あらすじ
旧約聖書の32番目の章。小預言書に分類される。
預言者ヨナが、全能神から「アッシリアの首都・ニネヴェを滅ぼすから、ニネヴェに行き預言をせよ」と仰せつかる。
ヨナは拒否し、タルシシュへ逃げる。しかし、タルシシュ行きの船に乗ったところ、大嵐に遭遇する。船長は主を恐れ「この大嵐は船に乗ってる誰かの仕業に違いない」と言い、乗組員全員にくじを引かせ、誰のせいかを明らかにしようとした。
やはりヨナにくじは当たり、なぜ大嵐になったかを問いただされると、「私が主から逃げたのが悪いのだ」と事情を説明する。
そしてヨナは、大嵐を鎮めるために船から投げ捨てられる。
ヨナを大魚(これはクジラだったとも、リヴァイアサンだったとも言われる)が飲み込み、ヨナは魚の腹の中で三日三晩過ごした。そして主に祈り続けた。
主は魚に命じ、ヨナを陸地に吐き出させた。
そうしてヨナは望まずしてニネヴェに着くことになった。ヨナは主に命じられたとおり、ニネヴェへ滅亡の預言をした。
「この町は14日後に滅びる!これは主の宣告である!」
人々は主を恐れ、断食し、皆々ボロ布をまとって主の前に悔い改めた。そしてニネヴェにいるアッシリアの王も服を脱ぎ、灰の中に座り悔い改めた。
王はお触れを出し、悪い行いをやめるよう悔い改めさせた。ニネヴェの人々がみんな悔い改めたのを主は見て、滅ぼすのをやめられた。
しかしヨナは非常に不愉快だった。ヨナがニネヴェ行きを拒んだのも、最後には主が赦されることを知っていた。
「どうぞ私の命を取ってください!死んだ方がマシです!」とヨナ。主は「あなたは当然のように怒るのか」と仰せられた。
ヨナはニネヴェから出て、町の東の方に座り、そこに自分の仮小屋を作り、町の様子を見守ろうとした。
そこで主はヨナの小屋にトウゴマを生えさせた。トウゴマはすくすく成長し、日差しを防いでくれた。ヨナはこれを喜んだ。
しかし、主が虫を送るとトウゴマは枯れてなくなってしまった。ヨナは焼けつくような東風と太陽にさらされた。ヨナは主へ「もう私は死んだ方がマシだ!」と自分の死を願った。
主は「あなたは一夜で生えたトウゴマを惜しんでいる。ましてやわたしはこの大きな町ニネヴェを惜しまないでいられようか」と仰せられた。
※文章中の「わたし」は神さまの一人称であり、新改訳聖書を元にした内容を記載している。
解説
ヨナ書では「神の赦し」を説いている。聖書の神は必ず報いる神で、その言葉は絶対である。と同時に、聖書の神は「愛の神」である。悔い改めれば必ず赦すのが聖書の神である。
ユダヤ教では選民思想があると言われるが、イスラエル民族ではない者でも神を信じるなら救われる、その好例がこのヨナ書である。
また大魚がヨナを飲み込むくだりはピノキオの元ネタとなっている。