概要
商売上の売り手として、サービスや質の向上といった工夫や努力をせず、買いたければ買え、嫌なら買うなと、顧客に対して上から目線の鷹揚な構え方で商売を行うさまを意味する表現。
元々は士族や武士階級が明治維新後に権力を失った際、特権階級としての態度を引きずったまま、今までやったことのない商売に手を出し失敗した事に由来している。
自分達の他に供給元が無かったり、ブランドとして大きな知名度・実績があったりした場合に生じる驕りから発展する事が多い。
また、中には利益に頓着しない理由で店を興している者や、努力はしたのだが失敗し、そうした姿勢でゴリ押すしかなかったパターンも存在する。
当然確実に客離れを招く手法であり、大抵はすぐに潰れるのだが、上記の通り消費者にとって他に選択肢が無かった場合はそのまま罷り通ってしまう側面もある。
特に昔はわざと生活必需品の供給元を限定したまま値を吊り上げ、人々を困窮させる形で荒稼ぎしようとするあこぎな商人も珍しくなかった。
現代は輸送技術が発展し、独占禁止法が確立したため、そうしたやり方はまず横行しなくなっている(強いて挙げるなら転売ヤーや、代替品が存在しないゲームメーカー等が槍玉に挙げられ易い)。
一番の対抗手段はそもそも「買わない」事だが、お金を払いたくないからと言って万引き、踏み倒し、不正乗車といった非合法な手段は当然犯罪なので絶対にやってはいけない。ライバル会社の商品を買って、各種サービスを利用してあげよう。
歴史・変遷
「明らかな問題があるのに使わない訳にはいかない」現状に陥ることも殿様商売と言え、例としてサービスや便数の悪い交通があっても、田舎故それでしか目的地に行けないのなら渋々使わざるを得ない。
上述した通り、殿様商売は時代や環境の変化で表面化することが多く、
- 競争過程での世界標準化によって選択肢が広がり、それまで国内で罷り通った殿様経営が通用しなくなった。
- 高度経済成長期やバブル期での成功が忘れられず、高確率で放漫経営に陥り、目も当てられくなった業務実態を隠す為に粉飾決算へ走る。
- それまで真っ当な経営だった企業が経営陣交代等の業態の変化を境に殿様商売へ走り、そのしわ寄せを社員に押しつけるブラック企業へ変貌。
など、一つは耳にした事もあるだろう。あるいは現状を把握しないでそのような言いがかりをつけている例もないわけではない。
ブラック企業に絞れば大企業が下請けに対して「お前の代わりはいくらでもいる」と暗に脅迫を行い、値下げや過酷な要求を飲ませる場合もある。従わなければ「即契約打ち切り」「生産ラインを止めた」「店頭に並べることを妨害」「莫大な金額の損害賠償を請求」するなど、組織力にものを言わせた処刑の方法も豊富である。
SNSやイラスト投稿などの総合サイトも世に数多くあるが、より多くの情報に触れるにはやはりX(Twitter)やpixivといった最大手に頼りがちな人が多い。そしてそこの体勢が悪化し客が離れたくなっても、今より小規模になってしまう他に移れず、運営にナメられながら残らざるをえないという事例も珍しくない。
商社を介さない二者間での取引でも起こり得、近年小規模なクラウドの活発化により生まれたSkebには『殿様商売』という言葉に通じる規約が存在し、依頼先によっては痛い目に遭うリスクを孕んでいる。