F-15S/MTD
えふじゅうごえすえむてぃーでぃー
STOL(短距離離着陸)性能向上のため数々の改修を行っており、現在もNASAで実験を続けられており、投入された技術はF-22など新型機の開発に利用されている。
よく「F-15」と「S/MTD」の間は詰めて表記されるが、本当は「F-15 S/MTD」と間を空けるのが正しいようだ。
この計画は来たるべき次世代戦闘機開発のためのデータ収集を目的にしており、とくに『戦闘能力を保ったまま、どれだけSTOL性能を高くできるか』という課題には重点を置いていた。
1984年、マクドネル・ダグラス社は納品したF-15の試作11号機であるTF-15B(複座型評価機)を改めて自社に戻し(=空軍から借用し)、STOL性能を高めるための改造・実験機を製作することになった。
ちなみに試作11号機はF-15E用のアビオニクスのテスト機としても使用されていたため、レーダーやHUDなど多くの機器が更新されていた。(レーダーは後に撤去された)
1986年、製作が開始される。1988年には完成し、初飛行を行った。
完成した機は『F-15 S/MTD』と命名された。
これは「短距離離着陸/機動技術デモンストレーター」の略で、そのためにカナード(F/A-18の尾翼を流用)や2次元式推力偏向ノズルが採用されている。
1991年8月15日、最後のフライトが行われた。
2次元式推力偏向ノズル
これは「推力を上下に偏向させることができる」というもので、のちにF-22に改良型が採用されている。
矩形の特異な形状をしており、偏向は上下20度ずつ可能。
スラストリバーサー(逆推力装置)も備えている。
エンジンはプラット&ホイットニーF100-PW-220。
初飛行時には装着されておらず、後に装着されて実験が行われた。
プロジェクト終了後、取り外されてプラット&ホイットニーに返却された。
プロジェクト終了後、1993年に空軍からNASAのドライデンフライトリサーチセンターに移管されている。
ちなみにドライデンフライトリサーチセンターはエドワーズ空軍基地内にある。
移管と同時に名称も『F-15 ACTIVE』と変更された。
今度は「先進制御技術統合航空機」の略で、もちろんコンピュータを用いた飛行制御の実験に使われている。
短距離離陸だけでなく操縦性技術の向上を目的としている。
エンジンはF-15Eと同じプラット&ホイットニーF100-PW-229に換装された。
飛行制御プログラムも改良されており、排気口から発生する騒音の減少や推力を変更せずに加速を行う等を成功させている。
1996年からは推力偏向ノズルが3次元型に変更され、さらに左右への噴射も可能になった。
1999年からは自己学習ニューラルネットワークシステムを搭載し、『機体の不具合に対してコンピュータが瞬時に対応、操縦性を調整してパイロットへの負担を減らす』というIFCS実験を行っている。
この技術が実用化されれば、例えば損傷した機体の生還率が高まるなどの効果が期待されている。
エースコンバット等では実戦機として登場するが、F-15S/MTD(ACTIVE・IFCS)はあくまで実験用なので武装・レーダーは外してある。開発前のイメージイラストには武装している様が描かれているものの、一連の改修は機体重量の増加・高速性能の低下を引き起こすため、実戦用のF-15に施されることはなかった。
特に機銃はカナード翼の根元が搭載位置のため、もし再び搭載しようとしたらガンポッドとして搭載する必要がある。
プロジェクト以前の改修のおかげでLANTIRNが搭載可能であり、レーダーも再度搭載すれば準F-15Eといえる機体となるが、あくまでこのような装備は戦闘の為ではなく試験の為に搭載されていたものであり、ゲームのような活躍はできないので念のため。
コメント
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