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概要編集

ベルカ式国防術(べるかしきこくぼうじゅつ)は、自らの領内で防衛の為に核兵器を起爆する術。PS2ゲームである「エースコンバット5」と「エースコンバットZERO」に登場するベルカ公国が本土侵攻を許した際、自らの領内で7発の戦術核兵器を起爆する暴挙を行ったことが元ネタである。よほど印象が深かった為か「ベルカ式国防術」の名称がインターネット上で定着した。


ベルカ戦争・バルトライヒの決戦編集

北オーシア大陸東部を領土とする工業大国・ベルカ連邦はその工業力に裏打ちされた優れた練度を持つ軍事大国であり、仮想敵国であるオーシア連邦に対抗して、軍拡競争とその軍事力を背景とした領土拡大政策を執っていた。


だが、領土の拡大による軍事費の増大に財政が耐えきれず、1980年代にベルカは経済恐慌に突入。ベルカは状況を改善するべく法改正を行って東部の2共和国(この一つが『ZERO』におけるプレイヤー達が属するウスティオ共和国)を独立させたり、周辺国に対して領土を格安で売却したりなどするがなおも経済恐慌は収まらず、オーシアに対して五大湖周辺地域の領土割譲と引き換えに共同で当該地域の地下資源採掘事業に乗り出すこととなる。

しかしオーシアが資源採掘量の調査報告を誇張していたことや、それによる資源開発公社の採算割れの隠蔽工作が発覚したことで、ベルカでは急激に反オーシア感情が活発化。更にそれは東部諸国の独立についての世論の不満も噴出させ、遂にはそれを背景に極右政党がベルカで政権を獲得する。


そして1995年、旧連邦構成国であるウスティオでの大量の地下資源発見の報をきっかけに、ベルカ連邦は「法改正による東部諸国独立は外国の干渉によるもので憲法違反である」との大義名分の下、オーシアや東部諸国へ宣戦を布告「ベルカ戦争」が勃発した。

開戦劈頭、ベルカは優れた軍事力を前に突然の開戦で状況が整わない各国に対し優位に戦況を進めるが、オーシアや東部諸国による連合軍の結成などで徐々に戦況は悪化し、ついに連合軍の本土侵攻が現実化する。


遂に連合軍の本土侵攻を許してバルトライヒ山脈を盾に防衛を続けるベルカ軍は、連合軍の攻勢の構えに対して強硬派が核攻撃を画策し、ウスティオに向け爆撃機部隊が出撃。これらは連合軍に撃墜され、東部諸国に対する核攻撃は阻止された...と思われていた

実はこの爆撃機部隊による核攻撃自体、強硬派が連合軍はおろかベルカ軍の反対派にさえ本来の目標を欺瞞する目的で流した情報であり、別の部隊がバルトライヒ山脈周辺で7発の核を起爆。周辺の街諸共、1万2000人を超える人命が失われた。

これを想定していなかった連合軍は完全な混乱状態に陥った上、核爆発による電磁パルスで通信網が破壊されたため戦局の把握も困難となった。この隙を突いて南部の工業都市スーデントールで連合軍に包囲されていたベルカ軍部隊は突撃を敢行して包囲網突破に成功、連合軍はバルトライヒ山脈を越えての進撃は困難となった。


しかしこの核自爆作戦はベルカにとっても政治的・軍事的双方の面でダメージが大きく、結局ベルカ連邦では連合軍主導の下で暫定政権が樹立され、連合軍との間で停戦条約が締結されることとなり、ベルカは戦争に敗北した。

戦後のベルカは連邦は解体されて領土の過半を失い、技術や人材の流出・戦争末期にはクーデターが発生するなど悲惨な事態に陥るものの、反対に世界は軍縮路線・国際協調へ歩んでいく。なお下地があったとはいえ流出した人員によって、再び戦火が煽られるという皮肉な事態が引き起こされている。


V1/レディオアクティブ・デトネイター編集

この際に使用された核兵器は「V1」と呼称される小型の戦術核爆弾であった。このV1の他に「レディオアクティブ・デトネイター」なる戦術核兵器が開発されていたという噂話がベルカ国内で広まっていた。


レディオアクティブ・デトネイターは手榴弾に似た外観で、100ヤード単位で爆発半径の調整が可能。上部のスライド式トリガーを動かすことで起爆するとされている。この兵器と「V1」が同じものであるとする説や、「V1」とは別物であるがそもそもベルカ戦争末期に自国領内で起爆されたのがこの兵器であるという説もある。


補足編集

勘違いしてはいけないが、ベルカ国内での核兵器の使用は過激派集団である「灰色の男たち」による独断であり、決してベルカ国民の総意では無い。なおこの核攻撃は、連合軍がベルカ本土への進軍を始めた頃には、既に計画されている(最低でもエリアB7Rでの大規模航空戦が始まる直前)。

そもそもこの核使用はベルカ軍内部での反発も大きく、核を投下する命令を拒否して戦闘機を使用して逃走を図ったり、核使用を阻止すべく出撃し、爆撃機(実際には陽動部隊だったが)を追った戦闘機部隊も存在した。なお核が起爆される前に、爆撃機を追撃するベルカ機は無線で「生まれ故郷を消し飛ばすつもりか」と発言しており、実はこの時点で攻撃目標がウスティオではなかった事が分かる。

要するに多くのベルカ人は当時自国内での核使用を望んでいた訳では無かったのであり、この件における責任は「灰色の男たち」にあり、「ベルカ人全体」を責めるのは適当では無いと言える。


