概要
2000万年くらい前(新生代中新世)のヨーロッパに生息していたカイギュウ類の一種。名前の意味は「中新世の人魚」。
ちなみにカイギュウ類を表す学名として「Sirenia」という言葉があり、これはギリシャ神話のセイレーンが語源。本来は美人の人面鳥とされるが中世以降は人魚のような姿と解釈される事も増え、なぜか「カイギュウ類」にもこの名前が与えられた。
そのためこんなヤツに「人魚」と名付けられるのは的外れでもなかったりする。
大きさは4メートルほどで、現代のジュゴン・マナティよりも大きい(彼らはだいたい3メートル前後)。
※アメリカマナティという種類が記録した最大サイズは3.9メートル
分類的にはマナティに近いが、ジュゴンと同じで暖かく浅い海に生息していたようだ(マナティは基本淡水性)。ちなみにコイツが生きていた中新世前期は温暖だった。
なおマナティはしゃもじのような丸っこい尾びれ、海に暮らすジュゴンやステラーカイギュウはクジラのような尾びれを持っているため、ミオシーレンも後者のタイプだったと思われる。
貝を食うカイギュウ
現代のカイギュウ類は全員草食性だが、ミオシーレンは歯やあごの特徴から貝類(あとは甲殻類?)を好んで食べていた模様。
草食動物の奥歯は普通エナメル質と象牙質、セメント質が入り交じって表面が模様のようになっているのに対し、ミオシーレンの奥歯は厚いエナメル質に覆われていたのだ。
元々消化能力に優れるカイギュウ類だが(だから樽のように太ましい)、もしかするとミオシーレンの仲間はより高カロリーで栄養も多い貝類を主食にする事でエネルギー事情を改善しようとしたのかもしれない。
関連タグ
ペゾシーレン→先祖
→寒冷地仕様のカイギュウ類