概要
小説家の百田尚樹が手がけた小説作品であり、2016年2月26日に新潮社から出版された。
イソップ物語や動物農場などに代表される、教訓的な内容を他の事柄にかこつけて表したたとえ話である寓話作品でもある。
発売後は累計発行部数が発売から僅か2か月で20万部を突破、更に2017年8月27日には文庫版が発売されて再び売り上げが加速し、双方併せて50万部を突破した。
タイトル通り登場人物は全員カエルであるのだが、内容は戦後の日本社会を風刺した内容となっている。
あらすじ
祖国を凶暴なダルマガエルたちに襲撃され、帰る故郷を失ったアマガエルのソクラテスとロベルトは、安住の地を求めて様々な危機に遭いながら放浪の旅をしていた。
そんな中、彼らはツチガエルたちが治めている平和なカエルの国『ナパージュ』に辿り着いた。
すぐ近くには凶悪なウシガエルたちがいるのに、なぜ平和なのかと尋ねると、ツチガエルたちは『三戒』と呼ばれる規律を守っているからだと語る。
三戒とは
1.「カエルを信じろ」
2.「カエルと争うな」
3.「争うための力を持つな」
という規律であり、この規律こそが平和の源なのだという。
しかし、後にソクラテスとロベルトは、他のツチガエルたちから嫌われている、変わり者で偏屈なツチガエルのハンドレッドと出会い、彼から衝撃の真実を聞く。
実はナパージュが平和なのは、国の上にある大樹に住む大鷲のスチームボートや、外敵から国を守るために常に外を見張っている屈強なツチガエルのハンニバルと彼の兄弟たちが、ウシガエルたちに対し絶えず目を光らせているからだったのである。
やがてナパージュに、『三戒』を破棄するか否かを巡る論争が巻き起こる大事件が発生する。
余談
―現在日本を風刺した鋭く挑発的な作風は評価が高い。しかし、2024年現在皮肉元である日本は着実に現実的平和主義に傾いていっている。
―本作の大ヒットに伴って行われた、百田氏のサイン会において、過激な左派勢力による会場の爆破予告があり、客の避難後に兵庫県警による50人以上で大規模な書店内の調査が行われた。しかし、それにもかかわらず産経新聞など一部を除き大手メディアは事件を全く報道しなかった(サイン会はテロに屈さないという書店側の意向で続行された)。とはいえ、百田氏は一作家に過ぎず、わざわざ取り上げる意味は薄かったともいえる。
―とくに右派勢力からの評価が高い本書であるが、あくまでフィクションであり、現実とごっちゃにするのは褒められたことではない。また個人的に衝突した元友人的論客が悪役のようなポジションで出てきており右派からも一部批判がされた。