- 本記事は記述している情報が不足しているため、加筆にご協力をお願いします。
概要
対応するハードはPlayStation2。発売日は2006年3月23日。
『エースコンバット5』で断片的に語られた、オーシア・ユークトバニア連合とベルカ公国の戦いである“ベルカ戦争”での出来事を描く。
「エースコンバットゼロ」とカタカナ表記される場合もある。
主人公《サイファー》が従事した作戦を追体験しつつ、幕間のストーリーでは戦後10年を舞台に、かつての戦闘機乗りたちの足跡を追っていくドキュメンタリー番組のVTRという形式になっている。
ゲームシステムとしては「エーススタイルゲージ」という新システムが特徴。エンジン故障などで撤退する敵機や、軍に接収された民間施設など、黄色でマークされる攻撃目標を攻撃するか見逃すかなどによってゲージが変動し、「マーセナリー(傭兵)」「ソルジャー(戦士)」「ナイト(騎士)」の3つのスタイルに分岐。シナリオ内でも登場人物の反応や交戦する敵エース部隊が変化する。
敵エース部隊の出現時に部隊章と部隊名テロップによるカットイン演出の入ったデモムービーが挿入されるのも特徴で、これは『エースコンバット3D』など後発作品にも受け継がれている。
導入
“ 10年前――世界を巻き込んだ戦争があった ”
2005年のオーシア連邦で、1995年のベルカ戦争に関する情報の一部が開示された。関連資料を入手したジャーナリストのブレット・トンプソンは、とある記述に興味を引かれ、出所不明な裏情報にも手を出す。
ウスティオ空軍の傭兵部隊に所属していたという、畏怖と敬意の狭間で「鬼」と呼ばれた一人の傭兵。その足跡を辿ろうと、「鬼」と戦ったベルカ公国の元エースパイロットたちを取材していたブレットは、彼の「相棒」だったという男、ラリー・フォルクと出会う。
“ そして、『片羽』の言葉で、物語の幕は上がる―― ”
「あれは雪の降る寒い日だった」
登場人物
ウスティオ共和国
- 第6航空師団第66飛行隊・ガルム
- サイファー
- ラリー・フォルク(cv. 桐本琢也)
- ガルム隊の2番機を務める青年。28歳。TACネームは《ピクシー》。
- オーシアとの国境付近で生まれたベルカ出身の傭兵。紛争で両親を亡くし故郷を追われ、孤児院で幼少期を過ごした過去を持つ。1993年の戦闘で自機の右翼を失いながら生還した経歴から「片羽の妖精」の異名を持ち、愛機の右翼も赤くペイントしている。
- 強敵との戦いの最中にも冷静さと余裕を失わない落ち着いた人物で、ウスティオ最後の砦となったヴァレー空軍基地を死守するクロスボー作戦で僚機となって以降、多くの作戦を共にする。任務を終えると「よう相棒、まだ生きてるか?」(Yo Buddy, Still Alive?)と儀式めいた軽口を叩く。
- イーグルアイ(cv. 銀河万丈)
- 第6航空師団の空中管制機管制官。ガルム隊の戦闘を管制する。シリーズ歴代AWACSの中でも冷静沈着に状況を分析し、時には小粋なジョークを飛ばすナイスガイ。
- 第6航空師団第4飛行隊・クロウ
- パトリック・ジェームズ・ベケット(cv. 森田成一)
- クロウ隊の3番機パイロット。22歳。TACネームは《PJ》。部隊では後輩ポジションなのか、僚機の二人(クロウ1・クロウ2)からは空軍基地にいる恋人についてからかわれている。楽観的で前向きな人柄が窺える反面、激化する戦況にショックを受ける様子を見せるなど、良くも悪くも青臭い。その壮絶な最期から空飛ぶ死亡フラグとして有名。
- オーシア出身で実家はパン屋。家族構成は両親と姉二人。趣味はポロ、あの馬に乗ってやるヤツ。そのほかにもバイクとビンテージコミックの収集。
ベルカ公国
- 第2航空師団第52戦闘飛行隊・ロト
- ベルカ公国のエリート部隊で、プロパガンダ映像には頻繁に姿を見せていた。「ロト」はドイツ語(本作世界ではベルカ語)で赤色。部隊章は盾に留まった赤色のツバメ。
- 赤と黒を基調にしたタイフーン4機編成で、長射程のミサイルを用いた遠距離攻撃を得意とする。
- デトレフ・フレイジャー(cv. 川本克彦)
- ロト隊の隊長。28歳。TACネームは《ストルツ》(誇り)。
- 1967年ディンズマルク生まれ。有名政治家である陸軍軍人の息子で、4人兄弟の末っ子。趣味は東洋の兵法文献の収集。
