タイムボカンシリーズ第8作目。正式名称は、『タイムボカン2000 怪盗きらめきマン』。
あらすじ
フランス調の町、オーグオンシティ。
その町を騒がす怪盗2人組、彼らの名はきらめきマン。その正体は警察署長の娘であるリップと遠い未来からやってきた青年パフ。2人は500年後の未来から盗み出され、この時代に送り込まれた「ゴールドアイ」を探しているのだ。
彼らを逮捕して名声を上げんと、謎のスポンサー・ドグリンから支援を受けた「花の刑事トリオ」ルージュ・ヒエール・オンドレーが立ちふさがる。
果たして、ゴールドアイはどこに?予告状通り、ただいま参上!!
作品概要
1983年に放送された『イタダキマン』終了後テレビでの新作が途絶えていたタイムボカンシリーズだったが、これまでのフジテレビからテレビ東京に放送局を移し約17年ぶりの完全新作として2000年に放送された。
平均視聴率は4.3%。これをどう見るかで評価が分かれる。
おおむね評価は低いといっていい。が、それだけでは判断しきれないところにこの作品の意味がある。詳細は後述。
なお、平成版『ヤッターマン』の「三悪オールスターズ」の回に花の刑事トリオの出番はなかったが、これに関しては基本的にキャラコンテンツの管理に厳しいテレ東作品である事が影響しただけのことであり、評価などの低さは無関係なので要注意。
しかし、「主題歌を山本正之が歌い(歌う主題歌もカウントダウンスタートと初代作を思わせる演出を行っている)、劇中キャラの声優も担当する」「ナレーション及び三悪のスポンサーが滝口順平」「おだてブタをはじめとしたコクピットメカの充実」「過去作でレギュラー/準レギュラーやゲストキャラを演じた声優が多く登板」「過去作を思い出させる小ネタや劇中BGMの一部が過去作と同じ」など、ファンをニヤリとさせる演出は多かった。
タツノコ作品としては4:3映像及びセル画で制作された最後の作品でもある。
評価について
この頃、所謂「ポケモンショック」の直後でテレビ東京が視聴者に対し過敏になっていた時期であり、シリーズの売りであった声優のアドリブが禁止されたという。
また、従来の三悪が正義として出演する(建前上。基本的にやってることは同じ)など、従来のファンに十分な支持を得られなかった可能性はある。
また、マージョ一味やドロンボーがゲストで出演した回があったが、これもファンの間で賛否両論が分かれている。
もっとも「偉大なるマンネリ」の中で「路線の再構成」が行われる事は従来のシリーズ作でも多々あった事(例えば「タイムボカン」でありながらタイムスリップ要素が消えたり復活したり、名作や時事ネタのパロディを取り入れてみたり、ヒト型スーパーロボ戦を取り入れてみたり)なので、本作の最大の特徴とされた「建前上の善悪の逆転」も、この流れに沿ったものであったとも言える。
どちらにせよ本作の制作においては、タツノコプロの社是にして規範である「子どもたちに夢を」が前提にあった(つまり始めからタイムボカンシリーズのファンに向けた作品ではなく、新しくシリーズの購読層を発掘するための作品)作品とされるので、評価に際してその辺りを取り違えてはならないのも確かである。(但し、本作は1998年に放送が計画されるもお蔵入りになった幻のテレ東版ヤッターマンの代替、及び本来放送予定だったサンライズ製作のGEAR戦士電童の開始延期に依る穴埋めの側面もあり、仮にシリーズ化されたとしても、時間帯移動と場合によっては数年に一度の放送になったかも知れなかった)
放送枠が水曜18:00だったことが、往年のファンがリアルタイムで見ることができず、録画視聴は視聴率に反映されないため、数字を低くしたとも言われる。
