呉黒星
うーへいしん
咸豊4(1854)年9月生まれ。身長155cm、体重48kg。清国上海出身。特技は統制管理。将来の目標は組織のトップ。
雪代縁の副官として縁率いる上海マフィアの組織運営を任されている黒服を着たおかっぱ頭の小男で、操曰く黒河童。
「縁の私闘(人誅)のサポートをする代わりに、復讐を果たした暁には組織の全てを譲り受ける」という契約を彼と交わした上で人誅に協力している。
縁とは異なり武の心得は無い一方、謀略を駆使して組織内で成り上がっただけあって周到かつ緻密な性格をしており、彼と縁の相反する性質が上手く噛み合って組織が飛躍的に成長したのだろうと外印は推測している。
しかしその本性は非常に短気かつ碌に相手の実力を見極められない器の小さな小心者であり、自分の身を守る時や縁に自らの意見を通す時はいつも配下である四星の力に頼り切っている(ただし狂経脈を発動した縁には、四星に加えて組織の全兵隊をまとめてぶつけても到底敵わないらしく、基本的に通常の縁相手でないとまともに意見出来ない様子)。
縁にとって人誅の手段でしかなく、事が済めば不要となる組織を譲り受けるために来日。
内心では縁を見下している為、「組織をくれてやる」という縁の態度に「思い上がりも甚だしいんじゃないか」と内心怒りを感じていたが、特に対立にまでは至っておらず、縁の方も「くれてやる」とは言ったものの約束を忘れていないか確認しに来たという黒星に「疑り深いヤツだな」と苦笑し、自分が指示する前に外印に口封じの為の刺客を送り込んでいた事には「お前のそういうところは感服するぜ」と舌を巻いており、この時点では黒星を信頼していた模様。
その後は外印の始末に失敗したことでアジトが警察に抑えられた事、鯨波の暴走を食い止めるために剣心が姿を現した事を縁に報告。
孤島のアジトで待ち構える事を勧めた。
ところが剣心達がアジトのある孤島へ到着したその日には、剣心との対決に拘り彼等が乗る警察の船をそのまま向かい入れようとする縁と船を砲撃し沈めようとする黒星とで考えが食い違った事から関係は急激に悪化。
結局縁に脅された事で砲撃を諦め、代わりに孤島周辺の海に機雷を仕掛けて警察の船を沈めようとするが、蒼紫と操の活躍により苦無で機雷を攻略され、小舟に乗り換えた剣心達の上陸をまんまと許してしまう。
その後も横槍を入れようとするも、自らの失言により縁の逆鱗に触れてしまい、狂頚脈を浮き立たせた縁から「一刻以内に島から消えろ」と恫喝される。
それを受けて渋々島を出…ずに自らの手で剣心を討つことで溜飲を下げようと上陸した剣心達の前に立ちふさがり、「剣心の仲間達」を「部下」「雑魚」「チンピラ」「ガキ」「陰気な男」と罵りながら剣心本人が戦うよう幾度も迫る。
しかし最愛の人を罵られた操以外は黒星の暴言を全く意に介さず、斎藤にはその幼稚性を見抜かれて「組織もお下がりのお子様ボスか」と蔑まれ、蒼紫からは「一団の長が相手を冷静に観察できないようではお前たちは長くはない」と忠告され、左之助と弥彦からは逆に挑発された事で逆ギレし、仲間達にそれぞれ四星をぶつけ殺させようとする。
だが、四星が劣勢になる度に何故あの様な輩に勝てないのかと狼狽しまくり、最後まで彼等の敗因や剣心の仲間たちの実力を鑑みる事をしなかった。
四神が敗北した後は、「島国のサル共」と悪態をつきながら援軍を呼ぶため内股走りで逃走したところ縁に殴り倒され気絶。
縁から「後でサメのエサにしてやる」と事実上の死刑宣告を受ける。
丁度剣心と縁の私闘に決着が着いた頃に目を覚まして逆上し、今度は二丁拳銃で剣心を狙撃しその場にいる全員を皆殺しにしようとするが、剣心を庇う薫に姉の面影を重ねた縁により殴り飛ばされ再び気を失う。
危うく殺されかけるも、ギリギリで受け止めた剣心に「このまま行けば巴の笑顔を永遠に失ってしまう」と説得された縁が手を止めたおかげで何とか一命を取り留める。
