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ペリカ

ぺりか

ペリカとは、福本伸行先生の漫画作品『カイジ』に登場する、架空の紙幣である。
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概要編集

帝愛グループが運営する地下強制労働施設にて通用している私的な貨幣。紙幣の形で流通している。日本円に換金が可能かは明言されてはいない。価値は地上円(日本円)の約10分の1。

例えば、カイジが手にする一月分の給料である91000ペリカは、地上円(日本円)に換算すると、たったの9100円である。

債務の利息が免除されていることは大きいとは言っても、一ヵ月間も重労働を強いられこの額とは、まさに骨折り損のくたびれ儲けと言えよう。



帝愛のトップである兵藤和尊の顔が描かれた悪趣味なデザインからジョークグッズの類にも映りがちだが、その実、地下に送られた者たちの生命線と言っても過言ではないアイテム。

施設での就労者は最低限の衣食住は保障されるのだが本当に最低限レベルのものしか保障されない。着るものは指定され、食べるものはご飯・味噌汁1杯ずつにメインとなるおかず(※)は質素なものという質的・量的にも物足りない食事、そして休む場所は他の労働者と共同。プライバシーのプの字もない。

そこで重要になってくるのがペリカである。ペリカを使えばビール、柿の種、焼き鳥などの嗜好品を買ったり、個室・映画館を利用できたりする(重ねて言うが、施設では基本的にテレビやゲーム機といった娯楽の類は一切許されていない)。

長時間の重労働を日々積み重ねれば確実にストレスは溜まる。そのストレスを晴らすためにペリカが必要となってくるのだ。


※原作では切り身の焼き魚、アニメ版ではメザシ3本。「1日外出録ハンチョウ」では別の魚料理、更には肉類や野菜類のおかずも出ており、極一部の例外を除き粗雑なものに変わりはないが一応はバリエーションはある模様。



その他にも

  • 一日外出券(1枚につき1日、施設から出て自由に過ごせる)
  • 金を増やす手段であると同時に貴重な娯楽でもあるチンチロリンへの参加資金・原資
  • 劣悪な労働環境で身体を壊した際の治療費

にもペリカが必要となる。

手元のペリカが尽きるということは、ストレスが溜まった時に発散できなくなる、身体を壊した時にリカバリーできなくなる、「いつかは外に出る」という夢が見られなくなるという絶望を意味するため、施設の労働者たちは皆、内心ペリカが尽きることを恐れている。


逆に言えば、ペリカさえ貯まってしまえば病気に備えたり、大手を振って地下チンチロに参加したり、一日外出券に手を出すこともできるため、ペリカはある種の希望になってもいる。

...が、帝愛がそんな生ぬるい希望を放置するわけもなく、大槻班長をはじめとする帝愛の回し者たちは日々労働者たちを誘惑してペリカを放出させようとしてくる。

また、施設内の病室はまともな医療設備は皆無であり、一人だけいる担当医もモグリであるどころか他の労働者と同じ地下に落とされた医師免許も医療知識も全く無い債務者に過ぎず、「一度運び込まれたらそれまで」と言われる程に劣悪な環境。そのため、確実な治療に備えるには地上での診療代に加えて一日外出券分のペリカを貯めなければならない(実際、大槻班長の側近の一人の石和も「1日外出録ハンチョウ」にて痛んだ親知らずを抜歯するために一日外出時に正規の歯科医を受診している)。


「とにもかくにも衣食住は保証されているのだし、1ヶ月で9100円ももらえるので、外国の労働環境に比べればこちらの方がマシ」

という意見もあるにはあるが、それはその「外国」が国家や自治体が民の娯楽をコントロールしている統制国家である場合に限って成立する論理と言える。

統制のない国であれば、労働者は好きな時に好きな場所で酒を飲んだり嗜好品を食べたりできるし、遊ぶ娯楽を選ぶこともできる。つまり帝愛の地下施設と違ってその国の労働者は自由なのだ。

最低限の衣食住保障などと綺麗事を言いながらも、それ以外の全てのサービス(嗜好品や娯楽)をコントロールして自由を奪い、それを利用しようとする労働者から徹底的にふんだくろうとする帝愛の情け容赦のなさこそがこの施設の一番恐ろしいところと言えるだろう。




