概要
正式なタイトルは
「目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので、一戸建て目指して傭兵として自由に生きたい」
2019年2月から小説家になろうにて連載されているライトノベル。著者はリュート氏。カドカワBOOKSより書籍化。イラストは鍋島テツヒロ氏が担当。既刊12巻。
またComicWalker、ニコニコ静画内の異世界コミックにて松井俊壱氏作画でコミカライズも連載されている。既刊8巻。
リュート氏の長編作品では、「29歳独身は異世界で自由に生きた…かった。」、「ご主人様とゆく異世界サバイバル!」に次ぐ3作品目。なお、いずれも書籍化、コミカライズ化されている。
略称は「最強宇宙船」。
現代日本から突然ゲームに似た異世界に転移したいわゆる異世界転移ものだが、この作品の最大の特徴が、先の2作品がファンタジー世界を舞台をしているのに対し、書籍化されたなろう出身作品では珍しいSF作品であるということ(ファンタジー世界にロボットがあったりと、SF要素のある作品はそれなりにあるが、VRMMOを題材とするものを除けば純粋なSF作品としてなろうから書籍化されたのは『僕と彼女と実弾兵器(アンティーク)』『リビルドワールド』など少数である)。
もっとも、SFはSFでも、「サイエンスフィクション」というよりは「スペースファンタジー(あるいはスペースオペラ)」と言ったところ。
あらすじ
広大な宇宙を舞台としたSFオンラインゲーム「ステラオンライン(SOL)」のヘビーユーザーであるサラリーマン「佐藤孝弘」は、ある日、いつものように帰宅後に普通にゲームをした後で寝た……はずだったのだが、目覚めると宇宙を漂う宇宙船の操縦席に座っていた。
混乱する孝弘だったが、次第に状況がわかってくる。この船はSOLで愛用していた高性能船「クリシュナ」だった。どうやら経緯は不明だがSOLそっくりなSFチックな異世界に来たらしい。
孝弘はSOLのように傭兵として生きていこうとあっさりと気持ちを切り替え、SOLでのプレイヤー名である「キャプテン・ヒロ」の名で傭兵稼業を始める。
行き場を失った元一般人の「ミミ」や、傭兵の先輩でもある宇宙エルフの「エルマ」たち美少女とチームを組むことになったヒロは、SOLで磨いた腕でたちまち頭角を現していく。夢は惑星の居住権を買って一戸建て!
登場人物
主人公一行
- キャプテン・ヒロ/佐藤孝弘
主人公。元は普通の27歳の会社員。黒髪に三白眼気味の黒目で、体格は中肉中背。
転移ものによくある『ステータス画面を出す』などの露骨なチート能力はないが、
『息を止めて集中すると時間の流れがゆっくりに感じる(=反応速度が爆発的に上がる)』
『ほぼすべての人が生後すぐに受ける言語解析用のインプラント手術を受けていないのにあらゆる言語がわかる』
などの能力はある。だが、最大の能力はクリシュナの性能を十全に生かす、SOLの廃プレイやり込みで培った操縦技量と戦術(特に彼の駆るクリシュナの戦闘機動はこの世界においても無類の曲芸・職人芸ものであり、傭兵ギルド登録の際に、ゴールドランカー昇格試験用のシミュレータープログラムを初見なのに余裕綽々でクリアする程。彼の実戦での機動は直接目の当たりにした者も、帝国軍の戦闘詳報データで確認・分析した者も、みな口をそろえて「頭おかしい」「変態」「クレイジー」「真似るなら無帰還前提になる」とまで評している)。
その反面、生身での戦いは苦手と自称しているが、あくまで船での戦闘に比べたらであり、上記の特殊能力もあってそちらでも高い戦果を上げている。船を降りての戦闘時には、当初はSOLで手に入れた高性能レーザーガンがメインだったが、ダレインワルド伯爵の護衛任務の中で伯爵から授けられた大小二本一組の剣を手に入れてからは、そちらを持ち歩くようになっていった。
後にメイの猛特訓により、生体改造を受けた白刃主義者たちをも圧倒するほどの剣術を身につけた。帝国貴族のような改造・身体強化処置を受けていないためさすがに身体能力では劣るので、基本は相手の動きを先読みしてのカウンターを多用する。しかし、結果として剣が使える白兵戦の切り札要員としてセレナに駆り出されることも増えている。
第9巻でエルフの故郷である「リーフィル星系」を訪れた際に、高いサイオニック能力(いわゆる魔法や超能力)を秘めていることが発覚(上記の能力も、部分的にサイオニック能力が発動していた)、その後メンバーに加わったクギとの修行により、能力を徐々に使いこなせるようになっている。
本人曰く女性には手が早いらしいが、どちらかと言えば紳士的(後述のようにこの世界の性風俗がヒロが引いてしまうくらいに緩いのもあるが)。ただし、第11巻時点で(そういう関係の有無を問わず)側にいる女性が6人というのは流石に多すぎるらしく、初対面の男性の多くには嫉妬され、同じく初対面の女性には軽蔑されることもしばしば。
他にも下戸ということもあり酒や博打に走ったりもしないので、本人に自覚はないが一般的な傭兵よりもかなり真面目。
好物は炭酸飲料。特にコーラが大好きだが、この世界では炭酸飲料が廃れており(宇宙では炭酸は暴発しやすく、それが原因ではとヒロは推測している)、一戸建てを目指すのも惑星などの重力圏内に炭酸が残っている可能性があるため、そこで炭酸コーラを存分に楽しみたいためだったりする。ただし、いくつか炭酸飲料や炭酸なしのコーラは見つけられたのだが、いまだ念願の炭酸コーラには出会えていない。
周囲には「ハイパードライブ(この世界のワープ航法)で事故にあったらしく記憶喪失で、船の寄港履歴も消えてしまって素性がわからない」と、異世界人であることはボカシているが、仲間たちには明かしている。他にもグラッカン帝国皇帝にはバレており、その場に居合わせていたルシアーダとエルドムアも知っている。
