概要
CV:川村万梨阿
神坂一著「スレイヤーズ」シリーズのうち、「スレイヤーズすぺしゃる」「スレイヤーズすまっしゅ」(本編の2~3年前頃の設定)及び劇場版に登場するキャラクター。
角川つばさ文庫から刊行されたリメイク版ではガウリイ=ガブリエフも交えた三人で旅をしている。
主人公「リナ=インバース」の周りに神出鬼没で現れてはまとわりつく謎の美女。年齢はリナより4~5歳上。
リナ曰く「金魚のうんち」な奴で、近寄らせたくない存在となっている。
自分他人を問わず、血を見ると「はうっ。」と悲鳴を上げ気絶するのだが…。
外見
成長期のリナに比べて、背が高く成熟した女性らしいスタイルの美女であるのだが、「水着の方が露出度低いんでやんの」と言われる程にやたらと露出度が高い上に髑髏のアクセサリーや棘だらけのショルダーアーマーなど悪趣味(リナの意見)な黒革のビキニアーマー風のコスチューム(俗に言う「何百年も前に流行った悪の女魔導士ルック」)がトレードマーク。
額飾り以外に白蛇の要素は欠片も無い。むしろ、黒や紫のイメージが強い。
初期には《千の偽名》というナーガの男版みたいないかにも悪そうな外見の魔導士がおり、リナは当初《千の偽名》の奥さんがナーガではないかという疑惑をかけていたが、《千の偽名》曰く「なんだその変なオンナは」との事で、別人の模様。
リナの初対面の印象は「服装はさておき知性を湛えた黒い瞳が特徴的なすごい美人」。お尻もほぼむき出しになっており、彼女が初登場した「スレイヤーズすぺしゃる1 白魔術都市の王子」の表紙では、それだけはあかんやろという部分まではみ出ているようなイラストが掲載されていた。
その外見故に風俗嬢と間違えられることも多々あり、ゴブリンと出会った際には人間とすら思われていなかった。
裸同然の衣装のため、低年齢層に向けたリメイク版ではビスチェ風にデザインが変更されており、尻もタイトスカートで覆われている。
これだけ聞くと凄いドスケベキャラに聞こえるが、それを遥かに上回るポンコツ・ギャグ・変態属性のせいでごく初期を除きロクに性的な目で見られてないのが現状である。
まさしく、スレイヤーズの女性キャラクターの中でもこれ以上無いと言える程の「残念な美人」であると言えよう。
人物像
登場する際には、大概「ほーほっほっほっほっほ!」と高笑いをしてから出てくる。
目立ちたがり屋でナルシストなため、一見ものすごく頭が悪いように思えるが、意外にも記憶力は高い。知識も豊富で、リナが知らないような政治関係にも精通している。(これについてリナは「悪の魔道士互助会とかいうものでもあるんじゃないか」と想像していたが、後述の出自を考えれば政治に詳しくて当然とも言える)
加えて自我が凄まじく強いので、催眠や洗脳などの精神干渉系の攻撃に対しては完全とまで言えるレベルで耐性を持つ。敵に操られているように見える時は大抵「報酬に釣られて操られたフリをしている」だけである。
しかし、その溢れる知性や精神力の高さは言動には反映されず、後先考えずにというか衝動的にというか思い付きのままに行動する有様は、「目的のためなら手段は選ばない」ですらなく、「手段のためなら目的は選ばない」という表現がふさわしく、ある事件でリナと敵対した際、ゲストキャラがナーガの行動原理について「そんなに見境の無い人なんですかっ!」と非難し、それに対してリナが「見境がないんじゃなくて、目先までしか見えないのよっ!!」と返答したことすらある。また、ちょっと考えたら分かるような詐術にコロッと引っ掛かることも珍しくない。
基本的にそんな言動ばかりなので読者からは「非常識と不条理が服着て歩いているようなキャラ」と思われがちだが、実は最初期には自分の非常識さを棚に上げて、「私はちゃんと仕事をしたのに報酬がもらえないなんて理不尽だ」と嘆くリナに「自分の非常識を社会の不条理に置き換えないで」と説教していたりもする。
話が進むにつれ芋虫や木の根にコネを作ったり、クラゲに芸を仕込んだり、リナですら解読できなかった亜人族の言語でペラペラしゃべったりと人間離れした技を見せるようになる。
何故だか妙なカリスマ性があり、彼女を師と崇める弟子が何人かいる。そのカリスマ性は人間のみならず、偏食我儘無分別エルフにも影響を与えている。