さらに、テレビ東京の送信出力は他の在京キー局と同じ(東京タワー12ch映像50kw/音声12.5kw)で視聴可能エリアもほぼ同じだが、系列局であるテレビ愛知やテレビ大阪は放送免許で定められた放送対象地域が愛知県のみ、大阪府のみと狭いために送信出力が弱く視聴可能エリアも狭い。更に3大都市圏以外の系列局であるテレビせとうちやテレビ北海道、TVQ九州放送は経営基盤が弱く、アナログ放送では中継局が置かれなかった場所があるため、フジテレビ系列で放送されていた頃のシリーズに比べてリアルタイムに視聴可能人口が大幅に減った。しかも他系列・独立U局への番組販売も、行われたのはびわ湖放送と山形テレビだけだった。
もとより赤外線リモコンつきテレビが当然となった90年代と、普及黎明期の80年代を直接比較することも難しい。タイムボカンシリーズが一時代を築いた70年代~80年代前半は、20~30%の視聴率を誇る「ただのオバケ」がゴロゴロいた時代であった。だが、90年代後半には、上記にもあるように録画機の普及により放映時間中は裏番組を見ている可視化されない視聴者がいることに加え、手元でチャンネルを切り替えられるようになったためCMなどのタイミングでチャンネルを変更する、所謂「チャンネルジッピング」が行われるようになった結果、ひとつの番組が独占しうる平均視聴率が落ち、ゼロ年代から起算される現代のテレビは、ひとつの番組が独占しうる視聴率について20%台がつけば「正真正銘の化物番組」であると言われている時代である。
一方、それほどの低視聴率ながら予定話数である26話完走をきちんと果たした。シリーズのフジテレビ放映時代とは異なり、アニメビジネスの構造の変化もあったが、それでもキチンと枠を守った事は佳作以上の評価をされて然るべきという声もある。
タイムボカンシリーズ自体、ファンには復活を深く要望されながら、イタダキマンの打ち切りという汚点がスポンサーに二の足を踏ませてしまっていた。事実、1998年版ヤッターマンが潰えたのも前記の事があり、本作は玩具スポンサーなし(メインスポンサーはゲームメーカーのバンプレスト)の強行発車だった。逆にシリーズの息を絶えさせない為にはそれぐらいの荒療治が必要だったと言われている。
ハッキリ言えば、本作がなければタイムボカンシリーズ自体が過去のものになっていた。リメイク版『ヤッターマン』や実写ヤッターマン、ひいては『夜ノヤッターマン』『タイムボカン24』(及び続編の『逆襲の三悪人』)も、この作品がなければ存在しなかった、と評価される事もある。
その意味で言えば、本作は制作当初の目的を、しっかりと果たした作品であるとも言えるのである。
主な登場人物
怪盗きらめきマンと関係者
花の刑事トリオとスポンサー
ジュテーム署及びその関係者
その他
主な巨大メカ
怪盗きらめきマン
花の刑事トリオ
- ワンダーブル(CV:遠藤純一)
作品情報
企画 | 吉田健二 九里一平 |
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総監督 | 笹川ひろし |
キャラクターデザイン | 上北ふたご |
メカニックデザイン | 大河原邦男・小川浩 |
美術監督 | 中村光毅 |
音響監督 | 清水勝則 |
撮影監督 | 横山幸太郎 |
監督 | うえだひでひと |
脚本 | 小山高生(小山高男)・金巻兼一・高橋義昌 他 |
演出 | うえだひでひと・笹川ひろし・小林哲也 他 |
シリーズ構成 | 小山高生(小山高男) |
作画監督 | 井口忠一・加藤茂 他 |
音楽 | 神保正明・山本正之 |
アニメーションプロデューサー | 由井正俊 |
プロデューサー | 岩田牧子・高城一典・成嶋弘毅 |
製作 | テレビ東京・読売広告社・タツノコプロ |
放映期間 | 2000年4月5日~9月27日 |
放送回数 | 全26話 |
関連動画
外部リンク
『タイムボカン2000 怪盗きらめきマン』-wikipedia