自他ともに認めるトラブル体質。後に、これもサイオニック能力が無意識に発動していた結果であることが判明している。フラグめいたセリフを言うとすぐ災難にぶち当たるほどだが、よく言えば仕事に困らない状態であり、自身とクリシュナの能力もあり傭兵ギルドに登録してすぐに中堅どころであるシルバーランクに昇格。その後も書籍版第3巻でゴールドに、第7巻で最高位のプラチナに昇格している。
第6巻で描かれた『結晶戦役』と後に呼ばれることになる結晶生命体との大規模戦闘で勝利の立役者となり、その命知らずに見える戦い方からキャプテン"クレイジー"・ヒロとも呼ばれるようになる。この時の戦果から、最高位の勲章「一等星芒十字勲章(通称ゴールドスター)」を授与。身分上は名誉子爵となる。その後、御前試合の報酬として一等市民権も取得している。
実は、この時に得た一等市民権とそれまで稼いだ大金で、当初の目的である「惑星に一戸建てを建てて悠々自適な生活」は十分達成できるのだが(市民権を買うのに大金が必要だったが、その必要がなくなったため予算が想定よりも安くなった)、家を建てる惑星を決めていないことや、まだ炭酸コーラを見つけていないことなどもあり、傭兵家業は相変わらず続けている。
第1巻の描写によれば、後世の歴史ではこれらを含めた数々の偉業を成し遂げた英雄として取り上げられている模様。
- ミミ
ヒロインその1。
最初にヒロが滞在していた「ターメーン星系」のコロニーに住んでいた元一般人。年齢は十代半ば、亜麻色の髪に翠の瞳の可愛らしい童顔をした小柄巨乳な美少女。
コロニーのインフラ整備をしていた両親を仕事の事故で失った上に、その事故で生じた賠償金が払えずに路頭に迷ったところでヒロに出会い、見かねた彼にその賠償金や、その為に生活苦で払えなくなり滞納された市民権などの諸々の税金や自由移動権税、総計50万エネル(ヒロの感覚でざっくり日本円換算して約5000万円。突然の事故で中流家庭の両親を亡くした学生には賠償金分だけでも完済どころか利子返済すらおぼつかず生活が立ち行かなくなるレベル)を一括で支払ってもらい、クリシュナのオペレーター見習いとして引き取られる。
この世界の常識の一つに「男の船に乗る女は一般的にその情婦として見られる」というものがあり、ヒロはそこまでする気がなかったが、彼女にしてみればそれが普通であり、「夜伽もできなければ捨てられるのでは」と不安に感じ、安心するためにヒロに頼み込み結ばれ、恋人(愛人?)関係となる(一応成人年齢なので、同意ならセーフ)。命の恩人ということもあり彼を「ヒロ様」と慕う。一行の良心的存在。
食いしん坊の気があり、ヒロに「何か目標を持った方がいい」と勧められたこともあって、「宇宙を旅して様々なグルメを制覇したい」という目標を掲げている。当初はさすがにゲテモノは苦手だったが、慣れてきたのか最近は普通に食べている。書籍版では滞在先でご当地グルメを食べまくったりと食事描写が増えているが、以前はあれほど苦手だったゲテモノ料理を皆に勧めてはドン引きされる一幕も目立つようになっている。
また、書籍版の追加設定では、幼少期に一度だけ会った祖母は非常に若々しく(=金をかけてサイバネティックス等の若返りを施していた可能性が高い)、成功した傭兵だったのではないかと考え、片手間ではあるが消息を探している。
コロニー生まれのコロニー育ちの一般人のはずなのだが、ダレインワルド伯爵や帝国軍のお偉方などが彼女の顔に見覚えがあるようなそぶりを見せるなど、その出自に疑念が生じだしていき、第7巻で登場したルシアーダ皇女と瓜二つであったことからそれが一気に深まり、遺伝子検査を行ったところ帝室と血縁関係であることが発覚。上記の祖母が若い時に帝室から家出した現皇帝の妹で伝説の傭兵「セレスティア」であったことが判明した。
本人は帝室に引き取られることは「恐れ多い」と固辞しており、皇帝の計らいもありルシアーダとは他人の空似ということにしてもらい、血縁関係については公表していない。
ただ、それでも「皇女にそっくりな美少女」ということで貴族などに狙われる可能性があるため、第7巻の書下ろしによると、念のためにエルマが手を回して彼女とヒロとの婚姻手続きを(ヒロに内緒で)いつのまにか終えており、立場上は妻として名誉子爵である彼の庇護下となっている。
最近では、オペレーターとしての能力も上がってきただけでなく、ブラックロータスの高い積載量を生かしての交易なども任されている。
クギの加入とエルマがアントリオンのパイロットになったことから、サブパイロットの勉強も始める……予定だったのだが、操縦技術が壊滅的なため、当分はオペレーターを続けることになった。
- エルマ・ウィルローズ
ヒロインその2。
ヒロがターメーン星系で出会った、肩までの長さの銀髪に碧眼の、エルフの女性傭兵。
傭兵歴5年の自称ベテラン。実際、ヒロほどではないが実力はかなりのものでランクはシルバー。若く見えるが53歳(この世界のエルフの寿命は500歳以上であり、エルフ的には十分若い)。
エルフだけあり美人だが貧乳で、ヒロからは「残念宇宙エルフ」などと呼ばれる。
面倒見のいい性格で、この世界に来たばかりのヒロの世話を焼き、ミミが引き取られたときも彼女の手助けをした。
その後の戦闘中の事故がもとで多額の賠償金を背負ってしまい、払えずに監獄送りになりそうになったのを彼女もヒロに助けられ、クリシュナの副操縦士となる。こちらもヒロは抱く気はなかったが、体目当てだとエルマが勘違いしたためそういう関係になり、彼女もすぐヒロにデレる。
