概要
タヌキのような動物。しかし、タヌキの仲間ではない。「精巣が体内に入っている」「切歯が発達して牙になっている」等の特徴から、アフリカ獣類と呼ばれる種類に入る。ちなみに草食。「ハイラックス」はギリシャ語で「トガリネズミ」の意。学名の属名Procaviaは「テンジクネズミの祖先」。ややこしいわ。
意外にも、この小動物と系統的に最も近いのは大型動物のゾウ、マナティ、ジュゴンである。後述のように蹄になりかけている脚先はそれを強く示している。これらアフリカに起源を持つ有蹄動物を「近蹄類」あるいは「天獣類」という。もっともゾウなどの祖先とは恐らく6000万年以上前、恐竜の滅んだ直後頃に枝分かれしたと思われるが。
歯は、上顎の方が伸びる特徴を持つ。
ヘブライ語等で「シェファン」と言い、岩場で日向ぼっこ(哺乳類のくせに体温の調節ができないんで体温の調整のためよくボーっとしている)しているさまが「哲学的思索をしている」と捉えられ、旧約聖書「詩記」では、「賢いイワダヌキ」と言われる。また、「レビ記」では、「ラクダ、ウサギ、ハイラックス これは蹄が割れても分かれてもいないから反芻するけど(食べ物的に)穢れたいきものである」と書いている。
常にもぐもぐしている、あるいは「解剖すると胃が反芻動物のそれのように見える(ちなみに中は馬に近い)」ことから反芻するように見えたのだろうと考えられたそうである。
ちなみに、現代生物学的に、ハイラックスの脚の指の窄まり具合は有蹄類になりかけの形と考えられており、すげぇな昔のレビ記書記。
余談であるが、「イスパニオラ」は「シェファン(イワダヌキ)の島」の意である。その“島”を「発見」したフェニキアの人が、当時のその辺でもふもふしてた兎(どう見てもうさみみ以外は似ているので)を見て、そう命名した。
なお一応、4000万年くらい前までは地中海沿岸部で繁栄していた。バクサイズのとか水中仕様とかのやつもいた。後に北から来た他の哺乳類達に押されて現在に至る。
その窄まった指と、汗腺が異常に分布した肉球でもって、コンクリート打ちっぱなし系の直角の壁位なら、坂道と同じように登れる程度の能力を持つ。これを用いて岩場を歩き回り、草原へ降りて草食べたりする(草食・グレイザーという)が、木登りを得意として木の葉っぱ食べる(木葉食・ブラウザーという)種類もいる。