デザイン編集

  • 100ペリカ

此方に流し目を送る兵藤。


  • 1000ペリカ

兵藤の横顔。


  • 10000ペリカ

真正面を向く兵藤。


そして3種類共通で、中央には『TEIAI』、裏面には『MONEY OF HYODO』(訳:兵藤の金)の文字が印刷されている。


地下で売られている物編集

給料日、「ペリカを浪費しろ」と言わんばかりにやってくる勤労奨励サービス(通称:誘惑の魔の手)や売店で売られている物の一部がこちら。

()内は、地上円(日本円)に換算した時の値段。


  • 一日外出券…500000ペリカ(50000円)
  • 一日個室券(冷房、ビデオ、浴室付き)…150000ペリカ(15000円)
  • フルコースディナー(和洋中の三種類がある)…100000ペリカ(10000円)(※1)
  • サービスランチ…50000ペリカ(5000円)、30000ペリカ(3000円)、10000ペリカ(1000円)
  • 烏賊の燻製…8000ペリカ(800円)
  • プロテイン(バニラ味、チョコ味、バナナ味等)…100g8000ペリカ(800円)
  • 焼き鳥…7000ペリカ(700円)
  • ビール500ml…6000ペリカ(600円)
  • 缶ビール350ml…5000ペリカ(500円)
  • チーズちくわ…5000ペリカ(500円)
  • ポテトチップス…3000ペリカ(300円)
  • チョコチップクッキー…2500ペリカ(250円)
  • プリッツ…2000ペリカ(200円)
  • ブランチュール…3000ペリカ(300円)
  • フェットチーネグミ…2000ペリカ(200円)
  • 棒きなこ…50ペリカ(5円)
  • 柿ピー…1000ペリカ(100円)
  • 柿ピー小袋…500ペリカ(50円)
  • 柿ピー三粒…100ペリカ(10円)
  • 地下映画館…10000ペリカ(1000円)(※2)
  • オードリーヘップパーン…3000ペリカ(300円)(※3)
  • 柿放題…5000ペリカ(500円)(※4)
  • カキピーアンリミテッド…30000ペリカ(3000円)(※5)
  • スムージーパック…10000ペリカ(1000円)→非売品(※6)
  • アルフォート…販売禁止(※7)
  • 一日個室有料サービス…30000ペリカ(3000円)(※8)
  • 地下おせち…価格不明
  • アングラモンスターズカードゲーム…3000ペリカ(300円)→5000ペリカ(500円)→販売禁止(※9)
  • こだわりのコーヒーとクッキーのセット…8000ペリカ(800円)(※10)
  • コーヒーと選べるフードのセット…5000ペリカ(500円)(※11)

実写映画版のみで売られているもの

  • イカフライ…6000ペリカ(600円)
  • アタリメ…7000ペリカ(700円)
  • ベビスターラーメン…8000ペリカ(800円)
  • スルメイカ…8000ペリカ(800円)
  • ビーフジャーキー…12000ペリカ(1200円)
  • ティッシュペーパー…5000ペリカ(500円)
  • ウエットティッシュ…8000ペリカ(800円)
  • タオル…7000ペリカ(700円)
  • 文庫本…10000ペリカ(1000円)
  • マンガ…10000ペリカ(1000円)
  • レンジ使用…500ペリカ(50円)(※12)
  • お湯使用…1000ペリカ(100円)(※13)

(※1)作中では大槻らが食していた洋食が描かれている。内容はTボーンステーキ・サラダ・スープ・カレー(?)ライス。『1日外出録ハンチョウ』によると、肉は硬く質はあまり良くないらしい。

(※2)C班の班長である小田切がタブレットを使用してダウンロードした映画を公開。小田切もまた、一日外出券を使用したうえで地上に出て映画をダウンロードしている。

(※3)ローマの休日上映記念スペシャルあんぱん

(※4)一月5000ペリカで柿ピーが最大10袋まで食べられる(地上世界におけるサブスクに近い)。ちなみに柿ピー10袋は通常10000ペリカなので、フルに10袋食べれば半額相当となる。