ゲーム知識だけでこの世界の一般常識のないヒロや元一般人で新米のミミをフォローする常識人枠であり、女性陣のまとめ役となることも多いヒロ一行のサブリーダー的存在であるが、お酒に目がなく衝動買いしたりと、そっちの意味でも「残念」な一面もある。
実は帝国貴族「ウィルローズ子爵家」の末娘であり、望んでいない婚約から逃げるためとセレスティアへの憧れから家出して傭兵になっていた(上記の賠償金の時はさすがに実家に泣きつこうとしたが、返済期限に間に合わなかった)。第7巻で家族と再会するが、ヒロが貴族たちも一目置かれる存在になっていたこともあり、なんとか仲を認めてもらえた。
エルフではあるが宇宙に進出した一族の出なため、リーフィル星系とは関係が薄く、魔法も初歩的なものしか使えない。また、彼女も帝国貴族の令嬢であるため幼少期から身体強化処置を施されており、さらに家を飛び出してから5年ほど荒事まみれの傭兵業界にもまれてきたこともあって、白兵戦技能は一流である(特に素手の格闘戦だとヒロでは手も足も出ない)。
一行の戦力増強のため、新型船アントリオンのパイロットになる。
- メイ
ヒロインその3。
リゾート地「シエラ星系」でヒロが購入したメイドロイド。
外見は腰まである黒の長髪に紫の瞳、そして耳部に大型ヘッドホンめいた装置を備え、丈長のクラシックなメイド服とヘッドドレスで身を固め、(ヒロの趣味で)メガネをかけた、クール系の長身巨乳美女。感情表現自体は希薄だが、その裡に抱えた主への愛情や忠誠は強く、時に激情家にもなるクーデレ。
元々はヒロが「オリエント・インダストリー」社のメイドロイドのカタログアプリを見ながら自分の趣味全開の見た目と護衛や戦闘も難なくこなせる採算度外視の高性能を両立させた「ぼくのかんがえたさいきょうのメイドロイド」を遊び半分でデータを組んだところ、それに目を付けたリゾートの管理AI「ミロ」が、すぐに用意できるメイドロイド標準パーツで体を仮組みして誕生(ミロ曰く「営業ノルマ達成のため」)。リゾートでのヒロの世話用にお試しで提供した。
ミミには「友人が彼氏をメイドロイドに寝取られた」という過去から警戒されていたが、女性陣同士の話し合いの末、どこをどう説得したのかすっかり仲良くなり、結局正式に購入することになった。
購入後、シエラプライムコロニーのオリエント社直営工場で、ボディを本来の仕様(ヒロが上記のさいきょうメイドロイド構想上で設定していたフレーム材質や機能、コンピュータや動力源、etc...)通りに組んだものに交換し、パワーアーマー(いわゆるパワードスーツ)を凌駕する戦闘能力と高性能の小型陽電子頭脳による高い演算能力を併せ持つ万能メイドロイドとして完成した。
そんな彼女の、製造・フルチューン費用も込みでの購入代金は、戦闘用としても家事・事務処理・愛玩用としても超高性能仕様で仕立てたこともありざっと約50万エネル。傭兵や軍でも使われる白兵戦用戦闘BOTが数機まとめて買えてしまうレベルである。
主であるヒロへの忠義は強いが、ヒロのためになるのなら時にはヒロの意思さえ無視するかのような行動をとることもある。後にブラックロータスの操縦、制御も担当するようになる。
この世界ではメイドロイドをはじめとするAIやアンドロイドは「機械知性」と呼ばれ、一つの種族のように扱われている。昔は人間相手に反乱を起こしたこともあったが、今はグラッカン帝国でも人権を認められている。ただし、根底には差別意識を持つものも少なくない模様。
特に、彼女のようなメイドロイドはいわゆるセクサロイドから発展したため、そういう機能も持っており、筐体アップグレード直後に「動作確認」と称して半ば強引にヒロと「そういう関係」になっている(先述のメイドロイド進化の歴史の中で培われ共有・洗練されてきた機械知性たちの経験データやそれを生かした機能・ミームの蓄積もあるため、『処女』の段階から歴戦の名器にして床上手でもあり、「はじめて」であるはずのメイにヒロはベッドで完敗したとのこと)。
白兵戦時の武装は、現状出ている限りでは常人ならパワーアーマー装着者でやっと携行できるような重量の大型光学兵器のほかは、主やその近親者を守る護衛としての役割もあり、ハイテク武装よりも、極めてアナクロかつ頑丈な暗器(一例として、帝国の戦艦の外部装甲と同じ圧縮金属素材を加工した金属球や警棒など)を愛用する(人類の科学技術が凄まじく高度かつメイと同等以上の高度機械知性もごまんと居るこの世界においては、コンピュータが介在した武装だとジャミングやハッキングで無力化ないし敵に利用される可能性もあるが、単純な器物だとその危険性も極少になるし、ハイテク携行兵装が必要ならクリシュナにあるヒロ用のパワーアーマーの武装などを借りれば済む。またボディガードとしても「かさばらず携行性の良好な武器」は利便性が高く、そのうえ戦闘ロボットとしても超絶級に身体能力や演算性能が高いメイに扱わせればただの石つぶてや棒切れでもそこらの銃器より遥かに高い威力や精度になるので、後は彼女のパワーで振り回しても壊れない強度があれば理想的、という理由)。また耐久性もヒロの採算度外視カスタムに相応しく、肌や髪質は人工物ではあるものの生身の人間の最上質のそれにも劣らぬ美しさや瑞々しさ、柔らかさだが、その下の骨格やフレームは宇宙戦艦のそれと同等のものを使っており、筋肉は特殊金属繊維製。更にメイドロイドゆえにブラックロータス艦内で敵と白兵戦になった際も(艦内に生身の味方が居ないことが前提だが)「艦のハッチを開放して敵を宇宙空間に放逐」や「艦内空気を減圧・無酸素化して賊を制圧」などの、生身ではできない戦法がとれるという強みがある。
