概要
1952年5月11日生まれ。富山県八尾町(現在は富山市)出身、小学生から中学2年生まで同県高岡市で育ち、その後京都市に転居した。
現在はパパドゥ所属。
富山県出身の父と大阪府出身の母のもとに生まれる。父は京都大学出身の高校教師であった。
物心ついた頃にはすでに家庭内の空気は冷え切っており、小学5年生の時に両親が離婚。母に引き取られるが、中学2年生のときに母親から育児放棄され、3歳上の兄とともに親戚を頼って京都市山科区の貸家に転居。以後は極貧生活を送ることになり、働く兄に代わって家事や家計管理をしていた。
母が難色を示したため高校には進学せず、京都市内で働きながら一人暮らしを始める(『ファミリーヒストリー』に出演した際には「高校入試の当日、会場に突然母が現れ『一緒に暮らさない?』と言われたと語っている)。
18歳になった1970年、自分の可能性を試したいと思い上京。飲食店などに勤めたあと、同年秋頃に銀座の高級クラブ「徳大寺」のホステスとなった。
その後客からスカウトされ、モデルとしてデビュー。本人は当初芸能事務所の事務員として働くものだと思っており、芸能界は特に考えていなかったという。
デビュー時のプロフィールでは「京都市立日吉ヶ丘高等学校卒」となっており、年齢もホステスとしての経歴を隠すため2歳サバ読みしていた。
芸名は、「風が吹くように現れた」から「風吹」、「ジュン」は撮影でハワイを訪れたのが6月だったことから「ジューン(June)」と、語呂の良さから付けたものとのこと。
1973年、初代ユニチカ・マスコットガールに選ばれデイヴィッド・ハミルトン撮影によるポスターが話題となり、一躍スターとなった。
1974年、「愛がはじまる時」で歌手デビュー。歌唱力の評価こそイマイチ(本人も音痴であることは認めている)だったが、アイドルとしてますます人気を博した。
しかし、事務所移籍にあたってのトラブルで、暴力団の介入により誘拐・失踪など警察沙汰にまで発展したこと、同時に風吹本人の学歴詐称・年齢詐称や、CMの二重契約問題などが明らかになり、芸能界から干される状態となる。
1975年、樹木希林(当時は悠木千帆)の紹介で、テレビドラマ「寺内貫太郎一家2」(TBS)に出演し女優としてデビュー、次第に人気も回復する。以降も事務所トラブルはしばらく続いたが、女優活動に尽力し、評価を確立させていった。
また、移籍騒動で「清純派」のイメージが崩れたことをある意味では逆手に取り、ヌードなどにも果敢に挑戦するようになる。1979年の映画「蘇える金狼」(角川映画)では激しい濡れ場を披露し大きな話題を呼んだ。
1982年、ヌード写真集「絹の風」(デイヴィッド・ハミルトン撮影)が話題となる。
1991年、映画「無能の人」(松竹富士)に出演。日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。
若い頃は愛らしい容姿から華やかでコケティッシュな役柄で知られたが、離婚後は自然なキャラクターを活かしてさっぱりした、穏やかな性格の中高年女性を多く演じており、様々な作品で母親・祖母役を担当している。
私生活では1981年、音楽プロデューサーの川添象郎と結婚。一男一女をもうけるも、川添が不倫相手との間に子どもができたことを理由に1992年に離婚した。
その後はシングルマザーとして子ども優先に仕事をするようになり、仕事を選ぶにあたっても「子どもたちが見て喜ぶような作品、見て喜ぶような役柄」を重視しているという。
母からは幼少期から厳しく当たられるなど長年確執があったものの、風吹に子どもが生まれたことから少しずつ関係に変化が生まれ、母の晩年には完全なる和解には至らなかったもののお互いの心情をある程度理解できるようになったという。
また、父とは離婚後一度も会わず、八尾町を訪れることもなかったが、60代になってから同じく八尾町出身である柴田理恵と共演したことを機に2人で来訪し、父とも再会を果たした。
事務所移籍騒動
デビュー当時はなかにし礼の兄・正一がイラストレーターの前田亜土に社長をさせていた芸能事務所「アド・プロモーション」に所属していた。
1974年になって「歌も下手だし、(年齢や経歴など)嘘をついているのも嫌だった」という理由や「アド・プロモーション」の月給が安すぎることから、退所を宣言。その後、アド・プロモーションの二倍の給料という条件で「ガル企画」に移籍することにしたが、契約が整理されていなかったことから、風吹を事務所戻したいなかにし兄弟により拉致・監禁され、ガル企画の社員から通報を受けた警察により解放された。
また、この誘拐事件には暴力団が関与していたことが明らかになっており、風吹本人が拉致される直前にガル企画のマネージャーが暴力団員によって監禁され、ガル企画の社長であった石丸末昭も暴行を加えられている。
復帰後に出演した『寺内貫太郎一家』の収録中にも、暴力団風の男が現場に押しかけたが、樹木希林が一喝して追い返したというエピソードがある。