な形で戦争に関わっていたと思われる。
エースコンバット3D
『7』の年表に含まれておらずストレンジリアルの正史に含まれるかは不明だが、ユージア大陸紛争そのものは『7』劇中で言及されているため記述する。
時系列的には『ZERO』と『04』の間。つまりこの時代からグランダー社として暗躍し始めたことになる。
劇中では無人攻撃システムZ.O.E.が赤い機体として度々現れる。恐らく後の発展に繋げるためのデータ収集の為クーデター軍に協力したものと思われる。オルセンも「クーデター軍に機体の独自開発などできるわけがない」と発言していることからほぼグランダー社が関与していると見て間違いないだろう。
エースコンバット7
『5』と同様『戦争状態の両陣営に兵器を供給している』。この時には企業グループは各工場ごとの独立採算性を重視する企業連合体制に近い形態を取っており、本国法人がオーシア連邦に、ユージア法人が劇中におけるオーシアの敵対国であるエルジア王国にそれぞれ兵器供与を行っていた。
また、エルジア王国にはユージア法人が作中に登場する無人機やアーセナルバードの開発、IFF(敵味方識別装置)の偽造技術の開発に関わった(この偽造技術はオーシア軍の軍事機密をエルジア軍に提供する形でなし得ている)。
他にも『04』の時点で開発中だったX-02をEASA(エルジア航空宇宙局)と共同で改良、X-02Sストライクワイバーンを完成させ、これが作中で猛威を振るう老エースの乗機となっている。
『5』の後もグランダーI.G.を通じた灰色の男たちの暗躍は続いたとされ、灯台戦争にも関わったと見られるが、2020年初頭に環太平洋戦争に関する機密文書が公開されたことで、灰色の男たちとの繋がりが明確化。国連の制裁の対象となり、スーデントールの本社とセラタプラの現地法人「グランダーSS(Space&Security)」の閉鎖が決定し、長年戦争の陰で暗躍してきた行為に終止符が打たれた。
なお、グランダーI.G.及びその関連企業の従業員約6万人に対しては、ノースオーシア州当局によって約2年間の身辺調査が行われる他、公営企業への優先的再就職支援プログラムが実施されるなどの救済措置が講じられることとなった。他にも優秀な技術者の確保を目的として、いくつかの外国資本が個別もしくは事業部単位での買収に名乗りを上げているという。
開発、あるいは関わったとされる兵器(時系列順)
エースコンバットZERO(南ベルカ国営兵器産業廠時代)
エースコンバット3D
エースコンバット04
エースコンバット5
エースコンバット6
エースコンバット7
関連項目
ゼネラルリソース:ユージア大陸に本拠地を置く巨大多国籍企業。グランダー社の閉鎖後、どれだけかは不明だが人員が移籍したと思われる描写がある。