(※5)大槻と契約すれば六ヶ月間柿ピー無制限で食べ放題。途中で解約した場合は30000ペリカの違約金。無料で解約するには契約してからちょうど六ヶ月後のその日のみで、解約しないと自動更新される。つまり、その日、大槻が一日外出していよう物なら……。

(※6)兵藤の機嫌が良いときに提供されたミキサーを見て大槻が思い付いた。ラズベリーロマン等、様々なバリエーションがあり、地下映画館の人気を食う程の人気が出てきた他、労働者達の健康もかなり改善されていった。後に兵藤の機嫌が悪くなり、ミキサーが没収された為、現在は非売品。

(※7)ダフ屋による転売行為が横行したため、帝愛の警戒により、物販取り扱い禁止となった。それ以降ブルボン製品の菓子には制限が設けられることになった。

(※8)「1日外出録ハンチョウ」の読み切り「1日個室録ヌマカワ」にて判明。フルコースディナーの三食にイタリアンを加えた、計四種類のランチ(ディナー)サービス。値段表記は洋食と中華が吹き出しで隠れているが、恐らく一律で30000ペリカと思われる。

(※9)D班の班長である瀬戸内が元イラストレーターの経験で製作したカードゲームを販売。しかし、労働者達に大きな支障をきたすほど問題になり、販売禁止となってしまった。

(※10)C班班長小田切によるもの。

(※11)E班班長大槻によるもの。フードはミニどらやき、カントリーマアム、まるぼうろ、オレオ、ベビーカステラ、ラスク、ミニクロワッサンの7種類。

(※12)焼き鳥お買い上げ時は無料。

(※13)カップ麺に使用時は無料。


商品リストに記載の金額からも明らかな通り、地上での価格の約2倍(連載当時)の値が付けられている。販売者の利益確保のためとはいえ如何にボッタクリであるかがよく分かる。とはいえ、帝愛の公式サービス以外の商品は全て売店側が出資し(それも1日外出券を消費した上)で仕入れているものである。そのため、読者からは「(流通コストがかかる以上は)このボッタくり価格も仕方ないんじゃ…」という声がある。


一日個室券よりも更に高額の外出券ともなると、他人からペリカを騙しとるorこっそり盗むか、地下強制労働施設名物『サイコロ賭博』で勝ちを納め続けない限り、まず貯まらない。中には、誘惑に打ち勝って貯金に成功する者もいる(スピンオフの『1日外出録ハンチョウ』では、まれに趣味や嗜好を持てずに貯める事に成功する者もいるが、逆に贅沢や金の使い方に慣れていないがために、なんとなく高い物に手を出してしまう習慣からこれを選んでしまうとのこと。また地上でどうしても欲しいものがあるという強い動機から誘惑に打ち勝つ者もいる)。







現実世界での例編集

日本においては、西表炭鉱などで使用された「炭鉱切符」や、島全体が精糖会社の所有物だった大東諸島で使用された「南北大東島通用引換券(玉置紙幣)」など、世界では「ハンセン病療養所の特殊通貨」、東南アジア等におけるプランテーション専用の通貨など、タコ部屋労働や隔離を強いる施設で用いられていた金券に類似性を見てとれる (参照)。ペリカと同じく当該企業の売店でのみ通用し、通貨への交換は保証されなかったので、労働者の脱走を防止する目的があった。

戦後はこのような事態を防ぐために、労働基準法により事業者には「給与の通貨払いの原則」が義務付けられ、ペリカのような私的な通貨制度は現実の現代日本では違法である。


また、ヤングマガジンのオンラインサービス「ヤンマガWeb」のポイント単位もペリカであり、「賭博破戒録カイジ」から引用されたことが明言されている。



関連タグ編集

カイジ 地下強制労働 紙幣


僧我三威:天の登場人物。彼のスピンオフ連載『老境博徒伝SOGA』で入居した作品の舞台は、「ペリカ」で売買や賭博が行われるとんでもない介護施設だった。

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