概要
この項目では17世紀以降に絶滅した動物(とくにメガファウナ)について記載している。
サオラ、バーバリライオン、キノボリカンガルー、クニマスなど、再発見された例もある。再分類されてケトテリウム科を復活させたコセミクジラの様な事例も見られる。生きた化石も参照。
絶滅動物の例
あまりにも多すぎるため、ごくごく一部のみを列挙する。
17世紀以前
17世紀
18世紀
19世紀
20世紀
- リョコウバト
- フクロオオカミ(タスマニアタイガー)
- ウェーククイナ
- オレンジヒキガエル
- スチーブンイワサザイ
- ニホンオオカミおよびエゾオオカミ
- ニホンカワウソおよびエゾカワウソ
- ニホンアシカ
- カリブカイモンクアザラシ
21世紀
- ヨウスコウカワイルカ(機能的絶滅?)
- コープレイ(絶滅?)
- キタスマトラサイ(絶滅?)
- コガシラネズミイルカ(機能的絶滅?)
- マウイイルカ(機能的絶滅寸前)
- ライスクジラ(機能的絶滅寸前)
- アジアチーター(ほぼ絶滅)
人間活動と絶滅
以前は、新生代に発生した氷河期などの気候変動が古生物、とくに大型動物群の絶滅を引き起こしてきたと考えられていたが、とくに海外では近年「人類の拡散」がネアンデルタール人等の人類を含む大量絶滅を起こしたとする意見が主流派になりつつある。
人間の関与がなくても絶滅していたと考えられている種類もいるが、各大陸や地域における大型生物の大量絶滅とそれらの地域に人類が到達したとされる時期と順序が合致していると判明している。
地球においては、大量絶滅は何度か発生してきてしまったが、今回のスピードは史上最速とされている。
現在まで生き残っている野生動物には夜行性の生物が非常に多いのは、他ならぬ人間を避けるために適応したためとされる。
中には、北アメリカを故郷とするラクダ科(キャメロプス等の純粋なラクダやグアナコやビクーニャ等)やバク科やウマ科の様に、本来の故郷で絶滅して他の大陸で生き残っているという事例も散見される。
- そもそも、サボテンがアメリカに分布するのも、北米がラクダ科の故郷であったからだと推測されている。
絶滅の経緯
現在、大型動物群の多くがアフリカ大陸やアジア南方圏に生息しているが、これらの土地は他の地域よりも生物としての人間の歴史が古い場所(アフリカ大陸は人類が誕生した地域であり、南方アジアは人類が最初に移住・拡散した地域の一つ)であり、動物達が人間に適応するチャンスがあったと思われる(それでも絶滅種もいるが)。また、これらの地域における疫病が人類の過剰増大化を防いでいたため、大型動物が人間に適応する猶予が生まれていたという説もある。
厳密に言うと、人間および進化し続ける石器等の狩猟道具(北米における大量絶滅は進化した道具による「電撃戦」とも称されている)、人間の移動に伴ってきた存在(犬や猫を含む家畜、ネズミなどの小動物、人間やそれらに付随してきた病原体や寄生生物)に免疫を持たないまま殲滅されてしまったのが他地域の多くの絶滅動物である。
多数の大型動物や小型動物が人間への警戒心を持たずに好奇心を持って人間に近づいたために殲滅されたという事例はかなり多い。数多くの鯨類(特にセミクジラ属)はその最たる例の一つとされるだけでなく、たとえばコイやウナギなどにもこの様な伝承が日本国内もふくめて残されている。
そして、生態系が崩れると「共絶滅」(草食動物などが絶滅してそれが原因でそれ餌にしていた肉食動物なども絶滅すること)が芋づる式に発生する。
大型動物が真っ先に絶滅するのは、得られる肉などの資源も多い上に視覚的に目立つゆえに真っ先に狩猟対象として狙われてしまうのが一番の原因とされる。また、そこから崩壊が始まった生態系の該当部には、やはり大型動物が一番多く属していた。いずれにしろ、大型動物は繁殖力に優れている訳ではなく、人間による捕殺圧にかなり弱い。また、大型動物は人間との生息地や水場をふくむ資源の奪い合いに発展することも多く、人間の持ち込む農業などの影響も多大に受ける(たとえばオーストラリアのメガファウナは、アボリジニが持ち込んだ焼畑式農業によって追い詰められたと推測されている)。
なお、人類が原因となった絶滅の原因の大半は、意図しない理由によるものである。すなわち、特に潜在資源量を考えずに「その辺にいっぱいいるから大丈夫だろう」と安易に乱獲した結果によるもの(リョコウバト、ニホンアシカなど多数)、家畜由来やその他の理由による外来生物の連れ込みで「与り知らぬ」絶滅を助長してしまったもの、開発による環境の激変、などである。
