エースコンバットシリーズのネタバレを含みます
誤記誘導
コナミのロボットアクションゲーム「ZONE OF THE ENDERS」シリーズの略称として用いられることもあるが、これは公式にはZ.O.E表記で、最後のピリオドがない。
解説
エースコンバットシリーズで度々登場するが、その設定には紆余曲折があった。
- 『2』
主人公・スカーフェイス1のライバル機としてF-14で初登場。
以後も、撃墜のたびにF/A-18E、F-22(現YF-22)、F-15S(現F-15S/MTD)とその乗機を乗り換えて現れるが、その全てが真紅に塗装された機体となっている。
最終ミッションではこれまたシリーズ初登場の架空戦闘機・ADF-01(TLS非搭載でFALKENとは異なる機体)を駆り、コブラ・マニューバといった高等機動や、自機の後方にミサイルや機銃を撃ってくるという特異な攻撃を繰り出す。
(ただし、後に発売された廉価版のでは後方への攻撃はオミットされている)
なお、後々の作品における敵エースパイロットの扱いとは異なり、本ゲーム中におけるZ.O.E.は専用ムービーや特別な演出などの一切が無く、ミッションのクリアに必須な撃墜目標ですらなかった。
また、この頃にはまだ詳細な設定が公開されておらず、AI搭載の無人戦闘機という設定はナムコ公式ガイドブックのスタッフ座談会レポートでしか触れられていなかったため、その名前から女性パイロットなのでは、といった憶測もあった。
- 『5』
2以来の再登場。
ADF-01 FALKENの管制AIを担い、同機の全天周モニター出力を補助している。
...のだが、今作における役割はそれだけで、存在感は非常に薄い。
ただ、新たに『オーシア連邦のノースオーシア州スーデントール(旧ベルカ公国領南ベルカ)にあるノースオーシア・グランダーI.G.(旧南ベルカ国営兵器産業廠)でZ.O.E.プロジェクトに基づき開発された』という詳細な設定が追加された。
- 『X』
SPミッションにて2のライバルだったXFA-27を駆るスカーフェイス1と共に敵として登場するが、搭乗(?)する機体は2とは異なりTLS搭載のADF-01 FALKENとなっている。
- 『3D』
エースコンバット2のリメイク作となる3Dでは2と同様に敵機として登場。
完全なボス扱いのため2とは異なり各々のミッションでプレイヤーはZ.O.E.との交戦を避けることはできず、直接対決を強いられる。
2と同様に全ての乗機は真紅に塗装されているが、搭乗機は一部異なり、F-14D、F/A-18E、YF-23、F-15S/MTD、ADF-01(2準拠のTLS非搭載機)となっているほか、ミッションによってはダメージをある程度受けると撃墜される前に撤退する。
また、セントアーク戦以降は敵機のHUDに無数のダミーコンテナを映し出すという特異な電子攻撃を繰り出してくる。
このダミーコンテナ、あたかも本物かのようにHUD上を飛び回る上にアタックマニューバを仕掛けることが可能。傍から見ると鋭い機動で背後を取るもそこには何もないという、ちょっとシュールな光景になる。
また、最終ミッションでは事実上のラスボスとして登場。2と同じく後方にも機銃やミサイルを撃ってくるものの、2とは異なりある程度のダメージを受けるとこれらの能力は失われる。
エクストラミッション4ではADF-01 FALKEN×4機で登場、要塞イントレランスに突入、例のUターンを突破したプレイヤーにレーザーを一斉掃射しながら襲いかかる。
- 『インフィニティ』
5同様にADF-01の管制AIとして登場。
Z.O.E.プロジェクトのエンブレムもここで初めて設定された他、特別仕様機の「YF-23A -ZE-」の機体解説にて女性人格のAIである事が言及された。
なお、今作ではそれまで実質的なZ.O.E.専用機だったTLS非搭載のADF-01が「ADF-01 -ZE-」として初登場した。
ただし、コックピットビューは通常のADF-01 FALKENと同様で、後方へのミサイル・機銃攻撃も不可のため、2・3DにおけるZ.O.E.機との共通点は外見のみ。
- 『7』
エルジア王国のEASAに派遣されたグランダーI.G.社のドクター・シュローデルらによって開発され、同国の無人機であるADFX-10、及び同機の完成型であるADF-11Fの管制AIとして搭載され、ゲーム中におけるラスボスとして登場する。
なお、発売前にイベント等で公開された映像では機体に描かれたZ.O.E.プロジェクトのエンブレムは消されており、Z.O.E.の存在は最後まで隠蔽されていた。
エルジアのエースパイロットであるミハイ・ア・シラージの戦闘データが元となっているが、AI自体もトリガーらオーシア軍との交戦により学習を続け、更なる自己成長を果たす。
進化を続けた結果、最終的には通信システムとユージア各地にある無人製造工場にて全自動で量産工程を進め、無限に成長と再生を繰り返す「最悪の無秩序」と化してしまった。
ただ、幸いにも追加製造に必要な軌道エレベータの通信網利用に制限がかかっていたため当初の2機以上は製造されず、タイムリミットこそあったが最悪の事態はなんとか免れている。
ADF-11FのZ.O.E.は機動制御のみならず戦術面に関しても優秀で、フギン&ムニンの連携の取れた協働により非常に手強いだけでなく、一機が撃墜されてもウィングユニットを切り離し死んだふりをして通信可能な場所まで逃走、もう一機が囮となって時間稼ぎを行うなど、単なる無人機用AIの枠に収まらない柔軟な思考能力を有した。
なお、搭乗機の動力はケロシンを使用する従来のジェットエンジンのため航続距離・滞空時間に限界があり、わざわざ迎撃せずとも『燃料補給のタイミングで破壊するなり燃料と見せかけて水を注入するなりの対策で十分対抗できたのでは?』という疑問が呈されることもある。
...が、軌道エレベータ再起動までの時間が不明な以上、燃料切れの前にデータ送信がされてしまえば空が無人機により覆われてしまう可能性があったうえに、実際に軌道エレベータの電力システムが復旧したのは戦闘中であり、戦闘機動をしていても燃料が持ったことを考えると、燃料切れを待っていればデータ送信は完遂していたとみて妥当だろう。
なお、ミハイの駆るSu-30SMやX-02Sの後席、エルジア王国の運用する無人機化されたF/A-18等に搭載された無人操縦システム(コプロ)、MQ-99等のエルジアが運用するUACVもミハイのデータを用いているとみられ、また『5』のアーケードモードにて自由エルジアを壊滅させた際にエルジアの無人戦闘機の開発データを入手できたことが伝えられるが、これらにZ.O.E.と関係があるかは不明。
ちなみに、DLC機体であるADF-11Fは解説では有人化した機体となっているが、コックピット視点が補正の入った特殊なものとなっており、更に視界を遮るものが一切のない全方位視界となっている事から、スクリーンに投影するCOFFINシステム以上に進化した完全なHMD視界、もしくはZ.O.E.の空間認識を再現したものと推測される。