見た目からは想像つかないが、実はリナやガウリイに並ぶ大食漢。その為、食い物に釣られて敵側についた回数は数知れず。
よく二人で食事の代金を賭けて大食い勝負をしている。酒にそれほど強くないリナと違い、かなりの酒豪。ウィスキーやらブランデーやらワインやらをジョッキでかぱかぱ空ける。味覚も鋭く、混ぜ物をされたワインに何がどれだけ混じっているのかを正確に言い当てている。
温泉マニアでもあるようで、湯の肌触りと匂いからそれが入浴剤を調合したもので、天然の温泉ではないことを見抜き、さらには前述の味覚の鋭さもあって、湯を一舐めしてどの入浴剤をどういう割合で調合したのかを割り出している。
能力
見た目からしてどう見ても肉体派(エロい意味ではない)ではなく(上述の登場の際、出現場所が高い屋根の上だったりすると、高確率で高笑いの最中に足を滑らせてやたら痛そうな音を立てて滑り落ちる)、剣術も出来るリナと比べると肉弾戦(白兵戦)は「カラッキシ」だが、黒魔法はもちろん、リナが苦手にしている白魔法系や高位の精神系精霊魔法に召喚魔法も得意である。
また腰につけてる剣は見た目重視と思われがちであるが簡単な魔法なら弾き飛ばせる魔力剣である。(ただし前述の通りの体術の腕前のためにあまり役に立っていない)
リナが炎や爆裂の呪文を好むのに対し、氷の呪文を好んで使用する。
単純な魔法の才能ではリナさえも超えるが、如何せん集中力の欠如と彼女の性格の問題で失敗することも多い。
とは言え、得意な氷属性の魔術や白魔術などを扱う時には超強力な魔道士である。スレイヤーズ世界の魔道士として見ても十分上澄みである。
特に召喚系の呪文やゴーレム作成系の呪文ではよく暴発・暴走を起こしている。ゴーレムの暴走についてはデッサン力の無さも一因。龍型のそれを作れば、頭部がでかすぎて動くことすらままならず、人型のそれは脚部の左右の長さが違い、一歩踏み出した途端にバランスを崩してひっくり返る、など(本人は「美意識の違いね」の一言で済ませている)。
まあ、人型についてはちゃんと作れないこともないが(一度、ロボットアニメに出てきそうなデザインの人型ゴーレムを作ったことがある)。
また召喚魔法そのものはたとえたいした物では無くても難易度が高い魔法でありドラゴンクラスを召喚できるのは魔道士としてはすごいらしい。
外見や性格にそぐわず、家事全般を人並み以上(というかプロの家政婦並み)のレベルでこなすことができる。特に料理は郷里の姉ちゃんにみっちり仕込まれたリナと張り合えるほど上手い。いかにもメシマズそう、とんでもない味の料理を作りそうだが、人は見かけによらない。ちなみに料理以外で得意な家事は洗濯物干しとベッドメイク。
また、人物画が得意と言う意外な一面が有り、羊皮紙の切れはしと木炭だけで見事なリナの似顔絵を描いた事もある。
衣装はほぼ裸同然だが、リナからの頻繁な暴行や魔法攻撃を受けてもギャグキャラ補正で大体の困難には耐え抜いている。今でこそ攻撃魔法で吹っ飛ばされても数分程度で何事もなかったかのように復活するが、最初期には自分のミスで起きた火災に巻き込まれて大やけどを負い、包帯ぐるぐる巻きになって、リナの介抱の元、ベッドで養生していたりする。
性格と身体能力の低さと服装を除けば割りと完璧超人ではある。その性格が一番の問題であるのだが。
劇中でネームドの敵を倒す機会は余りない(これは彼女が直接的に戦って倒すより彼女の実態を知らないゲストのネームドの敵キャラが安易に味方に引き込んだ結果、ぶっ飛んだ行動に振り回された挙句に自滅することが多い為)が、登場初期にはプロの暗殺者師弟を容易く倒すなど活躍を見せている。
その正体は…。
※ ネタバレ注意
作中での明言は慎重に避けられているが、本名はグレイシア=ウル=ナーガ=セイルーン。
白魔術王国セイルーン王家の第一王位継承者フィリオネル(フィル王子)の長女であることが、読者に対して丁寧に暗示されている。
彼女のほぼ裸に近い衣装は、亡くなった母親、つまりフィリオネルの亡き妻の隠された趣味であるらしい。