- 士官学校を首席で卒業したエリートで、デスクワークを嫌い前線勤務を希望。軍の広告塔として利用される形ではあるが最前線に配属され、激戦地B7Rで頭角を現し「赤いツバメ」の異名を持つ。祖国のために戦うことを誇りとしており、守るべき国を持たない傭兵を「野犬」と呼んで嫌っている。
- 第10航空師団第8戦闘飛行隊・グリューン
- 第10航空師団の厄介者を寄せ集めた、「伝統」を重んじるベルカ空軍では異色の部隊。「グリューン」はドイツ語で緑色。「戦いを生き残る」ことを最優先とするスタイルでB7Rに留まり続けている。部隊章は「GRUN」の部隊名をくわえた緑色のフクロウ。
- 緑色の迷彩塗装が特徴的なF/A-18Cの4機編成で、チャフやフレアを用いてミサイルを回避し、臨機応変な戦い方をする。
- ベルンハルト・シュミッド(cv. 竹田雅則)
- グリューン隊の隊長。30歳。TACネームは《ラオディ》(ごろつき)。
- スーデントール出身で家族構成は母と妹1人。父親は幼少期に死別している。趣味はゲーム。下町でストリートギャングとして少年時代を過ごし、瞬時に戦局を見極める観察眼を培った。ベルカ空軍ではその戦略眼をして「フクロウの目を持つ男」、転じて「緑のフクロウ」と呼ばれる。
- 第7航空師団第51戦闘飛行隊・インディゴ
- 「ベルカ藍色の騎士団」の異名を持つエース部隊。「インディゴ」はドイツ語で藍色。騎士道精神を重要視した戦い方が特徴。本来の担当空域は異なる場所だったが、戦況の変化に伴って急遽B7Rに派遣されてきた。部隊章は盾に描かれた西洋甲冑の兜の横顔。
- 白を基調に藍色のラインが入ったJAS-39Cの4機編成。
- デミトリ・ハインリッヒ(cv. 土師孝也)
- インディゴ隊の隊長。31歳。TACネームは《バローン》(男爵)。
- ベルカ騎士団の血筋に連なるハインリッヒ家の4男。父親は貿易会社会長。趣味はヴィンテージワインの収集とフェンシング。空でも騎士道を重んじ、その飛び方から「藍鷺」の異名を持つ。総撃墜数は当時のベルカ空軍でトップだった。
- 第5航空師団第23戦闘飛行隊・ゲルプ
- 息の合った連携が武器で、部隊章にちなんで「つがいのカワウ」の異名を持つ。「ゲルプ」はドイツ語で黄色。部隊章は黒と黄色のカワウ。
- ベルカ空軍では珍しい2機編成の部隊。翼端を黄色くペイントしたSu-37の2機編成。機体後方に向けてマウントした空対空ミサイルで後方に向けて攻撃する変則的な戦法が特徴。
- オルベルト・イエーガー(cv. 増谷康紀)
- ゲルプ隊の隊長。34歳。ベルカ空軍でも珍しい2機編成の部隊を率い、主にハードリアン線を中心とした南部戦線で活躍。Su-37の扱いに掛けては傑出していた。
- ライナー・アルトマン(cv. 田中秀幸)
- ゲルプ隊2番機パイロット。32歳。TACネームは《シュライベン》(執筆者)。イエーガーと共に「コルモラン(カワウ)」の異名で活躍した。首都ディレクタス奪還を目指す連合軍との戦いでガルム隊の前に立ちはだかるが……。
- 第13夜間戦闘航空団第6戦闘飛行隊・シュヴァルツェ
- ベルカ公国の脱走兵や命令違反者の粛清を主な任務とする督戦部隊。「シュヴァルツェ」はドイツ語で黒色。味方にも容赦せず、部隊章のモチーフから「ハゲタカ隊」の異名を持つ。部隊章はドクロの上に乗り蛇とにらみ合うハゲタカ。ベルカ空軍に根差す純血主義や同族殺しを忌避する傾向もあってか、隊内にベルカの正規軍人は所属していない。
- 加速力や最高速度に優れたMiG-31の8機編成で、その加速力を存分に生かした戦い方が特徴。所属機体は黒を基調に赤いラインが入っている。
- 戦争末期に隊に関する記録は抹消されたうえ、隊員の氏名などの情報も不確かであり、戦死扱いになっている隊員が実際は生存しているという怪情報も出回っている。この部隊のほかにも「夜間戦闘航空団」と呼称される督戦部隊が存在していたという噂もあるが、こちらも真偽不明である。
- ドミニク・ズボフ(cv. 大友龍三郎)
- シュヴァルツェ隊の隊長。38歳。TACネームは《トート》(死)。
- ユークトバニア出身で、短期間ではあるがユーク空軍でも紛争の鎮圧に成果を上げた。どんなことをしてでも敵を倒す姿勢が評価され、ベルカ空軍から脱走パイロットを始末する督戦隊の隊長として雇われ、ベルカでは珍しい傭兵となった。
