野干とは、妖怪の一種である。
概説
中国語ではイェカン(Yegan)と呼ぶ。
荼枳尼天の遣いともされる。
ただしこれはあくまで便宜上の話であり、本来はジャッカルを指す。
そもそもジャッカルというのはサンスクリット語が起源の言葉で、「シュリガーラ」(शृगाल śṛgāla)と記載する。
ジャッカルはインドでは野生で生息する身近な害獣だったのだが、ジャッカルの存在が記された経典が中国に伝わる際、ジャッカルのいない中国ではそれを表す名詞がなかったため、音訳として“野干”の字が当てられた。
中華文化圏では野干は長らく「なぞの獣」と扱われたため、いつしか妖怪や幻獣の一種とみなされるようになる。
さらに仏典に記載された野干の外観と生態が狐と似たため、いつしか妖狐の一種として混濁されてしまった。
その後に日本にも中国経由で仏教が入ってくるのだが、野干=妖狐というイメージもまたそのまま日本に入ってきた。
さらに荼枳尼(ダーキニー)衆が日本に伝わり荼枳尼天という一人の神にされると、野干はその騎獣とされるようになった(インド側の文献にダーキニーがジャッカルに乗ると記したものはない)。荼枳尼天の騎獣は白狐そのものとして描写される。稲荷信仰と神仏習合するようになり、稲荷神の神使が狐だということもあってますます混濁されることになった。
関連タグ
檎 / ミキ(鬼灯の冷徹) …… 『鬼灯の冷徹』のキャラクター。例よって狐扱い。
犬夜叉 …… 口から狼の群れを吐く狼野干という妖怪が登場する。