スペック以上の性能が出ているとしか思えないケースが度々見かけられ、「ヒロに興味を持った機械知性により、試作技術を詰め込まれている。」疑惑がある。
- ティーナ&ウィスカ
ヒロインその4&5。
「ブラド星系」にある造船会社「スペース・ドウェルグ社」でエンジニアをしているドワーフの双子姉妹。この世界のドワーフの女性はいわゆる合法ロリな小柄な体格であり、彼女たちも同様だがこれでも27歳であり、その種族柄上、小柄な体格に反し肉体は頑丈かつパワフル(人一人くらいの重量物なら担いだり投げつけたりは余裕)。姉のティーナは赤毛に金色の瞳をしており、豪快な性格で似非関西弁な口調。妹のウィスカは青髪に金色の瞳で内気。腕は一流だが、実はウィスカの方がピーキーすぎるものばかり作っておりマッドの気がある模様。
ヒロからは二人まとめて「整備士姉妹」と呼ばれることが多い。
スペース・ドウェルグ社でブラックロータスの購入・納品待ちだったヒロに迷惑をかけてしまったことがきっかけで、会社からの(懲罰も兼ねた)出向という形でヒロ達の専属メカニックとなる。第一印象こそ最悪だったが、何だかんだですぐにヒロ達と打ち解ける。ただし、ミミたちとは違い外見年齢の幼さもあってなかなかヒロと肉体関係になる機会に恵まれなかった。本人たちは構わないどころかむしろ望んでおり、積極的にアプローチしている。ヒロが異世界転移したことは第9巻でようやく知り、10巻で遂にヒロとそういう関係になった。
姉妹仲は良いが実は2年前まで離れ離れで、特に少女時代をスラム街で過ごし、荒っぽいギルドに所属していたティーナは後ろ暗い連中とも付き合っており、妹との再会を機に苦労して足抜けしたという結構重い過去を持つ。書籍版ではその関係でウィスカが攫われ、ヒロ達が救出したことで恩義も感じている。
第11巻でスペース・ドウェルグ社を退職することを決め、正式にヒロ一行のメンバーとなる。
髪の色や姉妹での口調の違いなど(姉が赤髪で関西弁、妹が青髪で標準語、)から作品ファンの間では某合成音声キャラクター姉妹の影がちらついている人が多い。
- クギ・セイジョウ/清浄供儀(セイジョウ・クギ)
ヒロインその6。
ヴェルザルス神聖帝国神祇省に所属する巫女。
狐耳に三本の狐の尾を持つ、前髪ひと房を赤く染めた銀髪の獣人。巫女服を常に着用している。
一人称は「此の身」、ヒロのことは「我が君」と呼ぶ。
サイオニック能力、特に第二法力と呼ばれるテレパシー系の使い手でもあり、異世界人故に高すぎる上に不安定なサイオニック能力を持つヒロのケアのために派遣されてきた。
ただし、実態は万が一にでも異世界人が能力を暴走させて恒星クラスの破壊現象が起きてしまった時に命と引き換えに被害を食い止めるための人身御供であり、その万が一が無くても一生尽くすことを強いられる。つまり、その本名が示すように供物兼生贄ともいえる存在であることが書籍版で語られている。
もっとも、本人は使命を受け入れているのはもちろん、占い(ヴェルザルスでは未来予知レベルに精度が高い)でヒロの事を知った時から完全に一目ぼれしており、彼女からすれば好みドストライクな殿方とのお見合い結婚みたいなものだったりするため、むしろ嬉々としてヒロに仕えている。
獣人の為か匂いフェチの気があり、ヒロの匂いが大好き。
その経緯から一行には最初は疑念を持たれたものの、その裏表のないヒロへの好意などもあり、結局すぐに打ち解けた。ただし、機械であるゆえに「精神」という物を持たないメイは若干苦手。
以降はヒロにサイオニック能力の指導をしながら、クリシュナのサブパイロット見習いとなる。機械音痴ではあるものの、克服しようと勉強中。
普段は毅然としているが、ヒロの話題になるとデレデレになったり、色々とお茶目な面も持っている。また、おっちょこちょいなところもあり、ヒロの能力を開花させるための修練として(もちろん下心もあるが)いわゆる房中術を行うことで遂にそういう関係になれたのだが、その際のあれやこれやの思念がかなり広範囲に漏れ(エルマ曰く「桃色毒電波」)、周囲に大混乱を起こすというテロ同然の事態を引き起こして凹んでしまったことも。
- ショーコ
ヒロインその7。ただし、登場自体はかなり早い。
アレイン星系の製薬会社イナガワテクノロジーの研究員。癖のある長い茶髪に赤い瞳をした巨乳のメガネっ娘美女。
遺伝子工学とナノマシン工学が専門だが、両者に絡む分野として医師資格も持っており、系列病院に健康診断に来たヒロ達を担当した。実はその少し前に乗っていた船が宙賊に襲われていたところをヒロ達に助けられている。その件も含めて3回(web版では2回)もヒロに危ないところを助けられており、ヒロにはさすがに及ばないものの(というかヒロのトラブル遭遇率が異常すぎるのだが)なかなかのトラブル体質。
ヒロがアレイン星系から旅立ったことで一旦は物語からフェードアウトしたのだが、実はヒロの影響で傭兵のような宇宙を旅する業界にあこがれを抱くようになり、軍からの出向の求人に応募。当初は船医枠で応募したのだが、研究者としての手腕を買われてセレナの対宙賊独立艦隊に配属され、ヒロと再会。ヒロからのスカウトを受けて出向期間の終了に合わせて一行の船医となることが決定した(以前にアレイン星系でもスカウトされたが、この時はヒロ一行はまだ人員も少なかったので辞退した)。