- その由来から「エスケープキラー」「ハゲタカ」の異名を持つ。
- セルゲイ・カルコフ
- シュヴァルツェ隊2番機。37歳。ユークトバニア出身とされており、B7Rで戦死したとされているが詳細は不明。
- 『エースコンバット3D』で同じセルゲイのファーストネームを持つセルゲイ・ブリンナーが登場し、「円卓の鬼神」と戦ったことを示唆する発言をすることから同一人物ではないかと噂されている。
- 第22航空師団第4戦闘飛行隊・シュネー
- エリッヒ・ヒレンベランド(cv. 安原義人)
- シュネー隊の隊長。40歳。TACネームは《フェニックス》(不死鳥)。
- 政変が相次ぐベルカ国内においてもどの派閥にも属さず、出世欲も持たず飛行機乗りとしての生き方を望んだため、「万年中尉」と呼ばれていた。生涯撃墜数51機はベルカ空軍でもトップクラスだが、一方で通算被撃墜数も7回と多く、TACネームに凄みを添えている。このうちベルカ戦争での被撃墜数は3回である。
- 派閥に属さず、出世欲も持たず、重傷を負っても後送を拒否するなど、どこか空の魔王を思わせる人物。
- 第51航空師団第126戦闘飛行隊・ズィルバー
- ディトリッヒ・ケラーマン(cv. 沢木郁也)
- 第18航空師団第5戦闘飛行隊・ゴルト
- アントン・カプチェンコ(cv. 菅生隆之)
- ゴルト隊の隊長。48歳。TACネームは《シャドウ》(影)。
- 現役時代はベルカ空軍のトップエースで「金色の啄木鳥」の異名があった。1985年には兵器開発部署に異動していたが、1994年には前線に復帰。しかしベルカ戦争開戦に前後して隊の部下共々消息不明となり、軍上層部からは戦死公報も発表された。
- 年齢が近く、部隊名と異名がそれぞれ対を成していることから、現役時代のケラーマンとはライバル関係だったのではとも噂されている。
- ロレンズ・リーデル
- ゴルト隊7番機。ゴルト隊としてB7Rでガルム隊と交戦するが、その後の消息は不明。1996年にオーシア首都オーレッドで目撃情報があり、オーシア特殊警察が調査を行うも発見には至らなかった。
- 実はその後エストバキア連邦に亡命し、アイガイオンの開発に関わったとされている。
- ベルカ軍ネームド機
- ウォルフガング・ブフナー
- 『5』に登場した“おやじさん”。ベルカ公国の貴族ブフナー家の長男で、「凶鳥フッケバイン」の異名を持つベルカのトップエース。当時41歳。自国に核を落とす命令に反発し、MiG-21bisに乗って逃亡。シュヴァルツェ隊に追われて混戦中のB7Rに逃げ込む。
- アシュレイ・ベルニッツ
- 『5』に登場した人物。本作ではあるステージに登場する。第6航空師団第4戦闘飛行隊隊長。38歳。TACネームは《グラーバク》。隊を離れて独断でブフナーを追う。
- ミヒャエル・ハイメロート
- 『5』に登場した人物。本作ではあるステージに登場する。第6航空師団第5飛行隊所属。23歳。前述のケラーマンの教え子でTACネームは《オブニル》。
サピン王国
- 第9航空陸戦旅団第11戦闘飛行隊・エスパーダ
- アルベルト・ロペズ(cv. 山野井仁)
- エスパーダ隊の隊長。32歳。TACネームは《トレーロ》(闘牛士)。
- 重々しく威圧感を感じる飛び方から「灼熱の荒牛」の異名を持つ。サピンでは珍しい傭兵で、ベルカ戦争では南部戦線で活躍。しかし終戦後にクーデター軍に参加し、XB-0フレスベルク護衛任務を最後に消息不明となる。
- マルセラ・バスケス(cv. 渡辺美佐)
- エスパーダ隊2番機パイロット。27歳。TACネームは《マカレナ》。
- 戦争で両親を失ったことから傭兵に志願し、その中でロペズと出会い恋仲になった。ベルカ戦争でも彼とともに活躍し、終戦後も共にクーデター軍に参加。共にフレスベルク護衛任務にも参加した。
オーシア連邦
- 第8航空団第32戦闘飛行隊・ウィザード
- ジョシュア・ブリストー(cv. 木下浩之)
- ウィザード隊の隊長。36歳。TACネームは《ルーカン》。
- 「青い魔術師」の異名を持つオーシア空軍のトップエースだったが、命令違反も多く問題児だった。読書を趣味としており、詩や哲学を引用した言動が特徴。
- クーデター軍「国境無き世界」の創設メンバーとなり、ベルカ戦争終戦後に暗躍する。ラリー・フォルクとは互いの腕前を認め合うライバル関係だった。
