概要
タイムボカンシリーズ第6作目。1982年から1983年まで放送された。全58話。
前作『ヤットデタマン』から引き続き人型巨大スーパーロボットが主要メカであるが、デザインや武装等はリアルロボット寄りとなり、前半主役機逆転王は前作の大巨神や後半主役機の三冠王と違い、自我を持たないロボットであった(後のOVA『タイムボカン王道復古』登場時は自我を持っているように描写された)。
主役であるイッパツマンの正体をめぐる謎や、今もファンの間で語り草になっている第30話での悪玉完全勝利やそれに伴う主役機交代などシリーズきってのストーリー性とシリアスさを誇り、特にシリアス傾向が顕著になる劇中終盤でコスイネンが「おい、これ本当にタイムボカンシリーズなのかおい!!」と口走るほどである。
その為か、このイッパツマンこそがタイムボカンシリーズ史上最高傑作であると主張するファンも多い。
クリーン悪トリオが作戦に失敗した際、行き付けのバーや屋台『うえだ屋』で酒をかっくらいながら「人間やめて何になる?」と話し合うお馴染のシーンはサラリーマンの悲哀を感じさせた。
また、本シリーズで一作目から長年ナレーションを担当していた富山敬が主人公豪速九役に抜擢された事に伴い、本作のナレーターは鈴置洋孝が担当。こちらも富山氏に劣らないユーモアあるナレーションが好評であった。
ストーリー
業界ナンバー1のタイムリース社は時空を超えて依頼人に届け物を確実に届けるタイム運搬サービスを開始した。
この新サービスに危機感を感じた業界ナンバー2のシャレコーベリース社会長「コン・コルドー」は、業績ドベのオストアンデル支社のムンムン・コスイネン・キョカンチンの3人を、タイムリース社の事業を秘密裏に妨害する三悪”クリーン悪トリオ”へと仕立て上げた。
クリーン悪トリオの妨害行為によってラン・ハル坊・2-3がピンチに陥ったとき、空からイッパツマンが飛んできて、クリーン悪トリオの野望を巨大メカ”逆転王”で挫く!!
登場人物
タイムリース社
- 豪速九/イッパツマン(CV:富山敬)
- 放夢ラン(CV:原えりこ)
- ハル坊(CV:つかせのりこ)
- 2-3(CV:山本正之)
- 星ハルカ(CV:幸田直子)
- ヒゲノ部長(ヒゲノ濃造)(CV:郷里大輔)※出演当時は『長堀芳夫』名義
シャレコーベリース社
- ムンムン(CV:小原乃梨子)
- コスイネン(CV:八奈見乗児)
- キョカンチン(CV:たてかべ和也)
- コン・コルドー(CV:肝付兼太)
- ミンミン(CV:土井美加)
- 隠球四郎(CV:大滝進矢)※出演当時は『小滝進』名義
- 千波(CV:二又一成)
- 今井市郎(CV:千葉繁)
- スパイ000(CV:鈴置洋孝)
その他
- ナレーター(CV:鈴置洋孝)
主な登場メカ
タイムリース社
シャレコーベリース社
- シャレコーベバギー(第1~30話)
- シャレコーベフォーミュラ(第12話)
- レスラーメカ(第1~31話)
- ドンコウシャレコーベ(第28話)
- 偽弾丸ヘッド号(〃)
- 大逆転王(〃)
- シャレコーベダチョウ(第31~57話)
- スポーツメカ(第32~57話)
- 隠球四郎配下のゴリラ型メカ(第50話)
- レイケツナイト(第53、54話)
作品スタッフ
原作 | タツノコプロ企画室 |
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製作 | 吉田健二 |
企画 | 九里一平 岡正 |
総監督 | 笹川ひろし |
メインキャラクター | 天野嘉孝 |
サブキャラクター | 上北実邪、上北希沙(上北ふたご) |
メカニックデザイン | 大河原邦男 |
脚本 | 小山高男 海老沼三郎 他 |
演出・絵コンテ | 植田彰仁 鴨野彰 他 |
シリーズ構成 | 小山高男 |
原画作督 | 鈴木英二 二宮常雄 他 |
音楽 | 神保正明 山本正之 |
プロデューサー | 井上明 岩田弘 内間稔 |
制作 | タツノコプロ フジテレビ |
