「チキュウ人に贅沢など要らないジャ~ン! 贅沢な野郎どもは牢獄行きだって言ってるジャン!」
「ひと仕事済んだ後は、俺様達が贅沢タ~イム!!『ぜいたくヘブン宇宙竜宮城』で楽しもうジャ〜ン!」
データ
概要
惑星チキュウへ複数人常駐しているダイカーンの1人で、チャンプの出身でもあるオウシ座系に属する惑星・キャトルミ出身のダイカーン。「○○ジャ〜ン」が口癖の馴れ馴れしい喋り方をする。
パーリーと女の子が大好きな、宇宙のえせセレブ。
一つ目の顔で上から斜め四方向に突起の突き出た頭部と、エネルギー波動の様な蛇腹状の身体が特徴。その上へ牛の意匠を持ったアーマーを着て、袴を思わせる形状のズボンを穿いている。
キャトルミ星人特有の浴びせた生物を別の場所へ転送する『トラクタービーム』を有しており、更にそれを機械的な方法で強化・コントロールする事に成功。右腰へ下げているリモコンのボタン一つで対象を拠点のモライマーズ内に設けた牢獄へ送り込む事を可能としている。なお、リモコンには牢獄のロックを解除する機能もあるが、同時にダミーのボタンも複数設置されており、それを押すとモライマーズ内のトラップ(侵入者排除用の落とし穴や金ダライ)が作動する。その為第三者が適当に押しても牢獄を解放するのは難しい。
この能力で自身の支配地区内で贅沢(それも恋人とスイーツを食べた、高級品のスーツを買った等ほんの細やかな物ばかり)をしている住民を片っ端から投獄、この仕打ちを持って支配地区に贅沢禁止令を敷く圧政を行っていた。
その一方でユーテルジャン自身は、宇宙を周遊するジャークマター御用達の娯楽施設『ぜいたくヘブン宇宙竜宮城』で配下と共に贅沢三昧して楽しむと言う、自身の圧政を棚に上げた真似をしている。なお宴会パーティでの彼は女の給仕役へ下心丸出しで絡む女好き。ただ女の好みには変な所があり、メイド姿のヒューマン型宇宙人でも乙姫スタイルの獣人(※女装)でも良いらしい。
戦闘では、右腕から出す伸縮自在のムチ『ユーテイル』を使用。ただしこれは本来、トラクタービームから逃げようとする対象を捕縛する道具であり、本人は戦闘向きで無い。
キョダインロウは右脇へ括り付けている。
ある目撃証言によると、ユーテルジャンはオムライスを食べる際に、ケチャップで自分の顔を模したミステリーサークルを描いていたらしい(実際にバランスがユーテルジャンへ持ってきたオムライスにケチャップで自分の顔を模したミステリーサークルが描かれている)。
活躍
いつもの様に支配地区での圧政を行い、贅沢をした住民を次々と見付けて転送・投獄した後、楽しみに待っていた『ぜいたくヘブン宇宙竜宮城』がチキュウへ降りて来たので配下を連れて赴く。だが自身の討伐及び捕らえた住人の開放を目論むキュウレンジャーも動いており、自身の居る宇宙竜宮城へ陽動役のガルとハミィ及び怪盗BN団コンビ(バランス&ナーガ・レイ)が送り込まれ、牢獄のあるモライマーズへは住民救出役のラッキー・スパーダが潜り込む。
その後、給仕役に変装したキュウレンジャー4人がユーテルジャン一行の宴席に出現。給仕のついでに右腰のリモコンをこっそり操作、モライマーズ内の牢獄を開放しようとする。
だが、一番警戒されず接近出来たハミィが別の宴席へ回された為、残ったガル達3人でユーテルジャンをスキルキュータマを駆使した持て成しで贅沢だらけにして足止めする事に。
だが実行した持て成しは悉く裏目に出た(※大体テキトーな思い付きで無茶ぶりな指示を出したショウ司令のせい)上、何とかリモコンへ触れたガルがアンラッキー状態の為次々とダミーのボタンを起動。救出役のラッキーとスパーダは何度も落とし穴のトラップに引っ掛かりモライマーズから放り出された。
余りにグダグダが過ぎる接待や、男ばかりの状況に気を損ねたユーテルジャンは怒って帰ろうとする。するとラプター283がユーテルジャンは女の子が好きでハミィがいなくなってから機嫌が悪くなった事に気づき、それを聞いたショウ司令がオトメキュータマを転送。
だがあろう事かオトメキュータマをガルに使わせた事で、乙姫ルックの女装をしたガルが誕生してしまう(このあんまり過ぎる光景に堪忍袋の緒が切れたラプターは司令に掴み掛かった)。
だがそんなガルを見たユーテルジャンは、「惚れたジャン。俺様とクルリンパで踊ってくれジャン!!」と女装したガルに一目惚れ。たまらずガルの手を取りその場で踊り出す。これにより無防備になったユーテルジャンの腰からガルはリモコンを奪い取り、ラッキーの声援も受けながら二者択一のボタン押しを成功。モライマーズ内の牢獄を解放し、そこへラッキーとスパーダが突入する事で住民達を救出したのだった(ガルがスイッチを奪った際、押して無いボタンは赤と青の2つ。この内で青のボタンを押し、見事成功した)。
