概要
4800万年くらい前(新生代始新世)のパキスタン辺りに分布していた体長3mの動物。
ウシやカバに近いとされるクジラ類だが彼等はバリバリの肉食で、大物狙いはしないまでも魚や水辺に近づいた小型の哺乳類等を捕食していた。例えるならば「オオカワウソやワニに近い進化を遂げたカバ」とでもいうべきか。
見た目通り水中で餌をとりながら水に近い陸上で暮らし、温暖な地域の河口、川岸、海岸付近にいたようだ。
全身骨格が見つかっており、立派な4本の足があるので「歩くクジラ」と名付けられたのだ。
主な特徴
パキケトゥスよりもう少し進化していて、細長い体型が特徴的。
水掻きを持っているが水中では体を波打つように(上下に)動かして泳いでいたとされ、それが後に水掻きではなく尾びれで泳ぐルーツになったといわれている。四肢が完全に鰭になったプロトケトゥスはこのような動物から進化したと思われる(更に脚が貧弱化して遊泳と海生により適応したレミングトノケトゥス類を経ているとされる)。
ちなみにこの変な動物がクジラだとわかったのは、現在のクジラと同じで耳の骨が厚いという特徴から。
空中では音が聞こえないが振動そのものによって間接的に音を聞くことができ、水中ではその方が有利だったのである。
地上では鼻先を地面につけ、頭骨(あご)を伝う振動によって音を感じたらしい。