実はかつて帝国領内に存在したある星間企業が、優秀な研究員となる人材を(文字通りの意味で)『量産』する目的で設けられた研究施設の装置で『製造(ショーコ当人の弁。実際、受精卵から赤子になってこの世に生まれ落ちるところまで全てヒトの母胎ではなく機械で行われたため、彼女には代理母たる人物さえも存在しない)』されたデザイナーベイビーであったが、その企業は彼女が誕生後にほどなくして、ショーコの出生の大本でもある「ヒトの機械生産」などの違法な生命創造をはじめとしたグラッカン帝国の法や倫理に抵触する数々の違法行為の発覚でお取り潰しとなり、彼女の身柄は企業摘発の際に帝国政府によって保護及び数々の検査を受け、その後にイナガワテクノロジーに引き取られ、同社の重役・ディクソンを養父として(イナガワ社への就業からは上司としても)育ってきた。ゆえにイナガワ社は彼女にとって「勤め先」のみならず「実家」と呼ぶべき存在でもある。
準レギュラー・ゲストヒロイン
- セレナ・ホールズ
遅れてきたヒロインその8
グラッカン帝国の軍人でホールズ侯爵家の令嬢。ストレートな金の長髪に赤い瞳の美女。
ヒロよりも若いがかなりのやり手。狙った獲物は逃がさない主義で、非常識レベルの強さのヒロに目を付けている。
プライベート時や酒に酔ったりするとポンコツ化する憎めない一面もある。
登場当初はターメーン星系軍の大尉だったが、隣国のベレベレム連邦との軍事衝突をヒロの違法行為同然の奇策(後述)とクリシュナの活躍で完勝し、その功績で以前からの希望だった「対宙賊独立艦隊」を設立し少佐に昇進。艦隊司令となり各地を転戦することになる。
ヒロを軍に勧誘しようと執拗に迫ったところアレイン星系に逃げられたため、艦隊ごと追いかけた上に、ヒロに正規の依頼として宙賊相手の戦術を指南してもらいながら勧誘の機会をうかがうが、最後までヒロが応じなかった上にポンコツな面を見せてしまったこともあり、彼を軍にスカウトするのは諦めざるを得なかった。
しかしその後も、バルタザールに雇われた宙賊の大群がヒロやクリスを襲撃しているのに出くわしたり、結晶戦役でヒロと共に戦うなど腐れ縁と化している。半面、ヒロと関わることで手柄を上げることが増えてきたせいか、第7巻で中佐、第11巻で大佐と、スピード出世している。
艦隊指揮はもちろんのこと、貴族のたしなみとして剣術にも長けており、必要とあらば(自分と同等の腕を持つヒロを巻き添えにして)剣を手に前線にも出る。なお、彼女も帝国貴族の嗜みとして幼少期から身体強化をうけているため筋力や反射神経・思考速度は一般人とは比較にならない高さであり、また軍の高官という職責上暗殺や籠絡を防ぐ為に代謝強化や有害異物排斥インプラントも体に施しており、並の毒物や有害薬物程度なら問題ない耐性を獲得している(身体機能そのものを改竄するナノマシンに対しても、流石に無効化は無理だが幾分かの抵抗力は発揮する)。
ヒロのことは身分とか気兼ねなく接することのできる間柄ではあるが、時おり異性として好意を持っているようなそぶりも見せる。ただ、ヒロからはその面倒くさい性格を露骨に警戒されており(一応、自覚はある)、自分を女性とすら見てくれないことには複雑な思いを抱いている。それに加えて貴族令嬢という身分的な問題もあり進展するそぶりがなかなかなく、結局腐れ縁止まりが続いている。
また、よくよく考えれば、貴族令嬢がそれなりの年頃にもかかわらず浮いた話一つなく(見合い話もことごとく断っているらしい)前線で戦いまくっているというのは、立派な行き遅れだったりする。
その後、悪徳貴族に男の人とアレし続けないと死んでしまう身体に改造され、治療が完了するまでヒロが相手をすることになり、その責任を取らせる形で婚約した。婚約なのはクリスとの兼ね合いで先に結婚するにはいかないため。
****後世の歴史では、姫将軍と呼ばれ、ヒロと共に英雄視されている。
- クリスティーナ・ダレインワルド(クリス)
遅れてきたヒロインその9
ダレインワルド伯爵家現当主の孫娘。年齢は明記されていないが、外見から12歳くらいとヒロは推測している。おかっぱ気味の黒髪に紫の瞳の、可愛らしい顔をした少女。
当主の座を狙う叔父のバルタザールによって両親と共に乗っていた船が襲撃され、両親が殺され自分は父にコールドスリープポッドに乗せられ脱出。ポッドは宙賊に拾われたところを成り行きでヒロが助け、祖父に保護されるまでの間、ヒロが護衛することになる。祖父と合流後も捨て身のバルタザールに襲撃されるが、乱入したヒロとメイにバルタザールが倒されたことで助かった。
彼女もまたヒロを強く慕っており、ヒロの方も憎からず思っているのだが、
- 年齢が低すぎる。
- 護衛対象に手を出すなど傭兵として言語道断。
- 何より貴族の女性に手を出したらかなりヤバいことになる。少なくても、地位などに縛られ気楽な生活が送れない。
等の理由でヒロがなびこうとしない(ただし、1つ目は外見が年齢より幼く見えただけで実はミミと歳が離れておらず、3つ目に関しては、後にエルマが貴族の娘であることが発覚したためと、ヒロが名誉職とはいえ貴族になったことで今更となっている)。
結局、今の傭兵生活をヒロが選んだ上に伯爵家の跡取りになったことで嫡子としての教育を受けることに専念せざるをえなくなってしまうが、メイに色々吹き込まれたこともあり、ヒロにふさわしい女性になろうと決意しており、諦める気は微塵もなかったりする。
第7巻でヒロ達と帝都で再会。彼らを介してルシアーダとも親交を結んでいる。
第8巻では伯爵家嫡子としての教育の一環で、伯爵家が主導の惑星への入植作業の指揮をすることになったりと、忙しい日々を送りながらも主に精神面で成長を見せており、時にはヒロすらも翻弄することも。
後に上記の年齢の件と現当主のアブラハム公認(彼女の教育も元々傭兵生活がしたいヒロと結婚する前提で計画されていた。)であることを理由に押し切り、婚約させた。婚約なのは貴族の成人年齢が結婚している平民のミミよりも三年高く、現時点では結婚できないため。
- ルシアーダ
皇帝の孫娘。15歳。