リナはナーガがアメリアの姉である事を知らないので第1部のラストでアメリアと別れる際、グレイシアが常識的な人物である事を願っているのだが、その期待は見事なまでに「粉砕」されてしまった…。
なお、現在まで本編及び外伝にてナーガとアメリアが同時に登場した事はないが、『スレイヤーズVSオーフェン』では顔を合わせている。その際、ナーガは仮面を着けており「奇妙に動揺」してはいたが、アメリアは特に何も気づかなかった様子である。
ドラマCD「えぴろーぐ おぶぷれみあむ」では、ゴーレムの中にいるので姿は見えないが、アメリアはナーガの声を聞いたことのあるような声だと言っている。
「スレイヤーズろいやる2」では、アメリア以外の第1部の本編キャラと共演しているが、シナリオの関係上、本編キャラとの会話は少なく、内容もよそよそしい。
また、ゼルガディス登場の頃には記憶をなくしていたのでかなりマトモな発言をしていた。
アメリア関連以外でナーガがフィリオネルの長女である事を暗示している場面としては、リナが「平和主義者直伝」の攻撃を行った際、妙に動揺していたことなど。
アニメ版無印第17話にはナーガと思しき通行人が登場しており、アメリアが微妙に反応を示していたような描写がある。
原作者によると、グレイシアは王宮では高貴で朗らかな笑い声が評判の淑女で、お家騒動で母親が暗殺者ブーレイに殺され母を守れなかった力不足を嘆き、母の形見の衣装を身につけ修行の旅に出たとのこと。
案外彼女の弱点もその辺が由来なのかもしれない。
ナーガがセイルーン王家の関係者である設定は早い段階で決まったようで、実は長編4巻で起きたセイルーンお家騒動のエピソードにナーガを登場させる予定があった。しかし、説明ゼリフに尺を取られるという理由で代わりに生み出されたキャラクターがアメリアだったということである。
クロスオーバー
2016年1月のコラボイベントにプレイアブル参戦。
2020年12月のコラボイベント第1弾ではナタリアに意識が憑依しての登場に留まったが、2022年12月のコラボイベント第2弾でゼロスと共にプレイアブル参戦。
魔鏡技は「霊呪法」。
リビングアーマーのナーマ
アニメ版『スレイヤーズEVOLUTION-R』でナーガと声や言動が似ているリビングアーマー(生命を吹き込まれた鎧、創作物ではさまようよろいなどで有名なモンスター)のナーマが登場する。
女性用の全身甲冑に魂が封印されており、なかなかスタイリッシュでカッコいい外見をしている。頭部からはポニーテールを思わせる紐飾りが付いている。
元は人間だったのだが、宝探しをしている際に「冥王の壺」に触れてリビングアーマーになったらしい。
それ以外の記憶はなく、名前もあやふやだが、回想シーンの影はナーガと酷似しており、同一人物を暗示させる。
ちなみに、彼女が「冥王の壺」に触れるよう仕掛けたのはゼロスらしく、ナーマの名前を聞いた時に意味ありげなセリフを呟いていた。
主に氷結系や召喚系の魔法を使用し、展開した体の各所から攻撃呪文を放ち、その上、その鎧にはマジックコーティングが施されている為に生半可な攻撃魔法では破壊できず、たとえ強力な攻撃が当たっても体を分解して衝撃を分散させ、瞬時に体を結合することができる等リナ達をかなり苦戦させた。
「冥王の壺」の在り処を僅かに記憶していたのでリナ達を様々な場所に案内するが、肝心の記憶がいい加減なのでリナ達を散々振り回す。
その反面、アメリアの危地には我が身の危険も顧みずに庇う、彼女と家族の話で盛り上がる等の繋がりを見せる。
暗殺者に強い憎悪を持っているらしく、ズーマが暗殺者だと判ると見境無しに攻撃呪文を撃ちまくった。
最後は自分の魂が詰め込まれた「冥王の壺」を獣神官ゼロスに壊されたことにより、みかん箱に入れられた元の肉体へと戻った。
なぜか、ミカン箱に入っていたナーマの本体である人物がえんえんと聞き覚えのある高笑いをしながらズームアウトしていく演出が取られた。
箱に入ったままカメラアウトするために人間にもどったナーマの姿は見えず、実際その正体は謎のままとされた。
ナーマのその言動が、ある人物に酷似しており、リナ曰く「条件反射的に手が出る」。
関連イラスト
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