- 第8航空団第32戦闘飛行隊・ソーサラー
- ベルカ戦争当時はF/A-18Cで構成されていたが、戦後に青色を基調に白いラインの入ったF-15S/MTD8機編成に転換。正式名称と部隊章の意匠が同じことからわかる通りウィザード隊の分遣隊である。「ソーサラー」とは英語で悪魔の助けを借りる魔術師。
- 2機単位で4つのチームを組み、それぞれが一定の間隔を置いて攻撃を仕掛ける。
- アンソニー・パーマー(cv. 大黒和広)
- ソーサラー隊の隊長。32歳。TACネームは《ペディヴィア》。ブリストーの右腕として活躍し、共に「国境無き世界」に参加する。
- オーシア軍ネームド機
- ジャック・バートレット
- 『5』に登場したウォードッグ隊隊長。本作ではあるステージに登場する。当時はオーシア空軍大尉で27歳。TACネームは《ハートブレイク・ワン》。時系列的にはまだユークトバニアの恋人と交際中のはずである。
その他
- ブレット・トンプソン(cv. 竹本英史)
- 本作の語り部役を務めるジャーナリスト。公開されたベルカ戦争の資料に記された謎めいた傭兵に興味を持ち、彼を知る者たちを訪ねてインタビューを試みる。
用語
- エリアB7R
- 「そこには上座も下座もない。『生き残れ』、それがただ一つの交戦規定だった」
- ベルカ公国の政治・軍事・産業あらゆる分野における象徴的な地域。工業都市スーデントールやウスティオ共和国との国境を含む、直径400kmの隆起地形が広がる地域で、ウスティオとの国境に位置するベルカの東部国境防衛ラインとして頻出する。
- 膨大な資源を埋蔵する鉱山地帯であることから、地下資源をめぐってベルカと周辺諸国の間で激戦が繰り広げられた過去があり、ベルカ戦争においてもベルカ空軍の精鋭部隊が常に哨戒に当たっている。鉱物資源に由来する強力な磁場により通信障害が多発しており、戦闘はもちろん救助活動も難しいため、戦闘機パイロットにとっては己の技量が試される極限の戦場である。
- 地形が円形であることと実力のみが絶対であることから、上座も下座もない円形テーブルに掛けて「円卓」という通称があった。
- オーシア海軍第3艦隊
- 当時試験中だった空母「ケストレル」を旗艦とするオーシア海軍の主力艦隊。ウスティオ解放作戦の支援のために派遣され、フトゥーロ運河の突破を試みる。この「ケストレル」が正式に就役したのは4年後の1999年である。
- エクスキャリバー
- ベルカ公国が弾道ミサイル迎撃を目的に南ベルカ・タウブルグ丘陵に建設した高層レーザー兵器。細長い塔のような見た目から「タウブルグの剣」とも呼ばれ、頂点に設置された照射部分から、遮る物の無い周囲360度へ向けて攻撃可能な難攻不落の超兵器。
- ベルカ式国防術
- 戦争末期にベルカ公国内の過激派が「V1」と呼ばれる兵器を用いて行なったある行動に対する、プレイヤーのファンコミュニティでの通称。
- XB-0 フレスベルク
- 南ベルカ国営兵器産業廠で開発中だった重巡航管制機。全幅503mの超巨大航空機で、大出力の6基のエンジンを搭載する。ベルカ戦争では出番が無いまま、巨大格納庫で眠っていたはずだが……。
以下ネタバレ注意
余談
- OPをはじめとして、モキュメンタリー(架空ドキュメンタリー)調に進むムービーの演出に対する評価は高く、MAD素材の定番としても名高い。
特に最終ミッションで流れる、本作の代名詞たるフラメンコ調のBGM『ZERO』は、ゲーム音楽史上に残る傑作曲と評される。
≪ Fire away, coward! C'moooon! ≫
関連タグ
時系列
エースコンバットZERO (1995年) ※今ここ
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エースコンバット2/3D (20世紀末、一部資料では1997年との記述あり)
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解説動画(ネタバレ注意)
2022/08/25にエースコンバット公式チャンネルより本編の世界史を紹介する動画が投稿された。
既にクリア済みのエース達やまだエースコンバットを知らない人は、これをきっかけに彼らの勇姿を追ってみてもいいだろう。