概要
アニメ制作会社『タツノコプロ』の創業30周年記念企画の1つ。
ドラマCD2巻とOVA2巻から成る全4話のメディアミックス作品。
構成
表題に『タイムボカン』を冠してはいるものの、実際の中身は各作品を彩った三悪の視点で進行する異色の内容となっており、前半は「歴代三悪が30周年記念OVA作品の悪玉の座を奪い合う」、後半は「代表に選ばれた三悪が他のタツノコキャラとの夢の共演を果たす」というコンセプトの下に大騒動を繰り広げ、各作品の決め台詞やお約束、意外な脱線ネタがこれでもかと散りばめられたファンサービスに終始する大盤振る舞いの作品となっている。
歴代三悪が総出演する形式上、特にOVA第1巻では各担当の小原乃梨子、八奈見乗児、たてかべ和也が当時の声優業界でも類を見ない「単発30分作品でメジャーキャラクター7役同時演技(ただし、スカドン、キョカンチン、トンメンタンは単独の台詞はなく、ほとんど台詞がない為、たてかべがまともに演じたのは前期の4作だけである)」の偉業を達成※し、この事はドラマCD第1巻の主題歌『3×7=大予想』の歌詞中で
「悪役同士がぶつかり合って でも声はおんなじ声はおんなじ わっからないなぁ」
と皮肉めいた一節で触れられている。ちなみに後に登場するゲーム『ボカンGOGOGO』では単独台詞がなかったスカドンやキョカンチン、トンメンタンも喋っている。
なお、王道復古シリーズが終焉してから約一年半後に当たる1995年9月25日に富山敬が膵臓癌により病没したため、この作品がタイムボカンシリーズにおける富山の遺作となった。
※後に、同じ系譜に現れた『ヤッターマン(平成版)』が2009年8月22日に公開した劇場用作品『劇場版 ヤッターマン 新ヤッターメカ大集合! オモチャの国で大決戦だコロン!』で、出演声優の山寺宏一が前人未到の1人16役(ヤッターワン、ヤッターペリカン、ヤッターアンコウ、ヤッターモグラ、ヤッタードラゴン、ヤッタージンベエ、ヤッターゼロ、ヤッターキング、ヤッターコング、ヤッターココング、おだてブタ、でブタ、佐代ブタ、なげきブタ、ドッチラケ、ナレーション)なる快挙を成し遂げた。
これ以降、新旧を問わず作品制作サイドの演出プランにより
といった1人○役(1作品で1人6役以上)が各作品の突飛な話題性、俗に言う「公式が病気」という屈折的好感を評価する材料となっていった。
ところが、2016年10月から公開された形式のwebショートアニメ『彼岸島X』で、1話につき3分という極端な短尺形式を採用した上で「『出演 全員:○○(声優名)』 = 1人の声優が担当回の出演キャラクター全員を演じる」とする異様な演出が施された結果、最終回を担当した山寺に至っては狂気の沙汰としか思えない1人50役を記録して声優業界のみならずネット界隈を震撼させた。
メディア一覧
VHS
発売日 | 表題 |
---|---|
1993年11月26日 | タイムボカン王道復古 第1巻 |
1994年1月1日 | タイムボカン王道復古 第2巻 |
※2000年7月には2話を1巻にまとめてDVD化されている。
CD
ストーリー
前日談(ドラマCD第1巻)
タイトルは『大レース その前夜』。
タツノコプロが創業30周年を記念してタイムボカンシリーズのOVAを制作する運びとなり、歴代の三悪7組に『主役はもらった杯争奪 オール三悪メカメカ猛レース』と称する悪役争奪バトルロイヤルレースへの参加状が届けられた。久しぶりに活躍の場が、しかも優勝すれば自分たちがOVAの悪玉を飾って再び脚光を浴びる千載一遇の機会とあって、各チームは他の三悪を出し抜くための作戦会議に明け暮れる。
