概要
哺乳綱管歯目(ツチブタ目)ツチブタ科ツチブタ属に分類される哺乳類。有史前は数種が存在していたが、現生するのは一種だけ。
外形はブタに似るが尾が太く長く、頭部は細長く、耳が大きい。頭胴長90~120cm。
和名はボーア人(南アフリカのオランダ系住民)の言葉で「地面のブタ」を意味する"AardVark"の直訳。
体は黄褐色で、褐色の毛がまばらに生える。四肢は頑丈で、前肢に4本、後肢に5本の指があり、蟻塚を破壊できる鋭い爪が生えている。その穴を掘る力は、1m掘るのに僅か5分、驚異のスピードという動物界屈指の掘削能力の持ち主である。
サバンナや開けた森林に棲み、性質は用心深く、夜行性で、昼は地中に掘った頑丈な巣穴で休む。穴の大きさは様々で、複雑に枝分かれしている物もある。更にその巣穴は毎日変えていて、ツチブタが出ていった巣穴をハイエナやジャッカル、イボイノシシやヤマアラシと言った中型の動物達の巣として利用する等、他の動物達にとってはありがたい存在とも言える。
主食はアリやシロアリであり、細長い舌で絡め取る。他にも小動物や野菜も食べる。その食性や形態から嘗てはアリクイに近縁な動物であると思われていたが、その後の遺伝子学的調査から、寧ろゾウやマナティ、そしてハイラックスなどに近縁の動物であると考えられるようになった。アリクイとは収斂進化の過程で姿が似通ったのだと考えられている
哺乳類の脳、頭蓋骨の進化はある程度下顎の発達とも関りがあり、蟻を主食とするツチブタのアゴの力は強くない。そのためか頭蓋骨の脳を守る部分が非常に脆く、天敵から逃げる際に木に頭をぶつけた事で死亡してしまった例も多数報告されている。
反面背中の皮膚は分厚く、ライオンに多少噛まれたぐらいでは致命傷にはならない。
エジプトの神、セトを象徴する動物の一つとされる事もある。
正確にはブタではないが、イスラム教ではツチブタをブタ同様食することを禁じている。
映画ドラえもん『のび太の大魔境』およびリメイクの 『新・のび太の大魔境 ~ペコと5人の探検隊~』にも出ている。
外界から深い谷によって数百万年前から隔絶したバウワンコ王国ではイヌ同様に独自の進化を遂げたらしく、全体的な姿自体はあまり変わっていないものの、実在するものよりかなり大型化しており、バウワンコ王国の住民達によって牛馬のように農耕用や乗豚用の家畜として飼われている。昆虫食だけでここまで大きくなれるとも思えないため、恐らく外界の豚のような雑食動物になっていると思われる。
「ツチブタの呪い」とは
英訳も上記と同じ"AardVark"の綴りなのだが、Aが二つ続くことから辞書などではかなり頭の方に来る単語である。
さて、英和辞書を丸暗記しようという学習者がいたとする。ツチブタの知名度は低く、"AardVark"とはツチブタである、とだけ記しても辞書の学習者は何のことかよく分からない。
学習者は「これからもこのような訳の分からない・いつ使うか分からない単語が続くのか?だとしたら辞書を丸暗記する必要は何なんだ?」などという気持ちに陥りやすくなるらしく、やがて暗記学習を放棄することがある。これを俗に「ツチブタの呪い」というのだそう。
呪術めいた話があるわけではなく、また「主人がアリクイに殺されました」のコピペとは何の関係もない。