また、人類自身が害獣とみなした生物を積極的に絶滅させる場合もある。日本列島においては、ニホンオオカミとエゾオオカミは言わずもがな、ニホンカワウソ(およびエゾカワウソ)も全国的にほとんど絶滅した原因は「意図したものではなかった」とはいえ、最後に残っていた四国の個体群に対し致命的に個体数を減らし止めをさしたのは、漁業被害に悩んだ漁師たちの依頼したハンターによる駆除(密猟)であった。
日本列島の事例
日本列島では、人類活動が目立つ様になった旧石器時代後期以降、マンモス、ナウマンゾウ、ヤベオオツノジカ(縄文時代まで生存の可能性あり)、ハナイズミモリウシを含むバイソン数種、オーロックス、ヘラジカ、トナカイ、ナツメジカ、カズサジカ、キバノロ、ウマ、ヨウシトラ(ホラアナライオンやアメリカライオンの近縁種)、トラ、ヒョウ、オオヤマネコ(縄文時代まで生存)、ベンガルヤマネコ、ドール、本州のヒグマ、佐渡島のイノシシ、エゾオオカミ、ニホンオオカミ、ニホンカワウソとエゾカワウソ、ニホンアシカ、ステラーカイギュウ、ヒレナガゴンドウ、複数種のチョウザメなどが絶滅してきた。
琉球諸島も含めれば、キョンやリュウキュウジカ、ミヤコノロジカ、南西諸島のイノシシ、オオヤマリクガメ、ワニ(イリエワニは明治時代まで西表島に少数が漂流して小さな群れが定着した記録がある)などもいたとされる。
- これらの生物のどこまでが人間の影響で絶滅したのかは不明だが、数回の氷河期や気候変動を生き残ってきた種類が人間の到達後に絶滅したと思われる場合が少なくないので、仮に気候変動で減少したとしても、人間がいなければまた復活していた余地があると思われる。
ちなみに、これら以前にはデスモスチルス、サイ、スイギュウ、ゴーラル、サイガ、巨大ビーバー、レミング、巨大レッサーパンダ、南方系のシカやゾウやマンモス、シフゾウ、バクなどもいたが、年代的に見ると人類活動が絶滅に影響している可能性は比較的に低いと思われる。
外来種と代用種
外来種そのものが害ではないとする意見もあるのは、元々いた生物に近いものが偶発的に導入された場合があったり、または絶滅した生物のニッチを外来種が間接的に補填しているとされるからである。
そのため、特に海外では外来種の価値を見直して保護を訴えている科学者も少なくないだけでなく、大型生物の野生導入(例:ロシアのアメリカバイソン、イギリスやイタリアやスペインのヨーロッパバイソン、ヨーロッパ各地のスイギュウなど)を国家単位の大型プロジェクトで進めている事例も散見される。
日本国内における外来種の場合、ケラマジカ、一部の家畜(野犬や野良猫や馬や牛の一部)などは、結果的には本来の生態系のニッチを擬似的に復元しているが、牛やキョンなどのように野生化した地域が本来の生息地域と異なっており、結局は「その地域の生態系」にとっては外来種である場合もある。
鹿児島県の口之島や長崎県葛島にて野生化している和牛たちも、現在の国内の畜産種「よりは」祖先のオーロックスに近いとも言われているが、これらの島々にてオーロックスが自然分布していたとは思えない。また、東日本大震災で野生化した牛はほとんどが駆除されている。
- そもそも、日本列島ではバイソンの発見がほとんどである一方で、オーロックスに関してはほとんど一度しか発見されておらず、バイソンとオーロックスの化石が混同されやすい状況もあり、オーロックスがどの程度日本に生息していたのか、またははたして本当に棲息していたのか、に関しても議論の余地があると思われる。
国内の各地で間接的に野生化しているウマに関しては、ウマの化石自体が日本列島での発見事例が非常に少ないため、人間の影響が仮になかったとしても、ウマが日本列島で恒久的に自然分布できていたのかに関しては疑問が残る。
UMAの範疇に入るが、対馬にいると言われる「ツシマオオヤマネコ」(ピューマなどに近い見た目)や西表島の「ヤマピカリャー」(ウンピョウに近いと言われている)に近い存在も、もしかしたら日本にかつて存在していたのかもしれない。ただし、「ツシマオオヤマネコ」に関してはツシマヤマネコと野良猫の交配個体の可能性があり、これはたとえばニホンオオカミの実情が混迷している理由の一つが家畜の犬との交配が深刻だったことと似ている。また、ツチノコの正体がアオジタトカゲの可能性が高いことと同様に、西表島に仮にウンピョウが生息していたとしても、何らかの人為的な原因により持ち込まれた可能性の方が(自然分布していた可能性よりも)高いと言わざるを得ない。
自然復活が可能かもしれない事例
鳥や海洋生物等に関しては、日本国外からの自然復活が実現する場合もある。コウノトリやトキやラッコなどが良い例だろうか。ただし、仮に復活を試みるなら、再定着してきた僅かな個体の地方絶滅を防ぐ為の厳重な法的保護や、トキのように人為的な移入が必要になるだろう。