なお、このCDには「馬券」と銘打たれた応募ハガキが封入され、ブックレットの情報やケース裏面の下馬評を参考にしてOVA第1巻の優勝チームを予想する、即ち「悪玉馬券塾」の表題が示すように三悪のメカレースを7頭立ての単勝式競馬に見立てた人気投票を兼ねたお遊び要素が含まれており、予想を的中させた上で抽選に当選した応募者にはOVA第1巻予約特典と同様の単勝当たり馬券を模したテレホンカードが贈られた。
下馬評
馬番 | 騎手 | 厩舎 | 馬名 | 馬主 |
---|---|---|---|---|
1 | マージョ一味 | タイムボカン | ゴリラ ガイコッツ | 木江田博士 |
2 | ドロンボー | ヤッターマン | ダイドコロンメカ | ドクロベエ |
3 | アクダマン | ゼンダマン | アクダ ライオン | ニャラボルタ |
4 | オジャママン | オタスケマン | アターシャ 顔メカ | トンマノマント |
5 | ミレンジョ一味 | ヤットデタマン | タイム ラクーダ | コマロ王子 |
6 | クリーン悪トリオ | イッパツマン | シャレコウベ バギー | ドンコンコルド会長 |
7 | ヤンヤン一味 | イタダキマン | リュウコメカ | 竜子ちゃん |
※騎手内訳、予想印、短評はレイアウトの都合で省略。また、一部に本来の名称とは異なる部分が存在するが、これはケース裏面の下馬評に従った公式表記である。
第一話(OVA第一巻)
タイトルは『チキチキ・ウゴウゴ・ホゲホゲマシーン猛レース』。
満を持して開催されたレース当日、異様な野心に燃える三悪6組とは対照的にドロンボーのみが意気消沈していた。ドロンボー解散後、コスイネンから皆伝された職人顔負けの蕎麦打ち技術を頼りに国分寺で小さな蕎麦屋『会津屋』を構え、ようやく結ばれた恋女房「会津若松のおハナ」と共に第二の人生を静かに歩んでいたボヤッキーだけがレースへの不参加、つまりは三悪復帰を拒絶したのである。
いよいよ熾烈なレースが始まり、各チームが練り上げたそれぞれの秘策を実行に移して他の三悪に妨害工作を仕掛ける中、二束三文トリオはスタートダッシュでトップに立ったもののバナナの皮でスリップして最速リタイアとなり実況から「シリーズを象徴してますねえ」と言われてしまい、オジャママンも宇宙で待機させているアンドロメダマ号からのレーザーでライバル全滅を企むもアクシデントで自滅しこちらも脱落、コスイネンが放った「シリーズで唯一、顔の違うヤツなんかに負けませんよ」とする痛烈な嫌味がジュリー・コケマツの逆鱗に触れ、とんでもない闘いの幕を上げる事態となった。コケマツがこの日のために用意した秘策とは、何と出演機会を条件にヤットデタマンを口説き落として借り受けた『大巨神』であり、これを使ってクリーン悪トリオに襲い掛かったのだ。
ところが、当のコスイネンも「タイムボカン史上唯一正義に勝った(と思い込んでいる)男」の絶対的自信から来る万全の秘策を用意しており、コケマツ同様にイッパツマンを口説いて借り受けた『逆転王』を出撃させて善玉メカ同士の一大決戦に持ち込んだのである。
一方、そうした争いから抜け出した上位数チームのうち、長いこと様子見をしていたマージョ一味の参謀グロッキーが元祖の意地を見せようと事前に仕掛けておいた罠を発動し、アクダマンとドロンボーの足止めに成功した。辛くもアクダマンは窮地を脱して逃げおおせたものの、罠に掛かった影響でエンジントラブルが発生したドロンボーが絶体絶命の危機を迎えたその時、余裕綽々の下卑た高笑いと共に現れたのは、せっかく掴んだささやかな幸せを捨ててまでも旧友の危急に駆け付けたボヤッキーその人だった。