「待たせたな─── 俺を呼んだのは君だろ?」
概要
2019年2月8日に公開された、北条司原作の『シティーハンター』シリーズの劇場用アニメーション映画第4作目。
正式名称は『劇場版シティーハンター 新宿PRIVATE EYES』である。
パラレル世界を描いた『エンジェル・ハート』を除けば1999年のTVスペシャルアニメ『シティーハンター スペシャル 緊急生中継!? 凶悪犯 冴羽獠の最期』以来、実に20年ぶりの映像作品となる。
2018年3月「2019年初春に、新作映画が公開」されることが発表されたが、メインキャラの声優は1980年代当時のキャストから変更なし、そしてエンディングテーマ曲も1987年のテレビアニメシリーズ第1期と同じくTM NETWORKの『Get Wild』を原曲のまま使用するという、当時からのファンにとっても嬉しい発表もあった。
原作者が同じ作品である『キャッツ♡アイ』から来生瞳、来生泪、来生愛の美人泥棒三姉妹が登場し、夢の共演が実現した。
また、劇中では過去のテレビアニメシリーズ第3期までにOPとEDのテーマ曲として使用された楽曲の殆どがBGMとして、または劇中に登場する施設内で流れる効果音としての音楽といった形で使われている。
スマホゲーム『モンスターストライク』ともコラボを行っており、劇中で同ゲームが登場する他、ゲームのほうも『シティーハンター』とのコラボイベントが開催された。
本作の功績
アニメ版『シティーハンター』の復活をプロデューサーの諏訪道彦は長年サンライズと日本テレビに打診してきたが、なかなか企画が通ることはなかった。
また、レギュラー声優陣は皆健在であったとはいえ、20年の時を経たことから加齢の影響が否めず、不安視されていたこともある。厳しい目線からは加齢を感じる演技は聞きたくないといった声もあり、当事者達も不安を拭えなかったという。
ところが、いざオリジナルのキャストをそのまま起用し、可能な限り往年の演出にこだわったところ、映画は予想を超える大ヒットを記録する。
20年以上もの長期間のブランクを挟んだ漫画作品の再アニメ化においては、大抵の場合は続編ではなく「リメイク作品扱い」となり、キャストはもちろん制作会社やスタッフの変更が当たり前であったこの時代、このヒットは『シティーハンター』という作品が元々獲得していた人気の高さのみならず、「リメイクではない、完全なる続編として過去作と地続きの作品の価値」を世に知らしめることとなった。
楽曲も、挿入歌にTVアニメ版の歴代主題歌や挿入歌をはじめ、BGMも当時のままのものを新規に作られた楽曲と併せて使用。EDテーマ曲でも『Get Wild』の2コーラス目後の間奏からクロスフェードする形で、サプライズとしてTVアニメ第2期の後期EDテーマ曲だった『STILL LOVE HER (失われた風景)』を流し、劇場に足を運んだ多くのファン達の感動を呼んだ。
ネット上では「(昔通っていた)ラーメン屋でラーメンを頼んだら、(当時のままの)ラーメンが出てきた。しかもオマケでチャーハンまで付けてくれた。」という賞賛の言葉が話題になった。
本作の舞台挨拶などで、冴羽獠役で主演した神谷明は「山田康雄さんのルパン三世のようにTVスペシャルでシティーハンターをまた毎年やりたい」と語っている。一方で槇村香役の伊倉一恵は、後に神谷のラジオ番組で「どうせやるんなら週一のテレビ放送で」と、より前向きな声を寄せている。
その願いは4年後の2023年に叶い、劇場版『天使の涙 (エンジェルダスト)』が公開される事になった。
世界観
今作は「2019年現在の新宿が舞台」という設定で描かれているため、これまでの映像作品とは大きく世界観も異なる。
判り易い例を挙げると下記の通り。
- 新宿駅東口にあったアナログ伝言板が現在は撤去されているため、劇中ではかつて伝言板があった場所でスマートフォンのアプリを起動させ、画面に表示された伝言板に指なぞりで「XYZ」を描いて送信することで獠の元に依頼が届くようになっている。
- 全席禁煙施設が増加したことに加え、新宿が路上喫煙禁止区域となっていることから、キャラクター達が劇中で喫煙をするシーンはない(ただし、エンディングアニメーションでは獠が喫煙している)。
- 獠たちが人間だけでなくAI兵器や遠隔操作兵器などの無人兵器とも戦う。
- 物語の鍵に最新の科学技術が関わっている。
登場人物
主要人物
※映像作品では本作が初登場。
キャッツ♡アイ
※海坊主と美樹が経営する『喫茶キャッツアイ』の大家という設定で、普段は海外にいる。
※本来の声優の藤田淑子氏の病状悪化(後に逝去)のため、戸田氏が兼任。スタッフロールには「In memory of 藤田淑子」と、藤田氏が戸田氏と坂本氏のすぐ後にクレジットされている
ゲストキャラ
ヴィンス・イングラード (CV:大塚芳忠)
PMC隊長 (CV:乃村健次)