帝室のしきたりで最近まで公の舞台に出なかったのだが、その容姿はミミと瓜二つ(強いて言えば胸が少し小さい)であり、そこからミミの素性が判明することになった。
気さくな性格で、ミミとも打ち解けている。外の世界にあこがれているおてんば娘な一面もあり、冒険ものの小説などが大好き(さすがに腐女子ではないが……)。第7巻書き下ろしではミミと服を入れ替えて、お忍びで帝都の城下町にヒロのエスコートで繰り出している。
怒るとかなり怖く、同書き下ろしではヒロに因縁を吹っかけてきて返り討ちにされたエルマの元婚約者にブチ切れ、駆けつけた官憲に身分を明かして社会的にトドメを刺した。
- ティニア
リーフィル星系のエルフの有力氏族「グラード氏族」の族長の娘。
他氏族の族長の息子との婚約式典の最中に宙賊に襲撃、拉致されたところをヒロに助けられた。
web版ではチョイ役なのだが、書籍版ではヒロと共に遭難するなど大幅に出番が増えており、第9巻の事実上のゲストヒロインとなっている。
- コノハ・ハガクレ
書籍版で追加されたキャラクター。
ヴェルザルス神聖帝国の武官にして、ウィンダス星系内のヴェルザルスの聖堂(大使館のようなもの)の護衛官。狸耳を持つ狸系の獣人の女性。
念動力系に当たる第一法力の使い手であり、かなりの実力者(ただし、本人曰くクギの方が強いらしい)。
やや堅物なところがあるが、クギには頭が上がらないことも。
後に、web版でかなり後のエピソードで登場という形で逆輸入された。
その他
- アブラハム・ダレインワルド
ダレインワルド伯爵家現当主。頑健そうな体格をした初老の男性。
跡取りであった長男夫婦をバルタザールに殺され、唯一の肉親となったクリスを引き取る。
ヒロのことは信頼しているが、やはり貴族の当主ということもありクリスが傭兵であるヒロを慕っていることには表向きは賛成していない。ただ、積極的に反対もしておらず、内心ではヒロを認めているようにも取れる。
- バルタザール・ダレインワルド
アブラハムの次男でクリスの叔父。ダレインワルド家当主の座を狙い兄夫婦を殺害し、生き残ったクリスと、遂には父も殺そうとした。
劇中では明確な手段が描かれていないため詳細は不明だが、他者を意のままに操る術に長けており、宙賊の大群や帝国宇宙軍の正規部隊までもヒロに刺客として差し向けてきた。
それもことごとく撃退され、最後の手段として貴族同士の一騎打ちに持ち込み父を追い詰めるが、決闘など知ったことではないといわんばかりに乱入したヒロとメイに倒されて捕縛された(明言されていないがその後処刑された模様)。
彼が使っていた二振りの剣は、アブラハムを介してヒロに授けられ、彼の愛剣となる。
なお、フルネームは漫画版でのみ明言された。
- 皇帝
グラッカン帝国現皇帝。本名不明。
見た目は中年だが、年頃の孫がいるので、延命処置を施していると思われる。
僅かな情報からヒロが異世界人であることを突き止めるかなりの切れ者。
ヒロのことは気に入っているが、彼の意向を無視して無理やり御前試合を組んだりと迷惑もかけているため、ヒロには内心「ファッキンエンペラー」と呼ばれている。(そしてなぜかバレている。)
- エルンスト・ウィルローズ
エルマの兄。エルフの美系キャラであるが重度のシスコン。
妹を傷物にしたヒロのことが気に入らず、勝負を吹っかけようとするが、一度目はエルマに「嫌い」と言われて卒倒し、御前試合での再戦時にはヒロに返り討ちに合った。
ただし、ヒロの実力や人柄自体は評価しており、「義兄(あに)と呼ぶな」と言いながらも情報提供などで協力している。
- エルドムア・ウィルローズ
エルマの父で現ウィルローズ子爵。エルフだけあり美形で若々しい。
妻のミルファと長女のエルフィンには頭が上がらなく、ヒロがエルマとすでに性的な関係になっていると聞いて激怒……しそうになったところでヒロの目の前で二人にボコされ、すっかりおとなしくなってしまった。
なお、皇帝とヒロの対面時に同席しており、ルシアーダと同様にヒロが異世界人であることを聞いているが、彼がどう思ったかは不明。
用語
- ステラオンライン
英語表記は「Stella Online」。劇中では「SOL」と略されることが多い。
孝弘(ヒロ)が現代日本でやりこんでいたオンラインゲーム。非常に自由度の高いゲームで、広大な宇宙を股にかけて冒険をする、傭兵や交易をする、などとプレイヤーの数だけプレイスタイルがあるというのが売りで、孝弘は傭兵「ヒロ」として宙賊退治などを主に行っていた。
ヒロが飛ばされたこの世界は、流通している装備など基本はSOLとそっくりなのだが、SOLでは実装されていないエルマのようなエルフなどの異種族の存在、星系の情報やグラッカン帝国をはじめとする星間国家などが違うなどのSOLとの相違点も多く、この世界が「SOLの世界」なのか「SOLに似た別の世界」なのかはいまだ不明となっている。
ただし、そのおかげでヒロがゲーム知識を鵜呑みすることがなく慎重に行動するようになっているため、(いわゆる俺TUEEE要素のある物語ではあるが)ヒロが慢心しないという利点もある。
劇中では「スペースパイレーツオンライン(web版では「ステラパイレーツオンライン」)」という似たゲームがあることが示唆されているが、詳細は不明。
- グラッカン帝国
物語の舞台となる星間国家。
貴族制を導入している。
帝国貴族は絶対的な権力を持ってはいるが、品位と誇りを大事とされているため、平民相手に過剰に威張り散らしたり無礼討ちを繰り返すような貴族は他の貴族からの評判が落ちて爪弾きにされるなど、腐敗貴族を防ぐような慣習が出来ている。ただし、悪徳貴族やダレインワルド伯爵家の件のようなお家騒動はそれなりにある。
