有蹄類
ゆうているい
中・大形の草食哺乳類の脚先にある靴状の硬い爪。土を蹴り、素早く疾走する為の適応であると考えられている。
嘗ては蹄を持つ動物群はひとつの祖形動物から進化した単系統と考えられ、有蹄目(有蹄大目、有蹄上目)などの分類階級が与えられる事もあった。然し現在では派生形質でまとめられた分類ではあるものの平行進化による偶発的な共有形質であると考えられるようになり、この分類は使われなくなった。
具体的には鯨偶蹄目(イノシシとかの蹄が偶数系)と、奇蹄目(馬を代表とする蹄が奇数系)はユーラシア、北アメリカ大陸で発生した物で、ハイラックスやツチブタ、ゾウ、ジュゴンにマナティがアフリカで発生したものと考えられる。
イワダヌキ(ハイラックス)は、外貌だけでは、どう見ても草食の狸っつうか鼠なのだが、解剖してみると、指の窄まり具合が蹄へ進化しかけであり(実際、指先は平爪として蹄化しかかってる)、更に系統的には象やマナティに近い事も化石等で知られていたため蹄動物に一応入る。なお「サーバル」などの食肉目、センザンコウなどの鱗甲類の両者は近縁同士で「広獣類(あるいは野獣類)」という系統であるが、この広獣類が有蹄動物とは違うものの、DNA配列その他から、「かなり近縁なので同じカテゴリー(ペガサス野獣類というアレな名前)に入れた方が」という意見が出ている。(そこのカテゴリーへ「翼手目も入れろ」という意見と「コウモリは奇蹄類withセンザンコウとネコのフレンズを入れたカテゴリーと鯨偶蹄目の姉妹群として別にするべき」という意見があるのでコウモリは無視)
あと、マナティは蹄の痕跡がある他、象に近いので、蹄動物。(象さんは「水中生活に進化しそこなった」形質のまま世界に広まった可能性がある)
クジラはカバにかなり近い。のでこのカテゴリーに入る。なお時々大隔世遺伝で腹びれまでは出るイルカでも痕跡化した骨しかないが、もうちょっと前のパキケトゥスは、キリンやヤギなどと同じく、後ろ足の踝の骨(距骨)が二重滑車状になっている(なので足首が回らない代わりに速く走れる)。
その他、絶滅した動物については絶滅した哺乳類の分類の一覧へ、(南蹄目とか何とかはいろいろあるのでなんか)