ジャッカル(動物)
じゃっかる
食肉目イヌ科イヌ属に属する小型の肉食動物の総称。見た目で呼んでいるので系統はバラバラである。
キンイロジャッカルとアビシニアジャッカルは犬(狼)と交配して繁殖能力を持つ雑種ができる。
キンイロジャッカルはヨーロッパ、アフリカ、アジアに広く分布するが、それ以外はアフリカにのみ分布。
雄雌と子による家族単位の群れで生活し、前年生まれの子が群れに留まり(残る数は種によって異なる)、ヘルパーとして子育てに協力する。肉食性の強い雑食性で、自ら獲物を狩る他、死骸を漁ったり他の肉食獣の獲物を奪ったりする。また、農作物も食害する為、害獣と見なされる事も。この為、ハイエナと並んで食肉目の仲間ではあまりいいイメージで語られることのない動物である。
南方熊楠は仏典などインドの文献の漢訳書に出る「野干」をジャッカルの音訳とする。(『鬼灯の冷徹』では野干は「キツネの異称」)。中国の昔の動物の本に「野干は頭に角が生えている」と書かれている。ごくまれにそうした奇形があり、発見された際に貴ばれ、角を幸運のアイテムとして身につけた事が中国に伝わったためらしい。
プリニウスによれば「ライオンにまとわりつく」。
東洋の伝承その他では「トラへ引っ付いている」。
古来より死肉を食べる為に人々からは不吉な動物と嫌われたり、信仰の対象にされる事があった。エジプトではミイラ作りの神であるウプウアウトとアヌビスがジャッカル頭の神だとされ、インドにおいてはドゥルガーやカーリーのお使いや化身とされ死体と関連づけられた。
このカーリーの眷属とされるのが、やがてウカノミタマと習合して稲荷となった荼枳尼天である。しかし、「彼女のヴァーハナであるジャッカルが日本にはいなかった動物なので、似たような生態を持つ狐に置き換わった」…という有名な話は上記の逸話から派生した完全なる俗説である。(そもそもジャッカルは彼女のヴァーハナですらない。)
ただし、信仰とは関係なしにジャッカルの生息していない中国ではドールや貂、そして日本では狐を「野干」と表現していた事は事実なので無関係という訳でもない。ややこしい…。
また、イエス・キリストが、ジャッカルの形をしているとされる。
一方、ヘブライ語での、ジャッカルとドラゴンが同じような語であるため、キリスト教では同系と捉えられ、ファードラが龍図像の際のデフォルトになった。ちなみにユダヤ人はわんこ系があんまり好きでない(辛うじて旧約聖書の「雅歌」に狐が性的な意味で出てくる程度)。