曖昧さ回避
- 百田尚樹の作品。本項で解説。
- 茅野カエデに付けられたあだ名。詳しくは彼女の項にて。
- 彼女に限らず、女性のある部分に関してもはや成長が見込めない様を言う時もある。「永遠に0」も参照すべし。
- プロ野球において、打率が絶望的に低いバッターのことを指す。主に主演の岡田准一と同じ姓名の岡田幸文に呼ばれる。
概要
永遠の0は2006年に百田尚樹が発表した彼のデビュー作であり、代表作の一つ。太平洋戦争(大東亜戦争)中の零戦とそのパイロット達、そして特攻が話の中核になっている。
2009年に文庫化された後に名が広まり、2012年にはミリオンセラーに、2013年には300万部の売上を突破し、文庫本としては史上最多の販売部数を記録した。
歴代のタイトルで300万部超えは、オリコンの書籍全部門を通し、コミック部門の『ONEPIECE』(51巻から70巻までの計20作で獲得)に続いて史上2例目となり、2014年1月には累積売上部数がBOOK(総合)部門、文庫部門、コミック部門の全部門を通じた歴代1位である376.5万部を記録し、これまでの最高だったONEPIECEの第61巻が記録した371.8万部(2011年2月)を超えた。
現在では既に500万部を突破しており、600万部突破にも迫っている。
なお、いわゆる純文学ではない。百田は「純文学くらい簡単なものはない。 とにかく比喩と暗喩をそこら中にぶちまけて、ストーリーを訳のわからんものにして、オチがないものにしたら、ええんやろ。 そんなもん誰でも書けるやん。けど、売れへんけどね。」 と純文学嫌いを表明している。
2010年に、本そういち(須本壮一名義)作画で漫画化され、こちらも発行部数100万部を超えるヒット作となった。
詳細⇒永遠の0(漫画)
さらに2013年には、山崎貴氏が監督・脚本を務め実写映画化され、週末興行成績ランキング8週連続第1位を獲得するなど、空前の大ヒットを記録し、のちに発売されたDVDとBlu-rayDisc(以下BD)が、それぞれ8月4日付けのオリコン週間DVDおよびBDランキング(集計期間:7月21日〜27日)に初登場し、DVDは総合首位、BDは総合2位を獲得し、売り切れが続出した。
2015年には、向井理主演でテレビドラマ化され、テレビ東京にて2/11,14,15の三夜にかけて放送された。尺の都合上カットされた部分もあるが、映画版と比較すると原作に忠実に作られている。
テレビ東京は山手線で大規模な広告を打つなど巨額の宣伝費用を投入したが、全国放送ではないため放送されていない地域もあってか、『ビデオリサーチ』の関東地区調べでは、視聴率は第1夜が9.0%、第2夜が7.5%、第3夜が9.9%といずれも2ケタには届かなかった。
一部で「惨敗に終わった」という声もあるが、テレビ東京の高橋雄一社長は「非常によく作られていたし、こうした骨太のドラマをやりきったという点では評価している」と前向きなコメントを出している。
また、その後に発売されたドラマ全3話のDVD・BDは大変好評で、上述したようにドラマが放送されていない地域の人々や、見逃してしまった人には大変ありがたいようで、売り上げを伸ばしているという。
ストーリー
大学生の佐伯健太郎と、出版社に勤める姉の慶子は、亡くなった祖母・松乃の四十九日から暫くした頃、祖父・賢一郎から自分は実の祖父ではなく、本当の祖父は太平洋戦争中の海軍航空兵であり、特攻作戦で死亡した人物だったと告白される。
その後、司法浪人が長く続き人生の目標を見失いつつあった健太郎だったが、フリーライターとなった慶子から、新聞社で主宰される終戦60周年記念プロジェクトとして特攻隊員だった実の祖父・宮部久蔵のことを調べることになったため、そのバイトとして協力することを頼まれる。姉弟はわずかな情報を元に宮部の足取りを追い始め、彼と関係のあったパイロットの生き残りたちを訪ねて回る。
「海軍航空隊一の臆病者」「何よりも命を惜しむ男だった」と蔑まれる一方で「凄腕の零戦乗りだった」「生き残るべき人物だった」とも言われ、謎が深まっていく祖父の実像を追い求める中で姉弟は戦時下の日本と、そこに生きていた人々の真実を知っていく。
