データ
約180万年前~約1万年前まで北米大陸の草原に生息していたオオカミで、史上最大のイヌ属の哺乳類。(イヌ科全体としては、最も有名なアンフィキオンをはじめとする「Bear Dog」の方がかなり大型だった。)
発見当初はドールの近縁種と考えられたことから、カニス・ディルスという学名が付けられた(ディルスは「恐ろしい」の意)。また、近年ではオオカミやイヌの直接の祖先ではなく、イヌとオオカミの共通の祖先から分岐進化したとする説が強く、寧ろコヨーテやジャッカルに近い生物とされている。
現在のタイリクオオカミとよく似ているが、体長1.5mに達しどっしりした体格を持つ。また脚は短く長距離走行は得意ではなかったらしく、バイソンなどの鈍重な大型動物や死肉を食べていたと考えられている。とはいえ顎はハイエナ程強靭ではなかったらしく、硬い骨の齧り過ぎでタイリクオオカミより歯の折れる頻度が8倍も高かった。
多くの大型哺乳類同様、約1万年前を境に絶滅した。気候変動による獲物の減少や、この頃に北米に広く進出した現生人類の影響、より俊敏で適応能力の高いタイリクオオカミやコヨーテとの生存競争に敗れたためなど様々な説がある。