ボヤッキーの活躍でマージョ一味を倒したものの、ボヤッキーのドジで結局ダイドコロンメカしてしまう。唯一メカが残ったアクダマンの優勝かと諦めるドロンジョであったがボヤッキーがいつものアレを使おうと提案した。他の三悪が脱落し、優勝は自分達だと高を括ったムージョはゴール前で勝利のファンサービスしているとドロンボー一味がいつものおしおき自転車に乗ってアクダマンを追い抜き、さらにアクダマンはエネルギー切れとそれに憤ったムージョが誤って自爆スイッチを押した為、自爆した為、脱落し、ドロンボー一味が優勝を飾った。
後日談(ドラマCD第二巻)
歴代三悪ひしめく大混戦を紙一重で制して悪玉の座を手にしたドロンボーが、善玉として同時出演が決定したヤッターマンとの対決に臨むべく様々な特訓に挑戦する。
このCDに収録されている楽曲『風雪マタタビンガー』は、OVA第2巻で行われるインチキ商売のアニメ作品『放浪戦士マタタビンガー』の主題歌である。
第二話(OVA第二巻)
タイトルは『ヤッターマン タツノッコン王国で同窓会だコロン』。
久し振りのインチキ商売で大金をせしめて浮かれていたドロンボーだったが、突如として現れたドクロベエならぬトグロベエから下された指令に従って「トグロストーン」があるとされる謎の国『タツノッコン王国』の探索に乗り出す。
アジトに潜入してこれを知ったオモッチャマがヤッターマン復活の必要性を説くが、めでたく結婚して新婚ボケの毎日を繰り広げるガンちゃんとアイちゃんの耳にはまるで届かず、そうこうしている間にボヤッキーが究極の悪玉メカ『ロリコンダー』を完成させて出撃の時を待っていた。
とは言うものの、ドロンボーもタツノッコン王国に関わる情報が見つからずに出撃しあぐねていた折、ふとボヤッキーが以前に会津屋に訪れた奇妙な客の食い逃げを思い出し、その足跡を辿った終着点こそが実はタツノッコン王国の入り口であった。これ幸いと飛び込んでみると、そこはタツノコプロが手掛けた30年分の新旧アニメキャラクターが一堂に会する夢の世界、まさしく「タツノコキャラの国」だったのである。
特に襲撃を邪魔される事も無く、トグロストーン奪取まであと一息に迫った時、心の底では「いつヤッターマンが現れるか」と期待していたドロンボーがどこからともなく現れた集団に襲われた。そこに居並んだのはヤッターマンではなく、何と科学忍者隊ガッチャマン、新造人間キャシャーン、宇宙の騎士テッカマン、破裏拳ポリマーという名立たるタツノコヒーローの面々だったのだ。
それぞれに高い戦闘能力を持つ善玉ヒーローだけあって、それらの集中攻撃によって折角のメカもあれよあれよと傷付き、遂に装甲の剥落を見て爆散の危機に瀕したその時、満身創痍のロリコンダーが第二形態『セーラームンムン』に姿を変えて嘘泣きでキャシャーンとテッカマン、健とジュン以外の3人は帰ってしまい、さらに残ったガッチャマンとポリマーが些細なことで揉めた事でその隙きを突き、倒すことに成功し、(結果的に食い逃げの借りを返した)ジュンを投げ飛ばすとパワーアップしたヤッターワンと共に宿敵のヤッターマンが姿を現した。
三悪メカ『小学一年生メカ ロリコンダー』(サブネーム『アリサ』)
声優:松井菜桜子
関連イラスト
- 大巨神vs逆転王
「ええーい、全ては任せた!!大巨神、行けぃ!!」
「逆転満塁サヨナラホームランだ!!逆転王、行けぇ!!」
- 成長する究極のメカ セーラームンムン
「アリサはとっても不幸です。えーんえーん、えーんえ…(ニヤリ)ふざけんなよぉぉぉい!!」
- 究極のメカニック ボヤッキー
「何をおっしゃるタヌキさん!!セーラームンムンの本当の恐ろしさ、見せてやるわよ!!」