放映期間 | 昭和57年(1982年)2月13日~昭和58年(1983年)3月26日 |
放送回数 | 58回(全58話) |
主題歌
オープニングテーマ
「逆転イッパツマン」歌:やまもとまさゆき、ピンク・ビッキーズ
第1~31話まではラストシーンでがコスイネンの「いつか逆転してやるからなぁ!!」と叫び、直後に逆転王が正義刀でムンムンの服を斬るというものだった。
このコスイネンの台詞はリメイク版『ヤッターマン』に彼がゲスト出演した際にも発言した。
第32話以降はトッキュウマンモス/三冠王登場に伴い一部カットが変更され、ラストカットも三冠王に対しコスイネンが「こういう方もおられるんですよ」と言い、直後に三冠アームガンをゼロ距離から撃たれ「…いけず」と言い残すものになった(更に細かい所だと、第33話からクリーン悪トリオのカットもミンミンを加えた四人とシャレコーベダチョウが登場するものに変更された。このカットは一見第31話本編からの流用だが背景が異なり、コックピットが枯れ木に刺さるシーンも描き直されている)。
近年ではオリックス・バファローズのチャンステーマとしても有名。
歌詞中の「ここから悪は通さない」の部分のテロップは、全話通して「ここからあくはとうさない」になっていた(正しくは「とおさない」)。
2006年に、本作にレギュラー出演していた鈴置洋孝氏が逝去した事や、2007年が富山敬氏の十三回忌である事を受けて追悼の意を込めて山本正之の手によって3番目の歌詞を追加した『逆転イッパツマン3C』としてリメイクされた。
富山氏と鈴置氏の劇中での台詞もライブラリ音源で使用されている(使用された豪の台詞にハル坊に語りかけるものが採用されており、つかせのりこ氏への追悼も行われている)。ピンク・ビッキーズではオリジナル版当時にはレコーディングに参加していなかった川上とも子も参加していたのだが、彼女も5年後に逝去した。
エンディングテーマ
「シビビーン・ラプソディ」歌:やまもとまさゆき、ピンク・ピッギーズ
エンディング映像はデフォルメ化されたクリーン悪トリオが活躍するものだが、歌詞の内容が哀愁漂うものであった。
挿入歌
「嗚呼!逆転王(三冠王)」歌:やまもとまさゆき
主に逆転王及び三冠王の変形時やクライマックスに使用。
逆転王の頃は歌ありのものが第29話しか使われず専らインストゥルメンタルverが使われたが、三冠王に変わってから歌ありverが幾度も使われこちらの方が印象に残っている視聴者も多い。
しかし、三冠王verは正式なレコーディングがされておらず単体でCD化されていない。
(歌詞自体は逆転王→三冠王に変えただけ)
「トッキューザウルスの歌」歌:やまもとまさゆき
主にトッキュウザウルス発進時に使用。
劇中では2-3のカセットテープから流れているという事になっている。
トッキュウマンモスに交代してからもインストゥルメンタルverが使用された。
この他、過去のタイムボカンシリーズの主題歌も2-3が歌う楽曲としていくつも使用された。
動画
タイムボカンシリーズ 逆転イッパツマン 第1話「ピンチ一発大逆転!」
余談
- 企画当時、「野球」をモチーフに。そして、野球選手として活躍していた中畑清氏が、『ヤッターマン』という愛称を付けられた事から、「逆転サヨナラホームラン」より『逆転サヨナラマン』という仮タイトルが付けられた(メインキャラクターたちの名前が、野球用語のもじりなのは、これに由来する)。
- しかし、「サヨナラ=シリーズが終わる」というイメージが付く事を危惧。結果、「一発逆転」から『逆転イッパツマン』で決定した。(だが、イッパツマンの名前は、野球選手の愛称に用いられる事は無かったらしい)。
- そして、次作のタイトルは「板を抱く=終了」の結果になってしまった。
- スピンオフ作品以外のテレビシリーズで唯一、シリーズの過去作の主人公が声付きで登場した作品である。(第41話「助っ人オタスケマン」。平成版『ヤッターマン』まで過去作の三悪がたまにセリフ付きで出ていたのは、声優が同じであるため簡単なスケジュール調整だけで済むからである)