概要
労働者が取得する休暇の中でも、給料(日当及び規定額)が支払われる休暇のこと。
正式には年次有給休暇といい、有休はその略称である。年休、有給休暇、有給とも。
日本では、労働基準法の定めにより、6ヶ月以上在籍し、全出勤日の8割以上出勤した労働者に対して付与される。
この規定はあくまでも最低限のものであるため、企業によっては入社日に付与されることも。
あまり知られてはいないが、条件さえ満たせばアルバイトやパートであっても付与される。
取得した有休は次年度に繰り越せることもあるが、詳細については社内の従業員規則等を参照されたし。また、2010年からは、労使協定が前提になるが、年5日分を限度に時間単位で有休を取得することが可能になった。
なお、企業によっては「未消化の有給を買い取る」という社内ルールを設けている会社もあるが、これは退職時などの例外を除き原則違法である。
大前提として、有休を取らせなかったり、取るための条件を付けたりするのは労働基準法違反でありれっきとした犯罪である(後述)。
Pixiv的には、貴重な有休を夏と冬に行われる某巨大イベントの参加に充てるために、前々から周囲への根回しやら頼み事やらをしている社会人の方も多いのではないだろうか?
日本における状況
日本は他の国々と比較して有給の消化率がかなり悪いことで昔から有名で、年間ランキングのワースト上位は当たり前なうえ、最下位を記録することも珍しくない。
例えブラック企業でなくとも「有給は有って無いようなもの」としか考えていない会社が多いのが現状である。
義務付け
とはいえ、こうした現状を改善するため、2019年には有休が10日以上付与される労働者に対して、5日分の有休を消化させることが義務付けられた。これは使用者(会社)側の義務であり、違反すれば罰則もある。
しかしながら、これまで有給とは別にあった休暇を廃止し、代わりにその日を有休奨励日とする形で義務を果たすといったケースもある。意味ねぇ...。
有休に関するあれこれ
違法であるもの
- 有休を取らせない
- 有休取得に対してキレる、罵声や恫喝を浴びせる
- 有休取得に対して不利益を示唆・実行する
- 日頃の営業成績・ノルマ達成率等が悪いことを理由に有休をとらせない
- 有休取得に条件をつける
- 退職予定者が退職前に有給休暇を全消化するのを却下する
- 「何やかんやで理由を付け取らせない」を続けて有休の期限を失効させる。
なお上記に同意する内容が労働契約書(雇用契約書)に書いてあり、既に署名捺印してあったとしても違法な契約内容は無効となる。
どのような理由であっても取得可能
前提として有休は労働者の権利である。そのため、理由に関係なく企業側は有休の取得を認めなければならない。なお、便宜上取得理由を記載する必要がある場合は「私用のため」とするのが一般的である。
さらに、当日も何をしようが自由である。一日中寝ていようが、エロゲ三昧だろうが遊園地へ行こうが全く問題ない。ましてや、有休中に出勤して仕事をするなどもっての外である。
企業側が有休の日時を変更する権利は一応ある
繁忙期かつ代替人員が用意できないなど、有休の取得によって「事業の正常な運営を妨げる場合」に限り、企業側は労働者の有給日時をずらす権利が一応ある(時季変更権)。
退職者の有休全消化は止められない
上記の時季変更権の例外にあたる。退職後に有休を取得させることはことはできないため、退職希望者の有休全消化は認めるしかない。もちろんそれに対して給料不払いなど報復や嫌がらせも違法。罪悪感なんて感じないでさっさと休もう。
その他
- 企業が有休を取らせないといったことが常態化している場合、サービス残業等もセットになっている場合もある。(そちらも犯罪)
- PTA活動など、仕事をしている母親など都合を一切考慮せず「有給休暇使ってでも来い」と駆り出される悪質なケースも普通にある。そもそも加入義務は一切なく意に反しての加入強制は強要罪(犯罪)などオンパレードであるため要注意。
- ゴネられるなら証拠音声を録音する、労働基準監督署にチクる、弁護士を連れていく、簡易裁判や少額訴訟で戦う手もある。
最後に
有休を取らせなかったり、取るための条件を付けたりするのは労働基準法違反でありれっきとした犯罪である。大事なことなので2回言いました。
「これが普通」「どこの会社も一緒」なんて鵜呑みにして騙されてはいけない。
犯罪者の下で片棒を担がされて過労死するまで働くなんて、美徳も美談もへったくれもない。それは単なる同調圧力であるため、「有給休暇を取るなんて申し訳ない」なんて罪悪感は今すぐゴミ箱にでもぶち込んでしまおう。