また、貴族の多くはその証として帯剣している(一応、貴族以外が帯剣していけないわけではなく、ヒロはダレインワルド伯爵から譲られた物を帯剣している)上に、生体改造を自身に施して身体能力などを大幅に上げている。そのため剣の達人が多く、使用する剣自体も「モノソード」と呼ばれる単分子素材製の理論上最強の切れ味がある物であるため、銃弾やビームを剣で切り払うという某ジェダイのようなことすらできる者もいる。ただし、そうした一部の貴族の間には、剣術や決闘を必要以上に重んじる思想に染まった「白刃主義者」と呼ばれる者も多く、そうでない貴族や帝国軍人の悩みの種となっている。
なお、(他の国も同様なのかは不明だが)平民の成人年齢は15歳。ただし、貴族は半ば形骸化してはいるものの、18歳で成人とみなされるので、婚姻はそれまで待つのが普通。
かなり初期から「機械知性」によって秘密裏に支配されている事がほのめかされている。
- 機械知性
グラッカン帝国で偶発的に誕生したAI知性体。人類との戦争を経て(表向きは)人類をサポートする立場で一定の人権を獲得している。戦中、人類と友好関係を結んだ多くの機械知性がセクサロイドであったことで、アレの機能の有る無しがアイデンティティに関わる問題であったり、全体的に恋愛成就至上主義だったり、奉仕すべき対象への奉仕活動が出来ないことが苦痛になったりする。アンドロイドメーカーや販売店が立ち並ぶ専門店街の様相はさながら風俗街。
撃破した戦艦の機械知性をセクサロイドに打ち込んだ一兵卒と、その一兵卒にいいようにされた結果愛と性に目覚めた戦艦の機械知性が戦争終結のきっかけになった、という噂がある。
- ベレベレム連邦
グラッカン帝国と勢力宙域を接し、国境付近での領域紛争もたびたび生じている星間国家。
内情についてはグラッカンや下記のヴェルザルス神聖帝国ほど詳しく語られてはいないが、「連邦」とあるように、絶対頂点の君主を戴く政治体制ではない模様。また、それゆえかグラッカンやヴェルザルスに比べて宗教・道徳観や倫理観は薄く拝金・利得主義的な気風が濃いようで、グラッカンへの侵攻にあたっても兵力やテクノロジーなどの面で宙賊を利用ないし結託などすることもあったり、(まがりなりにも「国家」としての体面があるため公的には秘匿し、絶対に存在を認めないが)戦闘機能だけに特化しそれ以外を度外視した戦闘艇やミサイルなどの特攻兵器まがいの兵器の操作頭脳役をやらせる為だけの『ヒトの製造』にも手を染めていたりするようである。
物語序盤で起こしたグラッカン帝国との国境紛争において、帝国の部隊指揮官として指揮を執っていたセレナ・ホールズ大尉(当時)、そして彼女の部隊の傭兵として参戦していたキャプテン・ヒロに大損害を与えられたため、連邦軍はこの両名をマークし討伐対象に指定しているとのこと。
- ヴェルザルス神聖帝国
クギの故郷である星間国家。グラッカン帝国とは一応国交があるが、半ば鎖国状態。
全体的に和風な様式に加えて、法力(サイオニック能力)の研究が盛んで、能力の使い手が多い。半面、グラッカン帝国のような科学的な物には疎い。日本と同様に名字から先に名乗る風習がある(クギはグラッカン帝国風に名前から名乗っている)。獣人の比率がかなり多い模様。
大昔に起こした何らかの事件が切っ掛けで、ヒロのような異世界人が稀にこの世界に迷い込むようになってしまったため、その贖罪として巫女を派遣して彼らのケアを行っている。
なお、以前はその危険性から排除しようとしたり、強制的に身柄を確保したりもしていたのだが、相手方が抵抗したり絶望した挙句に今際の際に能力を暴走させた結果、恒星がいくつか消滅するほどの大被害になったため、現在の形になったとのこと。
- 結晶生命体
体が水晶のような結晶質で構成された謎の宇宙生物。漫画版のイラストなどを見る限りは某アニメの宇宙怪獣とE○Sを足して2で割ったような外見。
意思の疎通は全くできない上に、人間のような有機生命体を執拗に狙い、宇宙で遭遇すれば体当たりしてきたり、エネルギー弾を撃ってきたりと問答無用で襲ってくる人類の天敵。個々の能力は高いわけではないが、大概は数百~数千の大群で行動するため非常に厄介。
「歌う水晶」という謎のクリスタル状の物体を壊すことで意図的に召喚することもできる。ただし、この水晶、SOLではただのレイドバトルを起こすためのアイテムなのだが、その危険性からこの世界では第一級の禁制品である。
偶然「歌う水晶」を手に入れたヒロはこの性質を逆手に取り、ターメーン星系に攻め込んできたベレベレム連邦の艦隊にクリシュナ単艦で奇襲攻撃するついでに「歌う水晶」をテープで括り付けた対艦反応魚雷を中枢に打ち込み、大量発生した結晶生命体に艦隊を襲わせ壊滅的打撃を与えた(さらには、その大混乱の最中に再度奇襲し、約250隻の敵艦の5分の一を沈めた)。
この世界では生態に関することの大半が不明だったが、ヒロはゲーム知識から群れの中枢である惑星クラスの巨大結晶生命体「マザー・クリスタル」の存在などを知っており、(もちろん、情報の出どころは誤魔化したが)結晶戦役でセレナ達帝国軍にも情報が共有され、戦役での勝利につながった。
なお、残骸からとれる結晶体は様々な素材に転用できる資源でもあり、結晶戦役でヒロに倒されたマザー・クリスタルの体は後世に至っても資源惑星として利用されている。
- ASXー08 Krishna(クリシュナ)
孝弘がSOLのイベントで手に入れた高性能の小型宇宙船。定員は5名。