そして最大の謎、「何故、宮部は特攻を選んだのか」。その真相へ二人は近づいていくことになる。
登場人物
戦中パート
※○○版:戦中/現代
映画版:岡田准一
ドラマ版:向井理
戦中パートの主人公。現代パート主人公佐伯健太郎の実の祖父。祖母松乃の最初の夫で真珠湾攻撃の前から海軍で零戦のパイロットとして戦っていたが特攻隊に志願し戦死した。
本作は彼の足跡をたどりつつ、なぜ彼が特攻隊に志願したのかを探る形で進んでいく。
映画版:井上真央
ドラマ版:多部未華子
健太郎の祖母で、宮部の妻。 夫を亡くした後、賢一郎と再婚した。現代パートではすでに故人。
健太郎の義理の祖父で、現代パートでは引退しているが国鉄職員から弁護士に転職して社会的弱者の立場に立って仕事をしていた人物だった。健太郎はそんな彼に憧れ弁護士を目指していた。
映画版:平幹二朗
宮部の同僚だった元海軍少尉。宮部のことを「海軍一の臆病者」と語る人物の一人で健太郎たちが最初に訪ねた人物。
宮部の同僚だった元海軍飛行兵曹長。ラバウル航空隊で彼の部下として共に戦っていた。
現代パートでは末期ガンであるが、健太郎たちに宮部のことと自分たち零戦パイロットについて語る。
宮部の同僚だった元海軍中尉。戦後、一流会社の社長まで勤め上げた男で特攻要員だった時に宮部から教官として指導を受けていた。
特攻隊を【テロリスト】とする高山に激怒し、真っ向から対立するシーンがあるが、映画版のみカットされている。
宮部の同僚だった元海軍上等飛行兵曹。元ヤクザであるが現代パートの時点では引退している。空戦が得意であり、パイロットとしてプライドを持っていたため宮部のことはライバル視していた。
宮部の同僚だった元海軍中尉。空母赤城に宮部と共に乗り込み、共に真珠湾からミッドウェーまで戦っていた。宮部の考え方には否定的ではあるが、腕は本物だったと認めている。映画版のみ未登場。
宮部の同僚だった海軍整備兵曹長。映画ではカットされているが宮部とは碁を打つこともあった。
宮部の同僚だった元海軍中尉。宮部と共に空母瑞鶴に乗り込み、フィリピンで戦っていた。映画版のみ未登場。
宮部の同僚だった元海軍中尉。飛行予備学生として教官だった宮部から指導を受けていた。映画版のみ未登場。
宮部の同僚だった元海軍一等兵曹。戦時中は通信員を担当しており、宮部が最後に飛び立った鹿屋基地から飛び立った特攻隊員の名前をすべて自分のノートに控えていた。映画では未登場の人物。
実在人物
いずれも映画版・ドラマ版では未登場。
大空のサムライの渾名で有名な伝説のパイロット。作中ガダルカナルでの死闘から奇跡的に生還する様子が描かれた。
坂井と同じく有名な撃墜王。漫画版において、ガダルカナルでの戦闘で非常に慎重な宮部を臆病と捉えていた他の搭乗員達を一喝し、宮部を見習うよう話す場面がある。
撃墜王では珍しい海軍兵学校出身の搭乗員。
ミッドウェー海戦で長官として宮部達が乗り込んだ空母赤城を始めとした南雲機動部隊を率いて指揮を執った海軍大将。
ミッドウェー海戦で戦った空母飛龍の艦長。宮部と同じ意見を南雲大将に進言していた様子が描かれている。
現代パート
映画版:三浦春馬
ドラマ版:桐谷健太
現代パートの主人公。戦中パート主人公宮部久蔵の孫。司法試験浪人生で気力を無くしていたところに、実の祖父宮部のことを知り、姉と共に祖父について調べることになる。
映画版:吹石一恵
ドラマ版:広末涼子
健太郎の姉で、ジャーナリスト志望。健太郎に祖父を調べることを頼み込んで一緒に調査を始める。
映画版:風吹ジュン
ドラマ版:高畑淳子
健太郎と慶子の母。自身の実父について調べる二人を暖かく見守る。
ドラマ版:山口馬木也
新聞記者で慶子の仕事のパートナー。特攻隊に関する特集を企画している。特攻隊を【テロリスト】と称し、健太郎から嫌がられる。映画版のみ未登場。
ドラマ版:原田泰造
鉄工所経営者で、以前健太郎の義祖父賢一郎の事務所に勤務していた。良心的な人物。原作版・ドラマ版のみ登場。
漫画版にのみ登場。宮部の同僚だった伊藤寛次の孫の同級生。大学一年生。戦時中の話をしっかり聞いておくことを『とても大切な事』と考えている。愛らしい容姿の少女で、健太郎を慕っており健太郎も彼女に惹かれるようになる。
関連動画
映画版予告