一方、直前で起こった出来事の意味が分からず混乱していたユーテルジャンだが、目的を果たしたキュウレンジャー3人が自身の目の前で変装を解いた事で拠点内へ他のキュウレンジャーへ侵入された事に気づき、配下のインダベー・ツヨインダベーをけし掛けて自身は宇宙竜宮城から一目散に逃げだす。
しかし仲間が作戦を成功させた事を知って駆け付けたハミィ/カメレオングリーンが戦闘員を一手に引き受けたので、すぐにガル達3人に追い付かれた上ラッキーとスパーダも合流してくる。結局その流れでキュウレンジャー5人と交戦、テンビンゴールドとヘビツカイシルバーの連携を貰い憤慨してユーテイルを振り回す。しかしオオカミブルーがキュークローでユーテイルを絡め取って地面へ突き立てた為動けなくなり、更に張ったユーテイルをバネにして懐へ飛び込んで来たブルーに引っ掻かれる。
この不利な状況を打開すべく、自身のキョダインロウでモライマーズロボを起動させ、遠隔操作して加勢させるが、それを予測していたショウ司令がBN団と共にリュウテイオーを完成・対抗して来たので状況はほぼ変わらず。結局その場に残ったブルーとシシレッド・カジキイエローの連携に圧倒される。
最後は3人からオールスタークラッシュを放たれるが、自らの最後を悟った彼は「ちょっと待った!その前に言っておく事があるジャン!俺様と付き合って〜!!」とガルに愛の告白。
そのままガルの元へに走っていくが「ごめんなさいガル!」とアッサリ振られた上でのとどめの一撃を喰らい「ハートブレークジャン…!!」と悲しみの一言を叫び敗北・爆散。
止めの一撃でキョダインロウも壊されてヒカエオローが発動しなかった上、呼び出したモライマーズロボも、ハミィが他の客達を避難させて無人になった宇宙竜宮城もろともリュウテイオーメテオブレイクに貫かれて爆散した。
余談
モチーフはUFOが家畜を連れ去るアブダクション事件・キャトルミューティレーション。よく見ると身体全体が引力光線で牛を誘拐するUFOを象っており、左腕から右腕にかけてに牛の意匠が施されている。加えてアーマーの所々で開いた穴は、連れ去られた牛(家畜)が内臓を抜かれた状態で発見される事を表現していると思われる。
更に、目撃情報で取り上げられているミステリーサークルも、その生成にUFOが関わっているとされる。
今話でのぜいたくヘブン宇宙竜宮城の撮影は、群馬県の水上温泉「源泉湯の宿 松乃井」の全面協力の元で撮影が行われており、支配人が宇宙人役(ハミィに先導されて避難していた大富豪の宇宙人)として同話で出演している(外観の撮影は埼玉県坂戸市の聖天宮にて行われた)。
また、ぜいたくヘブン宇宙竜宮城の客としてジェラシットが映り込んでいる(※後に出た関連作も考慮すると、本人ではなく『息子』の可能性が高い)。
バランスがウオキュータマで呼び出した魚は仮面ライダーオーズのピラニアヤミーと仮面ライダーアギトの水のエルの武器「怨嗟のドゥ・サンガ」の刃の部分を組み合わせて改造した物。
直接対決のシーンは最終的に等身大戦と巨大戦が並行して行われる、特命戦隊ゴーバスターズを意識したシチュエーションとなった(※同話の脚本を担当した下山健人氏はゴーバスターズにも参加している)。その証拠にユーテルジャンと対決したキュウレンジャー5人の色は赤青黄金銀で、ゴーバスターズのメンバーに使われた物と同じになっている。
そもそも、このダイカーンの登場エピソード自体が東映不思議コメディーシリーズの一つ『うたう!大竜宮城』のパロディである。エピソード内で最大のインパクトを放った乙姫ルックのガルに惚れるユーテルジャンのシーンも、乙姫との間で子供を作りたがり彼女へ迫るUFOと言う作内のキャラクターをオマージュしている。
またこの作品の脚本は浦沢義雄氏が一手に手掛けたが、その直弟子である下山氏に当エピソードの脚本を書かせた事、浦沢氏が生み出したキャラクターであるジェラシットを登場させた事は意図的な物だろう(※ガルとユーテルジャンの間に出来た怪しい関係も浦沢脚本の鉄板ネタである)。
演者の江川氏は、2年前の『動物戦隊ジュウオウジャー』でもプリズナブルと言う似た能力を持った怪人の声を演じていた。更に同年のニチアサでは『キラキラ☆プリキュアアラモード』にてグレイブ役で準レギュラー出演している。
そして続く翌年の『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』でも、ライモン・ガオルファングと言う幹部怪人の声を担当した。