最後は復讐を断念した縁と共に警察に逮捕・連行された。
実写版では
演:音尾琢真
『最終章 The Final』に登場。辮髪頭にモノクルをかけ、豪華な毛皮の服に身を包み髭を生やした恰幅の良い成金趣味の中年男という容姿に変わっている。また表向きの身分については原作では特に言及はなかったものの、実写版では「上海の資産家」ということになっている。
政府の密偵である沢下条張を買収し、警察に嘘の情報を流して斎藤らを罠に嵌めたり、剣心だけで無く縁さえも後に始末しようと企み、その為に腕の立つ刺客を雇う等、原作に比べて狡猾さが増している。
一方、失言にキレた縁に倭刀を突きつけられてビビり散らす等小心者である所は原作と変わらない。
最終的に薫を庇おうとした縁を撃った挙句、「敗者が邪魔すんな」とキレた縁に8発も殴られた上、薫が「それ以上殴ると死んじゃう」と諫めた後もさらに3発追加で殴られた(最終的に剣心が止めに入ったが)。
なお余談であるが、実写映画では第1作で早々に外印(と戌亥番神)が逮捕されているため、呉の兵隊たちは粛清されずそのまま人誅の人員として投入された。本拠地での戦いでも剣心に対し数多の銃火器で応戦したりもしているが、増援に来た斎藤一派・左之助・操、更に裏切った宗次郎らも加わり一網打尽にされた。
黒星直属の護衛である四つ子の武人。
全員同じ胴着を纏ったスキンヘッドの巨漢というほぼ瓜二つで、額に自分の担当する四聖獣の名前が刻まれている他、頭部にそれぞれの聖獣を意識したような刺青が施されている。
護衛の任を解かれると「四星」から本来の「四神」としての武人となり、その際の実力は「4人が揃えば縁と互角」と黒星に評される程。
だが、実際の劇中では斎藤・蒼紫・左之助・弥彦らそれぞれにボロが出た途端にあっさり敗北するなど、かませ犬程度の扱いでしかなかった。(剣心曰く、斎藤の正義・蒼紫の信念・左之助の生き様・弥彦の未来という最強の想いの前に敗れたとの事)
また、総じて相手が敗れ死にゆく様を見るのが何より大好きというドS兄弟であり、ほぼ全員その性格が災いして敗れる事となり、斎藤や蒼紫にも「殺す価値もない」と一蹴された。
ただ、黒星が碌に見ていなかった斎藤と蒼紫の得物を一目で見抜いて各々適した者で挑んだり、恐らく2強の青龍と朱雀はまがりなりにも苦戦させていたりと一応実力者ゆえの描写はあり、斎藤からは「主(黒星)と違って少々は使える様だ」と評されている。
実写版にも登場するが、これといって戦闘シーンは描かれず、部下たちに紛れていたこともあってそこまでちゃんとした描写はなかった。
青龍
「四神」で最も相手の技を見切る事を得意とする。
巨大な青龍偃月刀(薙刀)『青龍大刀(チェンロンダイトウ)』が武器。
兄弟内では一番精神は成熟し、戦闘中に笑みを浮かべる事への非礼を解しているものの、飽くまで兄弟内でのもの。
斎藤と対決し、自身の左腕を負傷しながらも『牙突』の弱点を一発で見抜き、2回目と3回目の牙突の穴をついてカウンターを見舞って(牙突は死角に回り込んでも横薙ぎに展開できるが、青龍大刀なら刀より長くそれにも対応可能)彼の右肩と右腕を負傷させるが、4回目の牙突…と見せかけた握撃で顔面を握り潰され、更なる牙突で『青龍大刀』も破壊されて敗北した。
斎藤曰く「愉悦欲しさに戦いに身を置いているクチ」「勝ち戦でしか笑えん男」。
剣心曰く「牙突を攻略したぐらいで斎藤に勝てるのなら、拙者と斎藤の決着など幕末にとうに付いている」。
斎藤を斎藤たらしめているのは、『牙突』のみならず彼の正義『悪・即・斬』に基づいた勝利への飽くなき執念であり、その差が命運を分かったと言える。
朱雀
「四神」で最も「模倣」を得意とする。
だがただの模倣ではなく、敵の微妙な呼吸・目の動き・筋肉の動きなどを素早く察知し、初見の敵の技を全く同じタイミング・スピードで模倣する事ができるという、地味にとんでもない能力の持ち主。