設定上は「一世代前のハイエンド軍用機の横流し品を原形をとどめないレベルで魔改造した」となっているが、あくまでSOLの設定でありこの世界では同型機の存在しない事実上のワンオフ機。ジェネレーター出力が大型艦並みという化け物船であり、機動性やシールド出力もずば抜けている。このジェネレーターはこの世界では再現不可能な半ばブラックボックス扱いであり、もしジェネレーターが損傷すれば修理できないため廃艦するしかないというリスクもある。
武器は武装腕に取り付けられているため可動範囲が広い上、同サイズの船ならシールドごと一撃で破壊する軍用の重パルスレーザーが四門、射程は短いが近距離で絶大な威力を発揮する散弾砲「キャニスターキャノン(劇中ではシャードキャノンとも呼ばれる)」二門、弾薬費が高いが大型艦も沈められる対艦反応魚雷四発と非常に火力が高い。
限定品だけあってヒロ曰く「小型艦の機動性に重巡洋艦級の火力を併せ持つヤベー奴。条件次第では戦艦級も撃破できる」で、ヒロの技量も合わせると一騎当千の「最強宇宙船」と化す。
重パルスレーザーを使用する際は武装腕が展開するので「腕付き」とも呼ばれる。
ミミを引き取ってしばらくして、宙賊退治で稼いだ大金を使い、最高級の自動調理器「テツジン・フィフス」をはじめとして、寝具、入浴設備、空調などの内装を最新鋭の高級品に交換したため、豪華客船並みの居住性を持つようになっている。
純粋な戦闘艦であり、カーゴの容量や居住スペースが小さいのが欠点。そのため、ブラックロータス購入後は戦闘に専念するようになっている。
- TMPA-13 RIKISHI mk-3
ヒロがSOLで愛用していたパワーアーマー。クリシュナと共にこの世界に転移してきた。
両掌の電流放射装置『HARITE』、脚部の衝撃増幅装置『SHIKO』、両肩部のレーザーガンの『SHIKI-RI』、シールドを張りながら体当たりを行う『BUCHI-KAMASHI』など、多彩な内蔵兵器、機能を持つ重装甲パワータイプ。
ずんぐりとした見た目と上記の機体名や内蔵兵器のネーミングの通り、モチーフは力士なのだが、見た目やネーミングとは裏腹に非常に高性能。SOLでは最強クラスのアーマーとして愛用者も多い人気装備だったが、この世界では同レベルのアーマーは今のところなく、こちらもワンオフ扱いとなっている。
漫画版では若干ではあるがスマートな外見となっている。
ニンジャアーマー登場後は出番が激減している。
- ニンジャアーマー
ウィンダス星系に滞在中にオーダーメイドで発注した軽量型パワーアーマー。
剣で戦うことが増えてきたことから白兵戦向けのアーマーを欲していたヒロが、エルンストに紹介してもらった貴族御用達のアーマーショップで製作してもらったヒロ専用アーマー。
RIKISHIとは逆に隠密性や機動力重視で作成されており、内蔵火器がない代わりにフックショットや対レーザースモーク展開機能、迷彩機能を装備。戦闘は生身でも使用している剣やレーザーガンを用いる。
名称は忍者っぽい見た目からヒロが命名した。
- ブラックロータス
スペース・ドウェルグ社製の中型母艦「SDMS-020 Skizbrazunil(スキーズブラズニル)」をベースとしてカスタマイズされた一行の新たな母船。カーゴの要領も大きく、速度は遅めだが重装甲型。メイが自分の陽電子頭脳で制御することを前提として作られている。ドッグはクリシュナクラスの小型船を2隻まで収納できる。
当初の予定では非武装の防御型になるはずだったが、もっとヒロの役に立ちたいというメイの強い要望と交渉により、重武装の砲艦も兼ねるように製作された。
メイン武器は大型EML(いわゆるレールガン)。この世界のEMLは射程や威力は高いのだが、レーザーと比べて弾速が遅めなことと砲身が固定されて狙いにくいために命中率は悪く、使用者がほとんどいない、いわばロマン砲の類として扱われている。しかし、高い演算能力を持つメイが制御することで命中精度は大幅に上がっている。他にも中口径レーザー砲やシーカーミサイルを多数装備しており総合的な火力や射程はクリシュナ以上。しかも武装の全ては普段は装甲で隠されているので、非武装船と思わせて油断させたところで武装を展開して叩くという「釣り」にも使える。
内装面もテツジン・フィフスを入れるなどクリシュナ同様のグレードに引き上げられているため客船の真似事もでき、カーゴが大きいため輸送はもちろん宙賊戦での戦利品を大量に回収でき、ドッグの設備が最新なのとティーナ&ウィスカの腕がいいため損傷の小さい宙賊船を回収・修理して売り捌くことも出来たりと、クリシュナとは違い既存技術で製作されているが、最先端の技術を惜しみなく投入した結果、ある意味クリシュナ以上の「最強宇宙船」と言えるチート艦となっている。
アントリオン購入に合わせて、装備のいくつかが軍用のものにアップデートされている。
- ISCX-317 Antlion(アントリオン)
戦力の底上げのため、グラッカン帝国軍御用達の大手シップメーカー「イデアル・スターウェイ社」から購入した最新の中型船。エルマが操縦することになる。
最大の特徴として、超光速ドライブ(いわゆる単距離ワープ)の発動を阻害できる「グラヴィティ・ジャマー」という最新鋭の電子装備を持っており、敵艦の逃走を阻止することが可能。
また、この時点でヒロは軍用装備の販売許可が降りていたため、シーカーミサイルポッド二門、軍用のクラスⅡ(中口径)高出力レーザー砲二門、主砲として同じく軍用の高出力レーザービームエミッター(長時間レーザーを照射するいわゆるゲロビ砲)と、高性能の軍用装備中心に組まれており、宙賊の小型・中型船向けに特化している。
なお、当初はブラックロータスに収納できるサイズの小型船を検討していたが、要求するスペックに満たないためそこは諦めており、平時はブラックロータスのドッキングポートを介して接続している。