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グノーシス主義

ぐのーしすしゅぎ

グノーシス主義はヘレニズム期の地中海地域あたりで流行した宗教運動。
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概要

 「グノーシス」とはギリシャ語知識認識を意味する語( Γνῶσις )より派生し、このグノーシスを獲得し救済を得ようとする思想である。考え方の特徴として物質の二元論があげられる。
 狭義ではキリスト教にこの考えを適用したもの、とされる。

詳細

 これだけ見るとインドにおけるヒンドゥー教仏教と似ていなくもないためエレーヌ・ペイゲルス( プリンストン大学教授、グノーシス主義文献研究家の第一人者 )のように、「イエスの教えと東洋の教えを混ぜたものがグノーシス主義だ」と主張する人も存在する。
 しかしながらグノーシス主義は反宇宙論( 宇宙自体は善なるものではなく、むしろであり、受け入れるべきではないという思想 )・反造物主( 造物主狂った下級の神であり、従うべきものではないという思想 )という点でヒンドゥー教と異なり、邪悪なものだとしても造物主を認めるという点で仏教と異なる。
 また、神秘主義の一つの流れとして知られ、錬金術魔術資料ともなるヘルメス主義は、神話やプラトン哲学さらには聖書の思想を用いることで類似するが、この考えは反宇宙論的な考えを持たない。
 むしろこの思想自体はの存在を哲学的に考えた結果の思想ではないかと推測される。

グループ

 グノーシス主義にはヴァレンティヌス派やセツ派など多くのグループが存在したとされるが、それぞれで創世神話や世界観が異なっており、それらは「宗派」というよりも「グノーシス系の諸宗教」と呼んだ方が正確かもしれない。
 また実践においても修道士顔負けの禁欲的生活をするものがあれば、道徳をかなぐり捨ててフリーダムにやっていくものもあった。

グノーシス主義と他の宗教

 グノーシス主義には外部の神話伝説の登場人物や神々を取り込んで換骨奪胎していく指向があり、しばしば「反宇宙論・反造物主」の思想に基づいて元の神話では善なる存在であったものが悪魔邪神に過ぎず、逆に元の宗教で悪だったものが実際には善なる存在に置き換えられるとしている。

キリスト教での事例

 キリスト教徒においてもこの換骨奪胎は容赦なく行われており、神の子であるとされるイエス・キリストも彼ら流のアレンジを受け、下級の創造神であるところのデミウルゴスヤルダバオート( ヤハウェYHVH、グノーシス的には悪の神 )の子ではなく、グノーシス主義の奉じる至高者の使者と位置づけられた。
 また彼が地上で人々に教えを説いてきたのも、十字架にかかったのも仮の姿であるという仮現説( ドケティスム )も説かれたとされる。
 トップ画像はグノーシス主義文書『ユダの福音書』のワンシーンであり、キリスト教においては裏切者であるとされるがグノーシス主義においてはイエスの善き弟子であったとされるイスカリオテのユダイエスが教えを授ける場面である。

置かれた状況

 グノーシス主義は当初キリスト教に取り入れられ、互いに影響を与えたたと思われるが、興隆期にキリスト教主流派と競争関係となり、古代の教父たちは積極的にグノーシス思想の論駁を試みたとされるが、結果的にキリスト教系グノーシス主義は主流キリスト教に異端とみなされ、歴史の表舞台から姿を消した。
 それに伴いテキストなどは異端記述した偽書とされ焚書が行われたとみえ、その全貌を調査するには困難が生じ、「彼らを批判したキリスト教系人物の引用」( ただしそれは偏見を含むものである )から推測するしかできなかった( 現代においては写本のいくつかが発見されたため、研究は大きく進んだ )。
 また、いわゆる道徳フリーダム団体は下層階級に支持された傾向があるものの、彼らは長く支持を受けることができず、比較的中上位階級が支持することが多かった禁欲的団体結婚繁殖を禁止し、子孫をなしえないため後継者を得ることが困難であった。
 一方信者層において奴隷女性から貴族階級までカバーし、深遠な神学だけでなく誰にでもわかるシンプルなメッセージ性も備えていたキリスト教は順調に信者を増やし、やがて世界宗教にまで成長を果たすことになる。

現代におけるグノーシス

 宗教伝統としてのグノーシス主義はいったん途絶えたが、グノーシス主義者を名乗るグループが現代にも誕生している。これは既存のキリスト教・主流派教会への不満・反感からか妙に持ち上げられることもしばしば。

教派に関して

 この宗教、あるいは思想に関しては複数の種類が存在する。大きく分けて西方系列と東方系列の2種類に分けられ、西方グノーシス主義は異端として壊滅したと思われる。
 また、生き残りとしては東方グノーシス主義とされるマンダ教( イラクの南部に信者が現存し、アメリカ等にもコミュニティが存在する )が知られ、またマニ教( マニが3世紀ごろゾロアスター教をベースとして各種宗教を取り込んだと思われる宗教、西方ではキリスト教やイスラム教に追われる形で失われ、また東方では弾圧もあり15世紀にはほぼ消滅した )もこの思想を伝えるものとして知られる。
 もともとグノーシス主義は単なる思想であったせいでそれぞれの価値観に合わせ多義的な使い方ができるせいか、教父時代の悪夢が残っているのか、カトリック教会が出している『ニューエイジについてのキリスト教的考察』ではニューエイジ思想( それ自体はグノーシス主義の主張する反宇宙論・反創造主思想とはことなり、神智学に基づくにも関わらず )「現代のグノーシス主義」と位置づけられ、警戒しているようである。

関連タグ

アイオーン ペルフェクティ
ヤルダバオート デミウルゴス

参照

wikipedia:同項目

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