この一件に加えて、その後の「灰色の男たち」の暗躍や、亡命したベルカ人が兵器開発に携わっていた事実からベルカ人全体が差別されるようになってしまっている。しかし支持基盤となるベルカの極右政党を失った「灰色の男たち」はもはやただのテロリスト集団であり、ベルカ人過激派で構成されているとはいえ、ベルカ公国による支援なども受けていないはずであり、大半のベルカ人は無関係である。


また亡命したベルカ人の技術が兵器開発に使われていた点についても、ベルカ人を差別してよい理由には到底なり得ない。『5』の環太平洋戦争終結後は「灰色の男たち」を裏で支援していたノースオーシア・グランダーI.Gの社長が逮捕されて「灰色の男たち」は後ろ盾を失い、もはやベルカは謂れなき誹りを受ける必要は無くなったはずだった。



その後のベルカ人編集

ベルカの亡命技術者はアイガイオンといった兵器の開発にも関わり結果として戦果を招く一端を担っていた事もあったが、隕石迎撃砲であるストーンヘンジの開発にも参加しており、世界を救う計画の一翼を担っており、ベルカの技術は争いにばかり利用されてきた訳では無い。


最終的にはストーンヘンジも戦略兵器として転用されてしまったが、これは別にベルカ公国やベルカ人のせいではない。事実『04』ではストーンヘンジの軍事利用に反発した技術者たちは旅客機を使ってISAF側に亡命を行っている。


『7』においてはエルジア国内でベルカ人技術者無人機の研究を行っていたことが戦争の激化の一端となり、アーセナルバード迎撃の為に復旧させるにあたってストーンヘンジに携わった技術者達がオーシア軍に協力しているが、その後の成り行きを見るからに人類を救うことにも貢献し、ベルカ人が自らの手で後始末を付けることにも成功している。


ちなみに灯台戦争終結後はノースオーシア・グランダーI.G.が閉鎖となり、ベルカの名誉回復も待たれる事態となっている。


リアルで考えられていたベルカ式国防術編集

冷戦時代にソ連がヨーロッパの侵攻に対し、ヨーロッパ諸国へ投下される計画があった。使用されるのはアメリカ軍の核兵器だが、ニュークリア・シェアリングによって西ドイツ空軍が運用しており、西ドイツ自身が承知の上での運用とは言え、文字通り一旦荒廃した自らの国に自らの手で核を投下する事を半ば強要する悪魔の所業である。


ただしソ連のプロパガンダによりそのような手段を用いないと侵攻が阻止できないと思われていた事・仮にアメリカが核を使用した場合はアメリカによる核攻撃で次の世界大戦の勃発となりかねない事・戦後に西ドイツ国民の恨みがアメリカへと向く事が想定される為に罪を共有するという面もあり、否定できない部分もある。


またイギリスでもブルーピーコック核地雷という似た計画があり、こちらは原発設備に偽装して西ドイツに敷設する予定だった。しかしこの核地雷は英国面丸出しのトンデモ兵器な上に、上記のニュークリア・シェアリングと違い西ドイツに無許可である。発注までは進んでいたが、上記と同じ懸念から計画は中止となった。なおこの計画の機密文書が2004年に公表されるのだが、よりにもよって4月1日のエイプリルフールだったため、更なる混乱を生んだ。


スイスは防衛の為に領土内で核兵器を使用する事も検討されており、1988年12月に配備計画を廃棄するまで自主的な開発と他の国で製造されたものの導入が検討されていた。現在でもアメリカによるニュークリア・シェアリングは継続しており、ベルギー・ドイツ・イタリア・オランダ・トルコはその対象国である。ただしイスラエルは不明で、あえてどちらとも取れる立場を取っている。



他の創作におけるベルカ式国防術編集


  • 機動戦士Zガンダム」の12話においてティターンズが連邦軍本部基地のジャブロー地下にある核爆弾をエゥーゴを殲滅する目的で使用。双方ともに脱出した為犠牲者は少なかった。また核爆弾自体持ちこまれた物ではなく、自爆用だった可能性も示唆されている。

余談編集

リリカルなのは』シリーズには「ベルカ(Belka)」というドイツモチーフの異世界、及び「ベルカ式」と呼称される魔法体系が登場する。


『エースコンバット5』は2004年10月、『エースコンバットZERO』は2006年3月の発売である。『リリカルなのは』シリーズにおいて「ベルカ式」の語が登場したのは2005年10月の『A's』、本格的に登場したのは2007年4月の『StrikerS』。つまり「ベルカ」という名前自体はエースコンバットが初出であるが、「ベルカ式」という言い回しは『リリカルなのは』が元ネタと推測される。事実同作のスラングに「ベルカ式作画」というものも存在する。


一部ファンからは、(いくら山岳地帯とはいえ)核兵器を7発も起爆した割に、1万2000人という犠牲者はあまりに少ないという指摘もある(現実における広島への原爆投下では少なくとも10万人以上が犠牲になっている)。

もっともニュースの第一報で伝えられた時点での犠牲者が1万2000人でその後の放射線の影響でさらなる犠牲者が出たのかもしれないし、起爆時に発生した電磁パルスの影響で情報が正確に伝わってなかった可能性もある(実際ベルカ戦争後もこうした電磁パルスの影響で通信網が途絶した結果、多くの記録が失われ正確な情報の入手が困難になっておりそれが後々「ベルカ戦争の謎」となっている)。

そもそも起爆した場所が険しい山岳地帯であり、広島や長崎のような人口密集地帯じゃなかった可能性もある(実際に5でもバルトライヒ山脈のマップはあるが、目立つ建物といえばハーリング大統領が幽閉されてた古城くらいである)。

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