恐らくは純粋な実力は「四神」の中でも最強。
翼の意匠が付いた双剣『朱雀双剣(チューチャーソェンギム)』が武器。
蒼紫と対決し、御庭番衆の「剣技」を『回天剣舞六連』まで事前情報無しの初見で完コピしてしまうなど、その恐ろしさを見せつけ蒼紫の肩も軽く切り裂いた。
更にラーニングのため受けに徹する事を終え、攻めに転じた剣戟の中で瞬く間に小太刀を彼の手から両方共弾き飛ばし、己の勝利を確信する。
…と、ここまでは良かったのだが、「剣技」以外の模倣が疎かだった為に地金が曝け出てしまい、独自性を持つ力である御庭番三百年の「拳法」の前に虚を衝かれ敗北。
蒼紫から盗み得た技を再度繰り出そうとするが、『朱雀双剣』も「自分の剣ゆえ、太刀筋は百も承知」と白刃取りされた挙げ句に片方を折られ、模倣剣を封じられてしまった。
相手が自分の技なら対応されるかもと言う自身の穴に気付かなかったこと、そもそも蒼紫以外の過去の相手の技を使う臨機応変な柔軟さがあれば十分に勝機があったはずだが、その性格に引っ張られて活かしきれずに敗北した。
白虎
「四神」随一の拳法家。
攻撃する部位に最も大きなダメージを与える柔軟かつ無限のバリエーションを持つ指先の拳法と、メリケンサック状に変形する腕輪『白虎掌拳(バーフーチェムクン)』が武器。
他の3人と違いただひたすらに攻める。それ故最も激しい攻撃を得意としている。
左之助と対決し、その多彩なネタ拳により翻弄するが、「グダグダうるせェ上に小技がチマチマウザってェ」と一蹴され、「まぐれ当たりの一発で良い気になるな、身の程知らずが」と嘲笑しても「お前に言われると逆に呆れる」と返され逆上するなど、その傲岸不遜な態度にペースを乱されっぱなしにされてしまう。
最後は「スカッと一発、会心の一撃を見せてみろ」とドンと構える左之助に、わざわざ砂で目潰しした上で腹に自身の「大技」である上記のメリケンサックを用いた『白虎掌拳裏拳型・鉄鬼』を浴びせるも大したダメージにはならず、「小技は効かねぇつってんだろ」と左之助の「大技」である『二重の極み(左手を併用した左之助版)』の前に敗北した。
玄武
「四神」の中で最も冷静で思慮深い戦いをする者…だが、実際は未来ある者の芽を摘むのが好きな卑怯者。
三節棍に変形する棍『玄武蛇棍(ユンモウセイクァン)』が武器。
弥彦と対決し、変形する棍で『刃渡り』を二度封じて悦に入り、弥彦をボコボコにして次の相手に向かおうとしていた所で何とか持ちこたえていた彼に自分と力試しをするよう挑発される。
油断してまんまと挑発に乗った玄武は弥彦に言われた通りに棍を打ち出したのだが、彼が気迫の末に編み出した『刃止め』の応用によって棍の先端を抑え込まれ、逆に棍を封じられてしまう。
押しても引っ込めても『刃渡り』が待ち受けるが、さりとて何もしなければ棍が壊れるという完全に詰んだ状態となってしまい、落ち着けクールになれ玄武と混乱した末に棍を破壊されて敗北した。
るろうに剣心 人誅編 雪代縁 中国マフィア 小物 虎の威を借る狐
佐渡島方治:同作品の登場人物で、こちらも銃火器を扱う組織のNo.2ポジション。ただし黒星とは異なり、こちらはボスに対して心から忠誠を誓っている。
劍客兵器:斎藤曰く日本で武器を売るためのマーケットを開く予定ではあったが、劍客兵器の目的が護国防衛ではあること・情報網が並外れていること・実検戦闘以外の任務にも従事していたことを踏まえて考えると、遅かれ早かれ組織は壊滅させられたうえに黒星が身の程知らずであることから、逆鱗に触れて上海の他の犯罪組織への見せしめにされてた可能性が非常に高く、そう考えると逮捕という形で退場できたことはある意味幸運だったと解釈できる。
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