概要
現代の国際法で認められている「自衛権」には、以下の2種類が存在する。
これらの自衛権には武力による攻撃のみならず、援助支援も含まれる。
権利の解釈
この権利は1945年に署名・発効した国連憲章にて明文化された権利であり、その運用と解釈を巡って様々な国および地域、人々によって議論は長く続いており、冷戦期には東西対立によってNATOやワルシャワ条約機構が生まれ、さらにこの権利を乱用する国家が現れた。
成立の要件
この権利を行使する場合、個別的自衛権の行使要件である「違法性」、「必要性」、「均衡性」のほかに、「攻撃を受けた旨の表明」および「援助要請」が必要となると解釈される。
日本の場合
日本国の場合、サンフランシスコ平和条約において連合国によりこの権利を有することは認められているものの、戦争放棄およびそのための戦力の不保持と交戦権の否認を明記した第9条を持つ日本国憲法を掲げていることもあり、日米安保条約を締結していても従来の日本政府、特にその解釈を担う内閣法制局は「権利は持っていても行使は出来ない」という見解で集団的自衛権を認めなかったが、安倍晋三首相率いる連立政権は憲法の解釈変更によりこの権利の行使が可能となった。
解釈の変化
過去には「集団的自衛権は国家固有の権利」としたものの、その後の解釈で「集団的自衛権の国外での行使は認められない」とし、「日本防衛のための米軍との共同対処」は「個別的自衛権」であり、「他国防衛のための集団的自衛権の行使」は認められない、といった解釈をしていた。そのため国際連合平和維持活動やその他の海外派遣、例えば海賊対策の際には「国連平和協力法」や「周辺事態安全確保法」、「海賊対処法」といった法律を成立させ、運用してきた。
憲法判断
違憲判断は三権分立のもと本来司法の長である最高裁判所が担う役割であるが、9条解釈の微妙さから付随的違憲立法審査( 何らかの具体的な問題が起きた時のみに違憲判断を行う )をとるとされ、審査を訴える資格が非常に限定されることもあり内閣法制局が担当していたが、首相であった安倍晋三は閣議決定で行うと方針を変更した。
容認
2014年において安倍内閣は解釈内閣法制において「集団的自衛権行使容認とする憲法解釈変更」を閣議決定し、2015年以降それに伴う法律の改正や新設など、例えば日本版NSCに関する法律の新設などを行った。
解釈変更後の動き
既にアメリカ合衆国と同盟を結び米軍基地を領土内におき、自国防衛に他国の戦力を含めている以上、「解釈変更は現状の追認といえるのではないか」という意見も存在する。
信頼と危惧
海外派遣における「駆け付け警護」など、日本国が果たせる行動範囲が広がるとされ、「隣の友軍が攻撃されてても静観しなければならない」と言った縛りがなくなった。同盟国からの信頼が増すと期待される一方、日本や自衛隊が攻撃される以前に「他国の戦争・戦闘に介入する」ことが可能になった、ということでもあり( ただし先にも説明した通り当事者の要請が必要となる )、時の政治家の態度次第では、容認以前にはそもそも参加することができなかった戦争等になし崩し的に巻き込まれる可能性も否定できず、選択肢とリスクの双方が広がったといえる。