ヒレナガゴンドウの場合は特殊で、コビレゴンドウが北方に進出して絶滅したヒレナガゴンドウのニッチに収まって「タッパナガ(シオゴンドウ)」と呼ばれる形態を発現したとも考えられている。
近年、カリフォルニアアシカがロシアや日本列島に現れたと思わしい事例が報告されており(キタゾウアザラシもロシアや日本で確認されてきた)、韓国がニホンアシカの代用としての竹島周辺などへの野生導入を本気で検討してロシアや中国などに呼び掛けていたこともあった。
カワウソ
(おそらく韓国からの)対馬に進出が確認されたカワウソ(ユーラシアカワウソ)も将来的にこういった候補になる可能性がある。なお、ニホンカワウソ自体が、絶滅以前にもユーラシアカワウソが本州から発見されていたこともあり、たとえばニホンオオカミと同様に「種の認定」が不安定な状態でなされてしまったとも指摘されている。
ジュゴン
沖縄本島のジュゴンの場合は辺野古沖の埋め立てによって将来の絶滅が確実になっており、南西諸島の他の島々でも細々と確認されてはいるものの実質的に南西諸島全体でも10~30頭もいないと思われる。そのため、個体数の維持と回復に必要な頭数はおそらくおらず、各島々ごとに分断に近い状態に陥っている。ジュゴンはお隣の台湾や中国でも絶滅してしまい、一番近くの個体群が(同じく地方分断が激しい)フィリピンなので、南西諸島への自ら移住(自然復活)は(少なくとも数百年から数千年・数万年単位で観なければ)絶望的である。
- ただし、アマモの分布や海底地形などから判断すると中国の沿岸にはもともとジュゴンは少なく、最初から地域ごとにかなり隔絶が進行していたという調査結果も存在する。
鯨類
ヒゲクジラ類を中心に、アジアの大型鯨類のほとんどは実質的に日本の捕鯨で壊滅したとされている(中国や朝鮮半島や台湾にも日本が捕鯨基地を乱立し、これらの国々における捕鯨業者はほとんどが日本の下請けといっても過言ではなかった)。
現状では、(商業的価値が低いとされる)マッコウクジラと(ホエールウォッチングの人気のために保護が促進されてきた)ザトウクジラの回復が始まってきているが、ミンククジラやツチクジラ等は個体数が比較的多いとは言え、捕鯨の対象になっているので際立った回復もできていないとされる(日本哺乳類学会は、ミンククジラの日本海個体群の法的な保護を訴えている)。
また、イルカやシャチなどの小型鯨類も日本列島の各地に存在した多数の個体群が壊滅したり消滅したとされる(たとえばシャチは、戦前までは比較的日本列島の広範囲にそれなりに生息していたとされており、東京湾や瀬戸内海などでも捕獲されていた)。
ただし、種そのものが絶滅寸前のセミクジラに関しては今後どうなるかは不明だが、絶滅寸前のアジア系のコククジラが北米系と合流している事が確認され(逆に、純粋なアジア系はすでに絶滅している可能性も示唆されている)、シロナガスクジラなどの他の大型鯨類や小型鯨類に関しては、(生息環境が大幅に改善した前提で)数百年から数万年単位でみれば、アジアの沿岸における復活も可能かもしれないともされている。
大型捕食者の場合
これに対して、たとえばヒグマは仮に日本列島の本州以南に再定着しても危険生物として駆除される可能性が高いなど、とくに大型の肉食動物に関しては、現状では自然復活または再導入や代用導入へのハードルがかなり高い場合も非常に多い。何度も議論されてきたオオカミの導入に関しても、海外では獣害による責任問題などの賛否両論が導入後数十年経過しても収まらず、導入したオオカミを結局は駆除している場合もある。
人為的な復元
ヨーロッパのオーロックス(アジアやアフリカのオーロックスの復元は難しいとされる)やクアッガやターパンなどに関しては、人為的な復元を目指す大規模なプロジェクトが何十年も続いており、オーロックスとターパンに関してはナチスの科学者が生み出した段階的な復元種を今でも利用している。
なお、モウコノウマに関しては、遺伝子研究の結果、野生種ではなくて逃げ出して野生化した家畜の子孫だと判明している。そのため、(シマウマやロバなどを除く)純粋な野生のウマはもはや存在していない。
また、マンモスの復活プロジェクトは有名であるが、成功するかどうかはまったく未知数である。この様な事例は(比較的復元の可能性があると思われる)他の動物にも見られ、たとえばステップバイソンやダイアウルフなどを人工的に復元しようとするプロジェクトも存在する。
関連タグ
UMA:絶滅動物の生き残りの可能性がある事例を「EMA」と呼ぶ場合もある。
絶滅種(けものフレンズ):絶滅動物がモチーフのキャラ達。